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初作品になります。誤字、脱字、言い回し的におかしな部分もあると思いますが温かい目で見守ってくださる方、読んでいただけると嬉しいです。

いきなりですが、

どうやら私、異世界トリップしてしまったようだ。



気づいた時にはすでに知らない森の中にしゃがみこんでいた。

いつも通り仕事をして帰宅してビールを飲もうとしたところまでは覚えているが、それから後のことが全く思い出せない。

もしかして夢なのか?

いつの間にか寝てしまったのか?

頬をつねってみたけど間違いなく痛い。


現実って、こと、、、?


辺りは真っ暗だが、かろうじて月の明かりで数メートル先が見えるだけだ。


いつの間にか何か事件に巻き込まれて山奥にでも捨てられたのだろうか。

それとも、これが俗にいう“異世界トリップ”!?

でも、そんな非現実的なことがまさか自分に降りかかるなんて思いもしないし、起きてもらっても困るし。

ずっと頭では拒否し続けてたけど、答えはすぐに出た。

異世界トリップをしたのだと。


放心状態の私の目の前に現れたのは、私が会いたくて会いたくて…でも決して出会うことなんて叶わないはずの“彼”だったのだから。

剣を突き付けられるといういらないオプションもついてたけどね。






私ごく普通のOLで今年で29歳になった乙女ゲーム大好きアラサー女だ。

学生時代に乙女ゲームにはまってからというもの、もっぱらときめくのはゲームの中のキャラクターたちで、ここ数年は彼氏もいない寂しい人生を送っていた。

もちろん、異性と全く付き合ったことがないわけじゃないし、それなりの経験はつんでいるつもりだけど、ゲームキャラの素敵メンズたちと比べると現実の男どもは皆子供に思えて仕方がないのだ。

まぁ、女子の好きな要素が詰まりまくったゲームの攻略キャラと比べるのは酷かもしれないけどね。



数多くのゲームをプレイしたが中でも一番のお気に入りが“アナザーワールド~世界を超えた想い” 通称【アナルド】だった。

簡単に解説すると、異世界に女神として召喚された主人公が癒しの力で穢れた土地を浄化するために旅をするお話し。

その中で王子や騎士、魔術師といった攻略キャラクターたちとイベントを通じて親密度をあげていき、最終的に元の世界へ帰るための帰還儀式中に意中の相手に告白されればハッピーエンドを迎えることができる。告白されたとしても、断る選択も可能な為、興味本位で振ったときは後日談の主人公の心情に切なくなって甘酸っぱい思いもさせていただきました。


私が愛してやまない彼もこのゲームの攻略キャラクターの一人。


名前はアレン・フィールド。

王宮騎士団 副団長の肩書を持つ青年。


正義感が強くて、真っすぐな性格の彼に私はいつも画面越しにキュンキュンさせていただいておりました。

アレンはいつも直球!ゲーム中の恋愛イベント内でもセリフが直球で何とも男らしさを感じるのである。

そんな大好きなアレンと出会えたというのに何が悲しくて剣を向けられているのだろうか、、、


「おい!!女!!聞いているのか!?」

「ひっっ!聞いてます!!ちゃんと聞いてますっ!!!」



普通異世界トリップっていったらイケメンに助けられて、保護されて、なんやかんやで恋が芽生えるおいしい展開がセオリーだったりするんじゃないの!!?

少なくとも私が読んだ小説はすべてそうだったんだけど!?


「ここは一般人立ち入り禁止区域だ。結界が張ってあったはずだがどうやって侵入した!?」

「あ、あの私にもよく分からないんですっ、いつの間にか気づいたらここにいて、」

「そんな回答で通用すると思っているのか!本当のことを言わないとここで命を落とすことになるぞ」

「ひぃぃっ!!」

アレンは剣先をさらに首へと押し付けてきたため、ピリっとした痛みとともにしずくが垂れるような感覚がした。

絶対、血出てるわ…ってか普通に痛いし。

そういえばアレンって敵には容赦ないキャラだったような。どこまでも真っすぐで素敵な男。

ってそんなこと考えてる場合じゃない。

このままいくと本当に訳も分からないままここで死ぬことだってありえるんじゃないの!?

まずはこの状況をどうにかしないと。どんなに好きなキャラでもさすがに殺されてもいいとは思えない!

でも、異世界から来ましたなんていきなり言って信じてもらえるものなのかな。

こんなに警戒されてるのに、もっと敵意持たれても困るし。

どうすれば………


決して良いとは言えない頭脳で一生懸命思考を巡らせていると、

とあるアイデアが浮かんできた。



女神様に会わせてもらえば信じてもらえるかもしれない!

アナルドの主人公サクラちゃんに!

私も女神様と一緒で異世界出身ってことが分かればきっと悪いようにはされない・・・たぶん。。。


この時の私は、ここがゲームのシナリオの途中であると勝手に思い込んでいた。それが、大きな勘違いだったと後々気がつくのだけれど。




「わ、わたし」

意を決して発した言葉を遮ったのは、聞き覚えのある男性にしては高めの柔らかい声だった。


「アレン、その辺でいったん剣を下おろしてはどうですか。可憐なお嬢さんがおびえていますよ。」

アレンがさも面倒くさそうに後ろに振りむく。


この声って、、、まさか、


「カイルか。」


やっぱり!!

異世界トリップってちゃんと声もゲームと同じなんだと一瞬緊張感のない思考がよぎる。



金色のウェーブがかかった長い髪を後ろに緩く結び、魔術師団トップの象徴である白いローブをまとったアナルドで一番人気の高かったキャラだ。


カイル・アルシタイン

宮廷魔術師団 団長の肩書きを持つ男である。








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