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「千夜一夜物語」は、まるで、犯罪小説?

作者: 舜風人

いわずと知れた、アラビア文学の古典、

これはもちろん一人の作者が書いたものではなくて

口承文学として広く語られていたものが次第に集大成されたものです。


、中近東、インド、中国、エジプト、あたりに伝わった民間伝承、神話、などを集大成した物語集、

女主人公シェヘラザードが1000と1夜にわたって語り続けたという枠物語の形式を取っている。

内容は、奇譚、異国譚、ホラ話、艶笑譚、空想譚、事件、などなど多岐にわたっている。

有名な話としてはアリババ、シンドバッド、アラジンなども在る。



アラビアンナイト、千夜一夜物語は、恐らく児童向けの、ダイジェスト版しか読んだことがない人がほとんどであろう。

しかし原典はもっと大人向けの野きわどい?物語が多いのである。


一番原典い忠実だといわれているのは


東洋文庫版(平凡社)だといえよう。


その次は「バートン版 、角川文庫絶版、)だろうか。




そして、この原本は、恐らく犯罪小説といってもいいくらいの残虐とノワールに満ちている。


例えば皆さん良くご存知のシンドバッド、児童向けの冒険ファンタジーくらいの認識しかあるまい。

ところが、シンドバッドはある国で、さる身分の高い女と結婚して、栄耀栄華の暮らしをおくる、

しかしここには裏があったのだ。つまりもしどちらかが死ねば、残ったほうは殉死するのがその国の制度だったのだ。


ある日、妻はあっけなくなくなってしまう。シンドバッドは妻の死体と一緒にわずかの食べ物と一緒に大きな穴倉の墓室へ放り込まれてしまう。しっかりと蓋をされて、飢え死にするしかない。


ところがしばらく日がすぎると、上の方で蓋があき、今度は別の死人が投げ込まれた、そして殉死者も、、そこでシンドバッドはその殉死者を殴り殺して食べ物を奪って自分の飢えを満たして生き延びたのだ。


つまり、シンドバッドは殺人者だったのである。こんなものがたりを子供に読ませられるだろうか?


とにかくこのアラビアンナイトは全編、これ殺人、詐欺、拷問、窃盗、密通、人種差別のオンパレードである。今、これをまともに論じたら、特に人種差別はあからさまな表現で書かれているから大変な社会問題化するだろう。

まあ、昔の古典だからしょうがないという一線は引かれているとは思うが。


そしてさらには奴隷制の肯定である。アラビアンナイトには、白人奴隷女を競売にするシーンや、黒人奴隷を売買するシーンなどが幾らでも出てくる。確かに昔、征服地から白人女を奴隷として持ってきて売ったということがおこなわれていたというのは歴史的事実だからしょうがないとはいえ、しかし今の社会では到底認められないことではあろう。


不義密通した妻を切り刻み、トランクにつめてナイル川に沈めたなどというお話もアラビアンナイトにはある、

まあ現代でも似たような事件どっかでありましたよね?人間変わらないといえばそれまでですが。


拷問刑罰でも、手を切り落とすとか、そんな殺伐とした刑が行われるさまが生々しく描かれている。


千夜一夜物語とは個人の人権も生存権もなかった時代の異国の物語。

近代民主政治から見たら、とんでもない横暴と残虐のオンパレードであるということだ。



まあ、とにかく千夜一夜物語が子供向けの御伽噺でないことは確かだ。





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