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憧れの元ヤンギャルママ(30)が可愛すぎる  作者: ナカジマ
第3章 家族という関係
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第99話 新しい家族

 妊活を始めて半年ほどで、リサ姉は無事に俺との間に新たな命を宿した。二度目の妊娠という事もあり、リサ姉は慣れたものだった。

 必要なものは全部知っていたし、俺も予め必要な諸々を調べて知っていた。食べた方が良い食品、NGの食品にも注意を払った。

 家事は基本的に俺が担当して、リサ姉には極力自由にして貰った。リサ姉のご両親にも協力して貰い、無事出産を迎えた。

 予定日より数日早かったが、高嶺(たかみね)部長が気を利かせてくれた。早退した俺は、真っ直ぐリサ姉の居るクリニックへ向かった。

 父さんから聞いていたけど、出産において男の俺に出来る事は殆どなった。ただリサ姉の手を握って、声を掛け続けただけ。


 初産は大体10時間以上かかるらしいけど、2人目だったリサ姉はあっさりと終了。所要時間は6時間程で済んだ。

 母子ともに健康で、命に別状はない。9月に妊娠が発覚してから、随分と早かった気がする。

 1年近く経った筈なのに、もう生まれたのかという感覚だ。ちゃんと子供が出来て喜んだのが、昨日の事のようだ。

 俺とリサ姉の子供は女の子で、杏奈(あんな)ちゃんの妹が出来た形だ。弟が欲しかった杏奈ちゃんには申し訳ないけどね。

 それでも妹が出来たのは嬉しいらしく、ベッドでリサ姉と並んで寝ている妹の頬を杏奈ちゃんが撫でている。


由衣ゆい~お姉ちゃんだよ~」


 俺達の新しい娘の名前は由衣だ。間島由衣まじまゆいという名は姓名判断の結果もよく、可愛らしい名前で良いと思った。


「ねぇ見て2人とも! 凄く可愛いよ」


「ああ、そうだね」


 俺は今年25歳を迎え、リサ姉は33歳となった。杏奈ちゃんは今年が高校受験の年である。

 今の俺達は4人で暮らす為のマンションに引っ越しており、色々と生活が変化している。住んでいる地域は実家から近い。

 すぐ近くではないけれど、電車を使わずとも立ち寄れる距離にある。徒歩や自転車でも十分行ける範囲である。

 お陰で前より実家との行き来が簡単になり、杏奈ちゃんも良く家に来ている。たまに泊まって行く日だってある。

 今は3LDKのマンションで生活しており、もう立派な家族だと言えるだろう。思い切って車も買ってある。

 

「大丈夫? リサ姉」


「……うん、結構疲れたけど平気や」


 由衣の隣で寝ているリサ姉は、流石に疲れた表情をしている。6時間で済んだとは言え、1人の子供を産んだのだ。

 どれだけ体力を使うのか、俺が正確に推し量る事は出来ない。ただ精一杯頑張ってくれたのだけは知っている。

 今日という日を迎えるまで、大変だったのを覚えている。つわりの期間や、安定期に入るまでは特にね。

 リサ姉の年齢的に、流産の可能性だってあったのだ。とても楽観視は出来ず、俺もハラハラしたものだ。


「由衣はどんな子になるのかな~?」


 制服姿の杏奈ちゃんは、妹の未来が気になるらしい。そんな杏奈ちゃんは現在、読者モデルをやっている。

 高嶺部長に憧れているだけに、同じ道をしっかりと歩み始めている。ちょくちょく高嶺部長とも会っているみたいだ。

 中学3年生になった杏奈ちゃんは、リサ姉とよく似ている。見た目はもう殆ど変わらない。まだ少し幼さが残っている程度。

 体格もリサ姉ともう殆ど変わらず、スタイルも抜群に良い。こんな女子が同級生に居たら、男子は大変だろうな。

 かつての俺のように、恋心を抱いたとしても不思議ではない。詳しくは聞いていないけど、かなり告白はされているみたいだ。


 幸いにも男女のトラブルで困った事はないらしい。上手くやっている様子だ。むしろ問題は同級生より大人達だ。

 俺は知らなかったけど、読者モデルをやっていると変なファンがつくらしい。若い少女を狙う大人達だ。

 高嶺部長だって、昔はそういうファンが居て苦労したと言う。ストーカーや盗撮などが主な被害だったそう。

 杏奈ちゃんはもう俺の娘なのだから、自由に夢を追いかけられるように協力している。ここで再び外見が役に立った。

 学生時代の頃みたいに、杏奈ちゃんが出るイベントに同行している。大きな体と父親譲りの顔が、良い牽制になっている。


「杏奈、そろそろ帰りや? 明日も学校やろ?」


「もうちょっとだけ。もうちょっとしたら帰るから」


 楽しそうに杏奈ちゃんは由衣と触れ合っている。それは良い事だけど、お昼から出産を始めて今は19時だ。

 受験生があまり遅くまで病院にいるべきではない。実家からそう遠くないクリニックだから、自転車ですぐ帰れる距離だ。

 もう少し居たい気持ちも分かるけどね。10分もあれば実家まで帰る事が出来るから。ただ親としては、そろそろ帰らせないと。


「あと5分だけにしよう。俺と晩御飯にしよう」


「はーい」


 このクリニックは旦那も宿泊出来る。だけど先に杏奈ちゃんを帰す方が先だ。娘の晩御飯を作るのは俺の役目。

 リサ姉のお腹が大きくなってからは、もうずっとそうしている。俺が料理を選任するようになって、もう半年ほど経つ。

 それまではリサ姉も台所に立っていたけど、限界というものはある。自由に動きにくくなってからは、俺が全てこなしていた。

 宣言通り5分が経過し、俺は杏奈ちゃんを連れて一旦実家へと向かう。病室を出る前に、杏奈ちゃんがリサ姉達に声を掛けた。


「明日もまた来るね」


「はいはい。ちゃんと勉強するんやで」


 由衣とリサ姉を残して、杏奈ちゃんと実家へ戻る。父さんは仕事が忙しく、最近遅くまで帰って来られない日が続いている。

 何でも有名なヤクザの拠点で、何やらあったらしい。同じく組が大阪で、家宅捜索を受けていた。恐らくそれ絡みだろう。

 新しい孫の顔を見る機会を失ったせいで、さぞ気合が入っているに違いない。近日中にまた、組事務所へ向かう映像が流れるのだろう。

 怒声を上げる父親の映像を観るのは、何度目になるだろうか。あまり嬉しい絵面ではないんだよなぁ。

 そんな父さんの分も作り置きをして、杏奈ちゃんと夕食を済ませる。朝にまた来ると伝えて、俺は再びクリニックへ。


「ごめんリサ姉、お待たせ」


「ううん、大丈夫やで」


 既に由衣の姿は無く、病院のスタッフさんが保育器まで連れて行ったらしい。これでリサ姉もゆっくり休める。

 ここから俺達の新しい生活が始まる。出産がゴールではなく、子育てのスタートだ。しっかりと面倒を見ないと。

 杏奈ちゃんで多少の慣れはあるけれど、毎日24時間一緒に過ごしてはいない。夜泣きの対応は経験した事がない。

 寝起きは良い方だけど、果たしてどうなるだろうか? 初めて父親として、幼い子供の面倒を見る。


「本当に良かったよ、無事に産まれて」


「もう33やからなぁ。何があっても不思議や無かった」


 不妊治療で一番怖いのは、間違いなく流産だ。悲しい結果になる可能性は常にあった。先ず無事に産まれる事が大切だ。

 続いて障害の有無だが、今のところは問題がない。妊娠中に分かる先天的な障害はない。他に何もないかは、まだ分からない。

 発達障害なら2~3年経たないと判断出来ないし、小学校ぐらいで判明するものもある。30代での出産は、それらのリスクが残る。

 何もない事を祈るけど、何かあったとしても俺の子だ。リサ姉との間に出来た、大切な命である事は何も変わらない。


「ありがとう、産んでくれて」


「うちが欲しかったんや、当然やんか」


 リサ姉と出会って15年が経ち、こうして俺達の間に子供が出来た。あの頃の俺が、願っても手に入らなかった未来。

 叶わなかった筈の光景が、日々増えて行っている。憧れのお姉さんと俺の子が、今日この世界に誕生した。

 これ程に嬉しい事があるだろうか? ベッドで横になっているリサ姉の手を握る。本当にありがとうリサ姉。

 まだまだゴールではないけれど、1つの区切りにはなった。由衣も含めて幸せな家庭を作っていく。これが俺の新しい日々の始まりだった。

明日で完結します。

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