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憧れの元ヤンギャルママ(30)が可愛すぎる  作者: ナカジマ
第3章 家族という関係
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第88話 それからの一輝達

 杏奈(あんな)ちゃんを保護してからの俺達は、とても忙しい日々を過ごしていた。先ずは杏奈ちゃんの親権問題について。

 逮捕された現在の高田(たかだ)夫婦は、定期的な虐待を行っていると判明した。主に暴力や行き過ぎた暴言などが中心だ。

 中学校の健康診断にて、体に複数の痣があると発覚。それから病院や児童相談所、警察へと連絡が行き虐待と認められた。

 高田夫婦は虐待の事実を認めて逮捕され、すぐに勾留された。実行犯は主に結婚した元女子大生で、旦那である高田さんは止めなかった。

 知っていて止めないのは同罪となる。ただ共犯というだけなので、元女子大生よりは罪が軽くなる。


 虐待の罪が軽かったとしても、親権は停止となる見込みで、これから2年間は親権を主張出来ない。今はリサ姉へと親権が移り、親子2人で同居している。

 しかし、問題はそれだけで終わらなかった。高田さんは別件で再逮捕される事となった。罪状は弁護士と裁判官に対する贈賄(ぞうわい)罪だ。

 当然金銭を受け取った裁判官と弁護士は、収賄罪で逮捕されている。どうやら元々裁判官と知り合いだったという可能性が浮上。

 お抱えの弁護士と共に、共謀したのではないかと疑いが持たれている。地方とはいえ、裁判官の収賄罪が発覚し大きな話題となった。

 裁判官を含む贈収賄事件は珍しいそうで、早々起きない事だという。そのせいで、リサ姉まで取材に巻き込まれてしまった。


 あくまで被害者側として報じられたので、名前などは出されていない。ただ少しの間は、周囲が少し騒がしかった。

 面倒事を避ける為、リサ姉達にはしばらく俺の実家へ避難して貰った。父さんも歓迎していたので、どうにか乗り切れたけど。

 4月早々からドタバタとしてしまい、去年とはまた違う形で休息が必要となった。そして迎えたGWは、2人ともマンションへと戻っている。

 もちろん俺も2人のサポートをする為、良く顔を出している。それは良いのだけれど、1つだけ問題があった。


「お兄ちゃんがパパになるの?」


「まあ……うん、そのうちね」


 こんなに早く杏奈ちゃんと向き合う事になるなんて。もっと先だと思っていたから、どう接していいのか分からない。

 杏奈ちゃんのメンタルが落ち着くまでは、再婚の話は避けていた。だって杏奈ちゃんは、再婚相手から虐待を受けたのだから。

 ただ俺の場合は昔からの付き合いがある為、そこまで拒否感を覚えないだろうとリサ姉が判断した。

 だから打ち明けてみたのだけれど、やっぱり困惑するよね。俺だって同じ立場だったらきっと複雑だろう。


「ママって、お兄ちゃんみたいなタイプが好きだもんね」


「杏奈!?」


 突然の発言に驚く俺達。いやまあ確かに離婚した高田さんも、ガタイが良くて強面だけどさ。どういう風に杏奈ちゃんは俺を見ていたんだ?


「良いんじゃないの? お兄ちゃんは誠実な人だし。あ、パパって呼んだ方がいい?」


「あ~うん、呼びやすい方でいいよ」


 思ったよりも杏奈ちゃんは、メンタル面に大きな影響を受けていなかった。ただし全くのノーダメージではない。

 高田さんが再婚した元女子大生のような女性が、物凄く嫌いになったという。見ただけで拒否感を覚え、蕁麻疹が出てしまう。

 心因性蕁麻疹だと医者からは診断されており、薬を貰っているが完治までは時間が掛かる。再発する可能性もあるという。

 症状が出る対象となる女性は、地雷系と呼ばれる女性達だ。結構多いタイプなので、生活する上で厄介な条件だ。

 東京方面ほどでは居ないので、まだ少しだけ救いはある。だがゼロではないので、症状が緩和するまでが大変だろう。


「それでアンタ、ホンマに一輝君の実家で暮らすつもりなん?」


「うん。おじさんが良いって言ってるから。転校はちょっと嫌だし、ママ達と暮らすのは高校からにするよ」


 しばらく見ていない間に、杏奈ちゃんは随分としっかりした女子中学生になっていた。しっかりと自分の考えを持っている。

 確かに今のマンションで、リサ姉と杏奈ちゃんが一緒に暮らすには狭い。というか、年頃の女子には少し辛いだろう。

 自分の部屋が欲しいという思いも理解出来るし、転校したくないって意見も納得の理由だろう。環境が大きく変化してしまうからな。

 

 元々杏奈ちゃんが、父親と暮らすと決めた理由でもある。嘘も教えられていたとは言え、友達関係については本人の意思だ。

 贈収賄事件とその点については関係がない話だ。杏奈ちゃんが望むのであれば、叶えてあげても良いと俺は思う。

 それに今は違うとはいえ、将来的に俺の実家が杏奈ちゃんにとっての祖父の家となる。無関係な他人というわけでもない。


「俺の部屋を使うんでしょ? 俺は別に構わないよ。もう何も置いてない空き部屋だし」


「せ、せやけどさぁ」


 そこまで頼り切りになって良いのかと、リサ姉は悩んでいる様子だ。でも気にしなくて良いと思う。だって父さんは、杏奈ちゃんの事も凄く可愛がっていたから。

 リサ姉を娘のように思っているのだから、杏奈ちゃんは孫娘みたいなもの。結構楽しい生活を送れるのではないだろうか。

 彼氏でも作ると少々……いやかなり煩いかもしれないけど。その場合は遠慮なくウザいと言ってやって欲しい。

 それから色々と話し合って、細かい条件を決めた。まず毎日晩御飯の時は、こっちで食べる事。リサ姉に内緒で、父さんからお小遣いを貰わない事。

 リサ姉の仕事が午前中で終わる日は、リサ姉が俺の実家まで行く事。リサ姉が居ないからと、ハメを外さない事などが決まった。


「私はママみたいに、不良じゃないんだけど」


 うーん、やっぱり反抗期ではあるらしい。リサ姉の過去を持ちだして、しっかりと反論している。案外やるなぁ杏奈ちゃん。

 

「そういう問題やあらへんの! 悪い遊びは中学から一気に増えるんやからな!」


「トクトクとByRealしかやらないよ」


 ああ、今時の女子中学生だなぁ。そうだよね、今の子達ならSNSが生活の中心だもんね。映える写真とか撮るのかなぁ。

 まあそれで楽しいなら良いんじゃないかな。あ、でも変な人と繋がりを持たないように教えないとか。

 一応俺、杏奈ちゃんの父親になるんだもんな。親として……父親ってどうするんだ? 父さんの真似で良いのかな?

 でもあれはなぁ……父親っていうか警察官だよな。ちょっと説教臭いっていうか、交通マナーの映像を見ている気分になる。

 お陰で良い学びになった事は多いけどね。その点については感謝しているけど。でも参考にして良いのかは微妙だ。


「なんやそのよう分からんのは? アンタ使い方分かってんの?」


「ママよりは分かるよ。ママはインターネット下手すぎ」


 何だか懐かしい光景だなぁ。こうやっていつも、やり取りをしていたなぁ。杏奈ちゃんはリサ姉に似て、意思が結構強いんだよね。

 だからこそ大丈夫だろうと思っていた。結果的には、全く違う理由で大丈夫ではなかったけど。親権がリサ姉に戻って本当に良かった。

 こんな光景が見られるのも、全てはそのお陰なのだから。不幸もあったけれど、これからは違う。2人共が幸せに暮らせる。

 

 もうリサ姉が杏奈ちゃんの事で悲しむ必要はない。杏奈ちゃんも虐待される事は無くなる。まあ俺はこれから大変だけどね。

 中学生を養いつつ、リサ姉との子供も育てていかないといけない。リサ姉は杏奈ちゃんの親権が戻っても、俺と子供を作る気でいる。

 気持ちは嬉しいけれど、予定よりも頑張る必要が出て来た。就活を頑張っておいて良かった。うちの会社は出世すれば給料はそれなりだ。


「それよりお兄ちゃん、私は弟が欲しいな」


「いやぁ……その、狙えるものじゃないからね?」


 杏奈ちゃんはもうお姉ちゃんになるつもりで居るらしい。受け入れてくれた事は嬉しいけど、弟が欲しいのか。

 期待に応えられるかは分からないけど、出来るだけ頑張ってみるよ。ただね、女子中学生があんまりストレートに言う事じゃないと思う。

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