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憧れの元ヤンギャルママ(30)が可愛すぎる  作者: ナカジマ
第3章 家族という関係
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第70話 初恋が成立する確率は低い

 会社での昼休み中、俺はいつも通り弁当を持って食堂へと向かう。到着すると、同期の西川(にしかわ)中沢(なかざわ)さんと合流する。

 いつもの流れで適当な席に座り、雑談をしながら弁当を食べ始める。今日の弁当は、リサ姉が作ってくれたもの。

 恋人にお弁当と作って貰うのはリサ姉が初めてだから、何だかとても嬉しく思う。リサ姉のご飯自体は、もう何度も食べたけど。

 ただこれまでとは意味が違うので、感じ方も違って来る。込められた意味というか、愛情みたいな何かが含まれているから。


「今日も彼女さんのお弁当?」


 中沢さんが少し覗き込みながら尋ねて来た。この2人には恋人が再び出来た事を明かしている。隠す事でも無かったから。


「そうだよ。今日も作って貰った」


「凄いよねぇ。私なんて、彼氏にお弁当なんて作らないし」


 やはり母親を12年間もの間、やって来た経験があるからだろう。リサ姉はお弁当を作るぐらいなんて事はない。毎日家族の為に作っていたのだから。

 俺も自炊をする方だから、誰かの為に毎日作るのは大変だと知っている。彼女の為に作っていた事もあったから。

 その苦労を知っているから、中沢さんを冷たいとは思わない。社会人1年目で余裕もないのに、毎日彼氏の弁当を作れなんて酷な話だ。

 俺だって自分の分だから作れていただけで、誰かの為に作ってはいなかった。それだって、殆ど前日の残りが大半だ。


「別に良いんじゃない? 今時女性が絶対に家事をやる時代じゃないし」


 むしろ出来ない人が居たって、構わないと思う。実際元カノは料理が出来なかったし。それぐらいでイチイチ目くじらを立てる事じゃない。

 昔は違ったとしても、今は夫婦共働きの時代だ。前提条件が違うのだから、古い考え方に固執する必要もないだろう。


「そうだよ中沢、気にする事じゃない」


 西川も同意見のようで、中沢さんを責める事は無かった。まだ居るっちゃあ居るけどね。女性は家庭に入れって考える人も。

 それで交際や結婚まで行けるのかは、正直微妙だとは思うけれど。そんな会話も挟みつつ、他愛もない雑談が続いていく。

 外に出ていない時のお昼休みは、大体こんな形で落ち着いて来た。たまに別の同期が混ざるぐらいで、そう大きく変わる事はない。

 社会人になって半年と少し、だいぶ慣れて来た気はしている。まだまだ分からない事も多いけど、俺には頑張る理由があるから。

 しっかりと稼いで、出産費用などの貯金を進めて行く必要があるのだ。リサ姉との未来の為に、お金はあるだけあった方が良い。


「それにしても間島(まじま)は凄いよなぁ。初恋の人と付き合うなんて」


「ほんとだよね~。初恋って殆ど実らないのに」


 2人からそんな感想を頂く。それについては、俺もビックリしているからなぁ。こんな事ってあるんだなと、未だに思っているぐらいだ。


「運が良かっただけだよ」


 リサ姉が離婚しなければ、隣に引っ越して来なければ。こうなる未来は訪れなかった。俺にとっては、不幸中の幸いだった。

 ただリサ姉にとっては、まだ全てが良かったとは言えないだろう。解決していない問題だってあるのだから。


「中沢は初恋って誰だった?」


「え~私? 誰だろう? お父さんかお兄ちゃんじゃないかなぁ?」


 雑談は初恋についての話題に移る。俺は少し遅い方だったから、小学校高学年になってからだった。早いともう少し小さい頃にするらしい。

 あんまり色気と縁のない生活をしていたのもあるだろう。昔から体は大きかったし、顔立ちもあまり子供らしくなかった。

 お陰で親密な女子というのは特におらず、どちらかと言えば男子と遊ぶ方が多かった。体育会系の女子となら、少し話していた程度。

 そんな俺が、初めて恋をしたのがリサ姉だった。女性としての包容力に、俺は惹かれて行った。そして今に繋がったわけだ。

 思わず気になったから、初恋が実る確率を調べたぐらいだ。交際で2割、結婚まで行くのは100人に1人らしい。恐ろしく低い確率だ。


「西川は誰だったんだ?」


 早くも1年目で、イケメンとして有名になった男が、誰に惹かれたのか聞いてみたくなった。交際ぐらいまでは、行けたのでは?

 

「俺かぁ? 確か、保健室の先生だった気がする」


「あぁ~定番よねぇ。学校の先生って」


 それは、中々難しい相手だよなぁ。でも気持ちは分かる気がする。体育会系をやっていると、保健室のお世話になる事は多い。

 転んで怪我をしたとか、突き指をしたとか。何らかの理由で保健室へ行くから、若い女性の先生だと男子としては気になるよな。

 俺の小学校は途中まで年配の女性で、後から若い女性へ変わっていた。その頃にはもうリサ姉が好きだったから、俺は特に何か思う事は無かったけど。

 だけど同級生の中には、好意を持っている男子が一定数居た。そういう初恋も珍しい事ではないのだろう。


「じゃあ西川君、女子を沢山泣かせてたのね」


 ニヤニヤと中沢さんが西川を見ている。確かにそうなるのか。西川を好きだった女子は、ライバルが大人の女性になるのだから。

 バレンタインとか、凄かったのだろうなぁ。俺なんてリサ姉以外から貰った事なんて……いや、何回かあった? まあでも全部義理だろう。


「西川は昔からモテただろうしなぁ」


「いやいや、泣かせてはいないから!」


 好かれていた事は否定しなかったな。そこに嫉妬心はないけれど、羨ましくはあるな。俺は昔から、怖がられる側だったし。

 女子に囲まれるとしたら、女子に嫌がらせをする男子が出た時ぐらいだ。注意して欲しいと、俺のところへやって来るのだ。

 何かそれはそれで都合良くないか、とも思いはしたけどね。仲の良い女子も含まれていたから、対応はしたけれども。

 思い返せば、俺の学生時代ってそんな事が多かったなぁ。告白がしつこい男子を制止する役とかさ。孤独ではなかったから良いけど。


「間島君もモテたんじゃないの?」


 中沢さんが突然そんな事を言い出す。そんなわけないだろう。このデカい体と、強面のお陰で浮いた話は一度だけ。

 彩智に告白されたのが学生時代のピークだ。1人でも居るだけで、十分モテているだろうと言われるかもしれないが。

 人生にはモテ期が3回あるというけれど、俺は1回しか来ていない。今更2回目が来ても困る……いや、来たからリサ姉が俺を?

 じゃあもう高嶺(たかみね)部長で使い切った事になるから、一応は3回来たのか? どう判断して良いのか分からないな。


「俺は全然だったよ。学生時代は元カノだけ」


 俺の回答が意外だったのか、中沢さんはキョトンとしている。そんなおかしな回答だったか?

 

「背が高いって、モテる十分な理由なのに」


「俺の場合はデカすぎたんじゃない?」


 リサ姉も似たような事を言っていたような? どうして俺がモテると思ったのだろうか? こればかりは謎である。

 いやまあ、今となっては2人の美女と関係を持てたけれども。でもコレをモテというには、ちょっと微妙過ぎないかな?

 世間一般で言うところのモテって、もっとこう何十人からも好意を寄せられるタイプの事だろうし。それこそ西川みたいな線の細いイケメンの事だろう。

 そんな雑談と昼食を終えて、俺達は食堂を出て行く。するとちょうど廊下を歩いて来た高嶺部長と鉢合わせた。


「お疲れ様です」


「あら3人共。相変わらず仲が良いわね」


 謝恩会以来、2人は高嶺部長とも気軽に話すようになった。中沢さんの影響が大きいのか、若い女性社員と話している光景が増えた。

 今では恋愛や、ファッション等に関する相談を良く受けているらしい。高嶺部長への誤解が、漸く解け始めたらしい。

 良い傾向だなと思うし、行動して良かったと思っている。それでも全ての恩が、まだ返せたとは思っていない。

 何かの形で、返せたら良いなと思っている。リサ姉と3人でまた、どこかへ行くのも良いかも知れない。今度リサ姉と相談してみよう。

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