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憧れの元ヤンギャルママ(30)が可愛すぎる  作者: ナカジマ
第2章 親友と大人の関係
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第58話 雫の趣味と夢

 今日もまた俺は、(しずく)さんの家に来ている。そろそろ見慣れて来た風景の中に、最近気になっているものがある。

 寝室の本棚に置かれている数冊のスケッチブックだ。旅行の時に言っていた、衣装の絵が描かれているのだろうか。

 まだスーツ姿のままで俺は、雫さんのベッドに座ったまま本棚を眺めている。今は雫さんがシャワーを浴びている最中だ。

 正直スケッチブックが結構気になっている。どんな衣装の絵を描くのだろうとか、段々と興味が湧いて来た。

 ただ勝手に触るのもどうかと思うから、手を触れるのは控えている。せめて本人に聞いてからにするべきだろうと。


「お待たせ一輝(かずき)……どうかした?」


 バスローブを着た雫さんが、お風呂場から出て来た。非常にセクシーで魅力的だが、今はそれよりも聞きたい事がある。


「あれって、衣装が描かれているんですか?」


 俺は本棚を指差し、スケッチブックに視線を向ける。その周囲には、デザインに関係する本が置かれている。だから多分、そうだと思うんだけど。


「……ええそうよ。気になるかしら?」


「そうですね。ちょっと気になってます」


 一瞬悩むような素振りを見せた雫さんは、スケッチブックを抜き取り手渡してくれた。見ても良いという事だろう。

 適当に選んだ1冊をパラパラと捲ってみる。するとそこには、物凄く丁寧に描かれた衣装の案が並んでいた。

 空白には色々な説明が並んでおり、どんな素材を使うか等も描かれていた。素人からみれば、もうこれだけで十分服が作れそうに見える。

 中には派手なドレスなども含まれており、スカートの細かい柄までしっかりと描き込まれている。

 俺にはプロのデザイナーが描いたものと、違いなんて区別がつかないだろう。既にプロ級じゃないかと思っているぐらいだ。


「す、すげぇ……これ、もうプロになれるのでは?」


「そうもいかないわ。まだまだ実力が足りていないのよ」


 そう言いながら、雫さんはも自分が描いたデザインを見ている。その姿はどこか悔しそうで、普段見せない空気がある。

 ここまで描けても、ファッションデザイナーにはなれないのか。何も知らない俺には、何が足りないのか分からない。

 雫さんが言うには、コンテストに何度か出した事があるらしい。だが今のところ受賞した事はないのだという。

 一体どれだけ厳しい世界なのだろうか。細かな線まで美しく、もう芸術の域だと思うのだけれども。


「ただ絵が上手いだけじゃだめなの。センスやその時の流行、流行りそうなデザインかどうかも大事だから」


「そ、そうなんですか」


 この中から何着か、実際に作成した事もあるらしい。ただその全てが、受賞する事なく終わっている。

 駄目だった衣装は、自分で着るか友人へ譲っているらしい。出来次第ではネットで販売もしているそうだ。

 ただブランドとして立ち上げられる程の売れ行きではなく、趣味の範疇を出られていないらしい。難しい話だよな、個人でブランドを作り上げるなんて。


「やっぱり憧れは捨てられなかった。いつか自分で、服を作って売る夢が」


「夢があるって、羨ましいです。俺には、特にないから」


 どうなりたいか、なんて考えても思い浮かばない。柔道は好きだったけど、日本代表を目指す程かと言えば違う。

 父親のように警察官になりたいとは、思った事がない。俺が目指した未来は、平凡に生きられたらそれで良いというだけ。

 お金持ちになるのは大変そうだし、下手な賭けに出るのも嫌だ。投資だなんだと、手を出す気にはなれない。

 そもそもお金持ちなれたとしても、やっぱりやりたい事がない。欲しい物が特別あるわけでも無いから。高級時計や車なんて、全然興味がない。


「読者モデルをやっていた時の写真とか、残ってないんですか?」


「……今日はやけに知りたがるわね? 私の事を知ってどうするのよ」


 美人上司と仲良くなったから、というのもある。どんな人生だったのだろうと、興味が湧いているのだ。シンプルにただ知りたいだけ。


「単純に興味本位というか、人生経験? みたいな」


「何それ。まあ良いわ」


 雫さんはスマートフォンを持って来て、画像を見せてくれた。かつての夢と情熱を、思い出したい時に見返しているらしい。

 読者モデル時代の雫さんは、如何にもクールなギャルと言った感じだ。俺の学生時代には流行っていなかった、ルーズソックスを履いている。

 最近またブームが来ているとか、ネットで見た気がする。分かり易いギャルのイメージそのままの姿で、雫さんが写真に収められている。

 物凄い美少女であり、きっと誰が見ても否定なんて出来ないだろう。衣装も含めて、とても可愛い姿だ。

 そんな事を思わず考えてしまう程、魅力的な雫さんが居た。様々な衣装を着て、ポーズを決めている。正直凄くカッコイイ。


「カッコイイですね。凄く人気だったんじゃないですか? 男子だけじゃなくて、女子からも」


「……そうね。ラブレターを貰った事が何度かあるし、後輩の女の子から告白もされたわ」


 だろうなと思う。こんな女子が学校に居たら、人気を集めるに違いない。しかもリサ姉まで居たのだから、当時は凄かっただろうな。

 人気者のトップとして、注目を集めていたのだろう。その分色々とあっただろうけどさ。良い事ばかりでは無かっただろう。

 それこそナンパとか、ストーカーだとか。美人は得と言うけれど、必ずしもそれだけだとは思わない。負の面は必ずある筈だ。

 様々なアレコレを乗り越えて、今があるのだと思う。そしてこれからも、この美しい上司は前へと進んで行く。きっとデザイナーとしても。


「どう? 満足したかしら?」


「ええ、ありがとうございます。俺、応援してますから」


 いつかきっと、プロのデザイナーとして成功して欲しい。10代の頃から、ファッションに携わって来た人の努力。

 報われないよりも、報われた方がきっと世の中の為だ。モデルをやっていた女性の考えた服が、誰かの琴線に触れる事もある筈だ。

 良い服を着られた時、購入する時は楽しいものだ。俺だって多少は気にしているから、良い物を買えた時の喜びが分かる。

 俺は男性だから、雫さんが考えた服を着る機会はないだろう。でもリサ姉が着る未来なら、不可能じゃないだろうから。


「どうしたの今日は? 貴方が落とさないといけないのは、私じゃないでしょう?」


 いつも以上に柔らかな表情を見せる雫さんは、揶揄うように俺を見ている。これは勘違いさせてしまっただろうか。


「口説こうとしたんじゃありませんよ。ただ純粋に、そう思っただけです」


「……そういう事にしておいてあげるわ」


 夢に向かって頑張る人を、俺は応援したいと思う。だって俺には、語れる程の夢がないから。ちょっとした目標ならあるけど。

 そんな俺からすれば、雫さんを応援するのは推し活みたいなもの。インフルエンサーやVtuberに、投げ銭をするみたいな感覚。

 頑張っている姿を見ていると、俺も頑張ろうと思えるから。自分から動くのではなく、牽引して貰うようなものか。


「さあもう良いでしょう。一輝もシャワーを浴びて来なさい」


「はい。お借りしますね」


 そう長い会話では無かったけど、また少し雫さんと仲良くなれた気がする。想いを知れたからだろうか。

 こういう日は気分が良い。単に雫さんとセックスが出来るからではない。美人上司の新しい一面を見られたという、そういう喜びだ。

 会社で俺だけが知っている雫さんの夢。いつか叶えて欲しいと思う目標。雫さんの事を、より人として好きになれたと思う。

 だけどやっぱりこの気持は、リサ姉へと向けるものとは違う。やっぱり俺にとって、リサ姉は特別なのだろう。

 それはそれとして、今日も色々と教えて貰う事となった。どれだけ雫さんは、性的な事に詳しいのだろうと、改めて戦慄させられた。

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