第50話 美女とビーチで
さて早速だけど、ハードなイベントがやって来たよ。まだホテルすら出ていないのに。
定番と言えば定番の日焼け止めだ。分かるよ? 背中側が塗り難いというのは見ればね。そりゃあ人間の腕は背中側に触れ難い。
そして海やプールに女性と来たら、こうなるのも分かる。でも2人で塗り合いしたら解決だよね? 何故俺が?
「しっかり頼むわよ」
ベッドに寝転んだ雫さんが、無防備な背中をこちらに向けている。外されたビキニの紐、真っ白な肌。ここ最近何度も見た光景。
触れた感触も知っているこの背中は、とても扇情的で刺激が強い。だが今はそういう時ではない。平常心を保たねば。
「雫の次はこっちもな~」
隣のベッドにはリサ姉が、同じように寝転んでいる。小麦色の肌を惜しげもなく晒ながら。まるで良い匂いが漂って来た気がしてしまう。
2人の美女が今、俺の前で魅力的な背中を見せてくれている。下心を抱かないように意識しているが、どうやっても無理だコレ。
うつ伏せになった2人の脇辺りから、はみ出た豊満な胸がヤバイ。どちらも大きいから、寝転べば潰れる。その光景は非常にエロい。
こんな姿を見せられて、平常心を保てる男が居たら教えてくれ。というかこれ、絶対わざとやっているだろう2人とも。
俺を刺激して楽しんでいるだろう。このまま何もせずに、済ませるのかどうか見ているんじゃ?
もしこれが罠だったとしても、正直乗ってしまいたい。だけど今は我慢だ。まだそういう時間じゃない。普通に海を楽しもう。
「際どい場所も触って良いわよ」
「それは自分でやって下さい」
なんて事を言って来るのかこの上司は。普段はクールな雰囲気を纏っているのに、中身はサキュバスみたいな人だ。
限界まで搾り取ろうとしてくるし、プライベートでは容赦なく誘惑して来る。とんでもない下着を着ている事もある。
とても良い物を見せては貰えたけど、理性を殺されてしまった。誘い方があまりにも上手いんだよな。
上司がエロ過ぎて困るって、どんな悩みだよ。普通はそんな悩みを抱える社会人なんて居ないだろう。
「はい、出来ました。後は自分でお願いします」
「間違いがあっても良かったのに」
やっぱりこの人、俺で遊んでいるな? 悔しいけど弄ばれるしか出来ない。雫さんの裏を掻けるだけの経験がないから。
ニヤリと笑う雫さんから離れて、今度はリサ姉の背中に日焼け止めを塗っていく。こちらも見慣れた光景だ。
しかし慣れたからと言って、魅力を感じないわけじゃない。いつ見ても綺麗なボディラインをしている。
細い腰としなやかな足、いつまでも触れていたくなる柔らかな肌。誘惑の塊が目の前にあるのだから困る。
何度抱いても飽きない背中は、いつ見ても女性としての魅力が溢れている。本当にこんな関係になるなんて思いもしなかった。
「何だか理沙の方が丁寧じゃない?」
「そ、そんな事ないよ! 手は抜いてないです!」
酷い言い掛かりだ。雫さんの時だって丁寧にやったのに。そりゃあリサ姉の方が仲は良いけど、差はつけていない。
むしろ上司だからこそ、より慎重になっていたぐらいだ。揶揄われたのだとしても、ハッキリそこは表明しておきたい。
当のリサ姉は特に何も言う事なく、ただ黙って寝そべっている。何を思っているのだろうか。
そのまま日焼け止めを塗り終わったので、俺達は今度こそビーチへ向かう。やっと緊張感のある状況から抜け出せた。
まあビーチに行けば、また別の意味で緊張感は必要になるけどね。2人が絡まれないようにしないといけない。
「エエ景色やなぁ」
「快晴で良かったわね」
俺達の眼前に広がっているのは、広い砂浜とそれ以上に広大な海。どこまでも続く青い空。大自然の素晴らしい景色だ。
就活で忙しい時期があったから、こうして海へ来たのは久しぶりだった。やっぱり夏の海は良いよな。プールも嫌いじゃないけど。
彼女と流れるプールに浸かっている時間も悪くない。まあ今は彼女が居ないけどね。何故かセフレなら2人も居るけど。
それはそうとして、俺達は場所を取りに向かう。朝一番じゃないから、既に良い位置は取られてしまっている。
少し海からは遠くなるけど、まだ空いている位置に荷物を降ろす。レンタルのビーチパラソルと、アウトドア用のテーブルセットを広げる。
「やっぱり男手が居ると楽ね」
「一輝君は特に力持ちやしな」
それが取り柄だからね。鍛えた肉体こそが俺の自慢だ。他は特に自慢出来る事なんてないけど。特別成績が良かったという事実もない。
俺はテキパキと寛ぐ準備を進めていく。これまたレンタルのビーチチェアも取りに行って、もう1本のパラソルを立てておく。
砂浜で寛ぐ準備は整った。後は泳ぐなり海風に当たるなり自由に出来る。水分は持って来たクーラーボックスに入れてある。
「2人共どうする? 先ずは海に入る?」
「こんだけ暑いしなぁ」
「そうね。先ずは海に行きましょう」
2人が賛成したから、俺達は海へ行く事に。貴重品はホテルだし、ちょっとした用途で使うお金は砂浜に隠しておく。
俺達は3人で海まで歩いて行く。炎天下に晒されていた砂浜は、かなり熱されている。この感覚はとても懐かしい。
砂浜の熱から逃れるように、俺達は海へと入っていく。冷たい海水が迎え入れてくれた。夏の暑さが吹き飛んで行く。
「気持ちエエなぁ~」
海水に腰まで浸かったリサ姉が笑っている。青い海に小麦色の肌がマッチしていてとても良い。海と砂浜が似合っている。
「たまには良いわね、こういう休日も」
全く日に焼けていない雫さんもまた、こうして見ると非常に魅力的だ。真っ白な肌に、黒のビキニは良く映えている。
こんな美女達と休日を過ごした経験はない。女子達と遊んだ事もあるし、彼女だって居た。でもこれ程の美しい女性達は居なかった。
可愛い女子達と、大人の美女はまた別物だ。特にこの2人は、10代や20代にはない大人の魅力が溢れている。
人生経験から来る余裕、積み重ねて来たもの。ただ容姿が美しいというだけではない。纏える空気が全く違うのだ。
「もう少し深い所まで行こうよ」
上半身まで海水に浸かってしまいたい。真夏の太陽がガンガンと照り付けているから。この浅瀬ではまだ肩まで浸かれない。
2人と海を歩いて行き、十分な深さのある位置まで到着した。俺の身長基準だと、2人には少しだけ深い。
軽く俺に掴まりながら、2人は浮かんでいる。そのお陰というか、別に狙ったのではないが、柔らかい感触が左右から伝わって来る。
リサ姉も雫さんも、人より大きなモノをお持ちだからね。というか雫さんの方は、絶対にわざと押し付けているな?
いや嬉しいけれどもね、ありがとうございますだけど。ただ挑発的な視線まで向けないで下さい。ここ、色んな人が居ますから。
「夏って感じやなぁホンマ」
リサ姉は意図してやっていない。胸が当たっている事を気にする様子は見られ無い。この辺りがやや天然っぽくて可愛いと思う。
「一輝は泳ぎ、得意なのかしら?」
「普通じゃないかなぁ? 昔に少しだけ習っていたから」
少しだけスイミングを習っていた時期があった。泳げるようになっておけと、父親から言われていたから。
警察で働いているから、川や海などで死んでしまった子供の事を良く知っている。だから習わせたと、大きくなってから知った。
習っていた当時は、ただ楽しくて続けていただけだ。柔道に興味を持つ前の話で、リサ姉ともまだ出会っていない頃だ。
「へぇ~そうなんや? 知らんかったわ」
「8歳ぐらいまでの話だからね。ちょうどリサ姉と出会う2年前ぐらいに辞めたから」
当時の話をしたり、俺とリサ姉が出会った頃の話を雫さんにしたり。海水に浸かりながら俺達は雑談を続けた。




