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第14話 これまでと違う関係

 アレから俺とリサ姉の関係は変わった。一昨日の夜、俺はリサ姉と肉体関係を持った。

 それからも継続を望まれた俺はリサ姉と、一言で表すならセフレの関係にある。

 本当にこれで良いのだろうか? 確かにリサ姉は魅力的だし、俺にとってあまりに都合が良い。

 昨日の夜も、結局またセックスをした。状況に流されているのは分かっている。


 初恋の女性であるリサ姉が、俺の前で全てを晒してくれた。一糸纏わぬ姿を見た。

 小麦色の肌をしたリサ姉の裸体は、あまりにも綺麗だった。最高の光景だった。

 大きいと知っていた胸は凄まじく、しかし腰回りはとても細い。

 信じられない程に蠱惑的でもあり、同時に返って来る反応はどれも可愛らしい。

 女性らしい体つきをしたリサ姉は、どこも柔らかですべすべだ。


 本物の大人の魅力を知ってしまった俺は、リサ姉を強く意識してしまっている。

 だがリサ姉は、交際を望んでいない。付き合うなら別の相手を選べという。

 自分にはバツがあるから、俺の相手に相応しくないという。そう言われると、俺も強くは出られない。

 順番は逆になってしまったけど、俺は責任を取って付き合うべきだと思った。

 だがリサ姉は、そんな必要はないと言う。でも俺とは関係を続けたいと言って来た。


 分からない、リサ姉の感情が。俺に癒しを求めるのに、恋人として居たいのではない。

 そんな事ってあるのか? 確かに世間にはセフレを持つ人は居る。不倫や浮気をする人も居る。

 セカンドパートナーなんて言葉まであるし、案外そんなものなのか?


間島(まじま)君! 今の信号を右折でしょ!」


 考え事をしていたら、運転を誤ってしまったらしい。曲がるべき道を通り越してしまった。


「すいません! この先でUターンします!」


 最近は高嶺(たかみね)部長ではなく、俺が運転をする機会が増えている。外回りに慣れさせる為だ。


「注意してね? 慣れて来た頃が1番ミスをし易いのよ?」


「はい、気を付けます」


 今はリサ姉の事を考えるのはやめよう。仕事に集中しないとな。

 とは言っても、ふとした時に考えてしまう。結局午前中は3回ほどミスをした。

 そんな本日のランチタイムは、高嶺部長とのタイマンだ。非常に気まずい。


「間島君、今日はどうしたのかしら? 妙に落ち着きがないわね」


 対面に座る高嶺部長は、別に怒っているわけでは無いらしい。ただ理由を聞いているだけだ。


「いやちょっと、プライベートで色々ありまして」


 幾ら上司とは言え、相手は女性だ。セフレという関係をどう思いますか? なんて聞けない。

 男性の上司であれば、まだ聞く事も出来なくはないが。それにしても、センシティブな話だけど。

 大体どう考えても、真っ昼間に話す事ではない。夜にお酒を飲みながら、仲の良い相手とする話だ。


「なるほどね。詳しくは聞かないけど、なるべく仕事中には考えない事ね」


「はい……」


 いやもう本当にその通りでしかない。そう言えば今日は、中沢(なかざわ)さんが計画した飲み会の日だ。

 そっちで2人に相談してみても良いか? 西川はともかく、中沢さんにも聞かせていいものか?

 どうするにしても、今は仕事を優先しないと。ただ分かってはいても、上手く整理するのが難しい。


「会社に戻ったら、少し仮眠を取りなさい。一旦リフレッシュすると良いわ。自己管理は社会人の基本よ」


「はい、すいません」


 昨日の夜も致してしまったせいで、寝付くまで時間が掛かった。

 隣で裸のリサ姉が寝ていて、落ち着かなった。リサ姉の良い匂いが、布団の中に充満していたから。

 お陰で睡眠時間はいつもより短い。集中力が欠けているのは、間違いない事実だろう。


「しっかり食べて、午後はシャキッとしないさいね」


 高嶺部長に要らぬ迷惑を掛けない様に、午後はしっかり仕事に打ち込んだ。

 仮眠を取ったらだいぶ集中力が戻り、余計な事を考えずに済んだ。

 テキパキと業務を終わらせて、退勤の時間となる。18時にタイムカードを切り、西川と中沢さんに合流する。


「お疲れ〜」


 仕事が終わったので、これからはプライベートの時間だ。3人でお酒を飲みに行く。

 今日は家で夕飯を食べない事を、リサ姉には伝えてある。少し申し訳ないが、1人で食べて貰おう。


「お疲れ間島」


「お疲れ〜間島君」


 飲みに行く店を決めたのは中峰さんだから、彼女の案内で移動する。

 地下鉄に乗って二駅。確かここって……高嶺部長に教えて貰った、あの居酒屋のある所だよな。

 そんな事を考えていたら、まさかのあの店だった。夜に来るのは初めてだ。


「俺この店知ってるよ」


「え? そうなの?」


 少し驚いた様子を見せる中沢さん。最近この辺りで働き始めたばかりの俺が知っていたから意外だったのだろう。

 住んでいる土地でも無ければ、出身地でもないからな。そりゃあ不思議だよな。


「高嶺部長に教えて貰ったんだ。昼にランチをやっているからさ」


「へぇ〜高嶺部長って、こういう所に連れて来てくれるんだな」


 西川も驚いた様子を見せる。高嶺部長へのイメージはどうなっているんだ?

 滅茶苦茶良い人なのに、見た目で誤解され過ぎだろう。確かにクールな人ではあるけれども。


「2人とも高嶺部長を誤解していないか? 凄く良い人だぞ」


 丁度いいので、高嶺部長への誤解を解いておく。この前は上手くいかなかったから。

 とても気遣いをしてくれるし、真面目で仕事熱心な女性だ。そんなに怖い人じゃない。

 むしろとても魅力的な女性だし、上司としても尊敬出来る人だ。何故怖いというイメージが広まっているのだろう?

 俺の知らない何かがあるのか? 他の部署と何かあったとか?


 それにしても高嶺部長が怖いというなら、俺なんてもっと怖がられている筈だ。

 ガタイが良くて優しい人には見えない顔。強面なのは警察官の父親譲りだ。

 最近まではマル暴と呼ばれていた捜査四課。暴力団の対策を行う刑事だ。

 インターネットでどっちがヤクザか分からないとか、良く言われているアレ。

 そんな父親を持つ俺と比べたら、高嶺部長は普通の女性としか思わない。


「そうなの? 私は先輩達から怖いって聞いたのよね」


「俺もそうだ」


 2人とも騙されているんじゃないか? 高嶺部長を怖い人だなんて。とても優しい人なのに。


「よし分かった。高嶺部長がどれだけ良い人か教えるよ」


 店内に入って注文を頼みながら、高嶺部長の良さについて俺は力説した。

 夜に来ると昼とはまた違った赴きがあるなとか、そんな事も考えながら。


「間島君て、高嶺部長の事が好きなの?」


 急にそんな事を中沢さんが良い出す。何故そうなる? いや上司としては好きだけどさ。

 お酒を飲みながら、魚介類をメインに食が進む。夜も良いなこの店。


「違うよ、俺ってこの見た目だろ? 誤解される事が多いから、高嶺部長みたいな人が誤解されるのは嫌なんだ」


 色恋的な意味で、高嶺部長の誤解を解きたいんじゃない。恋愛方面はリサ姉の方なんだよ。

 確かに高嶺部長も魅力的な女性だけど、そうじゃない。リサ姉との関係に俺は悩んでいる。


「話は変わるんだけどさ……その……2人はさ、セフレってどう思う?」


 2人に聞きたかったのはこっちの方だ。高嶺部長の件については、また別の話。

 本命はこの件で、2人がどう考えるか知りたい。だから思い切って話した。

 ある程度アルコールが進んだから、そろそろ良いかなと思って聞いてみた。


「別に良いんじゃない? 私の周りにも何人かそういう子いるし」


「本人達がそれで良いなら、別にって俺も思う」


 2人の意見はそんな感じらしい。俺が気にし過ぎなのか? 深く考えずにリサ姉と関係を続ければ良いのかな。

 結局どうしたら良いのか分からないまま、同期3人での飲み会は終わった。

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