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鷲羽国物語 〜異世界救済2 救済されない世界の話  作者: たかなしコとり


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4/10

その4 再出征

エシルが二日間の休日をとっている間、タニアは戻ってこなかった。

サディナが、王太子妃主催の茶会に呼ばれていったぐらいで、他にすることもなく、心ならずも「家でゴロゴロしたい」という希望がかなえられた格好だ。


その間に、また宝石屋が来ていたので、タニアに送るペンダントを注文する。

宝石屋に自分より一つ下の息子がいるのだが、そいつがいつも宝石屋の父親について来て、事あるごとにサディナの機嫌を取るのが気に入らない。きりっとした男前だ。サディナがうっかり引っかかってしまわないか、気になる。


「そりゃね。お父様が勧める将軍家の人がいいんだろうとは思うけど。」

サディナは笑う。

「結婚したら、その先ずーーーっとその顔を見て暮らすのよ?そりゃ人柄がいいに越したことはないけど、どうせなら、顔のいい人がいいに決まってるじゃないの。」

それもちょっと問題がある気がする。

でもまあ、見目でタニアを選んだと言われれば、言い返せないエシルである。


翌々朝、出勤しようと門番に門を開けさせたところに、タニアが戻って来た。

「おはようございます、兄さ・・エシル様。」

家令に叱られるので、タニアは最近屋敷の中での呼び方を改めた。


馬上から声をかける。

「行ってくる。」

「行ってらっしゃいませ。」

タニアににこっと微笑まれて、気分が上がる。

あーもう、本当に可愛い。どうしよう。馬を降りて今すぐ抱きしめたい。

「夕方には戻る。」

せいぜいしかつめらしく言い置くと、タニアはうなずいた。

「はい。お気をつけて。」


手綱を鳴らして馬を出す。

いい天気だ。なるべく早く帰って来よう。


しかしその日、エシルに特別任務が言い渡される。

先日捕らえた盗賊どもを王都に護送する際、近くの森に巣食う別の山賊の襲撃に遭って、取り逃がしたらしい。その盗賊どもを再度捕縛しろというものだ。

騎士団の中隊長に言われて、エシルはげんなりする。


「先日、討伐から帰ったばかりなんですが。」

「だからこそだ。逃げたらどうなるかを思い知らせねばならん。」

「はぁ。」


あそこはアレンダ侯領だから、本当は領主軍が兵を出して討伐するべき事柄だ。しかし反乱を起こさないように、領主軍の規模は千人以下と決められている。その代わり、手に負えない事象が起きたら、国王軍から兵を出すことになっている。

それをいいことに、結構こき使われていると思う。


「十日後には帰れますか。」

「それはお前の努力次第だ。」


なったばかりの小隊長に、あちこちの隊から寄せ集められて十人。

小隊が五つで中隊。その中隊二つで、再討伐に向かう。

みんなげんなりしているが、仕方ない。


翌朝出発と言われて、一旦家に戻る。

「お帰りなさい。」

屋敷に入ると、タニアが笑顔で出迎えてくれて、心がほどける。

「また遠征だ。」

「御役目、大変ですね。」


お前の誕生日までには戻る、と心の中で誓うが、口に出しては約束できない。

この前も、ただ盗賊を追い払うのだけで四日かかった。

こちらは地理に不慣れだし、逆にあちらには地の利がある。人数も多い。

盗賊どもの頭と思われる男を片端から射て、やっと逃げ散ったのだ。

何人か生きたまま捕まえて、情報を得ようとしたところに、この失態だ。


「仕方ない。収穫期に荒らされたら、どうしようもないからな。それまでに手を打っておかないと。」

「お気をつけて。」


横でサディナがにやにやしている。

「なんだ。気味が悪いな。」

「んー?兄様の幸せを願ってるだけよん。」


どうも怪しい。

タニアと二人で、こそこそ話していたり、くすくす笑っていたりするので気持ち悪い。

我が妹ながら、気風が良くて男前、思い切りのいい所があるので、何かしでかすのではないかという心配が少しある。

もし自分がタニアと駆け落ちした場合、おとなしくどこかの将軍家から婿を取ってくれるだろうか、と考えると、駆け落ちを止められたのは、結局サディナ自身のためだったんじゃないかと思える。


まあ、俺がタニアと結婚出来ればそれで済むことだ。


忙しくってなかなか投稿できません(涙

次話、気長にお待ちください

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