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武器を取れ、ドラゴンを殺す 第二部 『補欠の僕らも星を見る』  作者: 運果 尽ク乃
第二章 仇国の魔女

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20224 『骨』


 探偵目貫(めぬき)(あまた)と小野は、『セト』からの三つの質問の内容について、以下の数点のうちどれを聞くのかを相談していた。


 つまり。



 『六柱の【ドラゴン】とはどういうことか、【ラストイル】は七匹と言っていた』

 『【ドラゴン】はどこから来たのか、他惑星か?』

 『現代で遭遇した『河童』あるいは『くねくね』に心当たりは? 精神攻撃の対処法は?』

 『【ドラゴン】全体の目的は?』

 『【ドラゴン】の勢力はどの時代にいる?』

 『【印】のメリットとデメリットは?』


 大体この五点に絞られる。

 ポロルが質問をしてしまった事で質問数が一つ減ったものの、代わりに『セト』側から疑問を投げられた。


 これは好機だった。


「確認だ。オレたちは『七匹の【ドラゴン】を殺せ』と指示を受けている。『七匹』だ」

《それは『質問』か?》

「違う」


 本来ならば『質問』だった。

 ポロムが勝手に『質問』した時には焦ったが、今は褒めてやりたい位だ。


「オレたちはこの時代に来る前に、【ドラゴン】の尖兵と呼ばれる存在と交戦していた。ポロルが魂を失ったのはその時だ。

 ……オレたちから見れば全てが【敵対者(ドラゴン)】だが、もしやお前らは、複数の勢力なんじゃないのか?」


 【ラストイル】が乱暴に【ドラゴン】と分類しているだけで、実際には『名前が同じでも異なるもの』が混じっているのではないのか?

 美咲が言っていたように。


《だとしたらどう出る?》

「『お前たちの目的はなんだ?』これは質問だ。『何を目的に、この星をどうするつもりだ』?」

《ククッ、クッ、ククク……ッ》


 正解かよ畜生め。千は心の中で毒づいた。であるならば、これは三勢力以上の戦いになる。

 …………そして、千にとってあまり嬉しくない疑問も生まれた。


 【ラストイル】は、この地球を守る側なのか? 邪悪な侵略者は、自分たち側ではないのか?


《物事には順序がある。正しい順序で求めなければ、どれほど価値のある真実といえど疑念の闇に沈むものだ》

「もったいぶんなよ、『相手に答えを誘導して、さも自分で辿り着いた有意義な真実であるかのように思い込ませる』そりゃ詐欺師のやり口だ」


 口を挟む小野。千は頷いた。


《俺を信用せず、意見の一つとして考慮をするつもりか。賢いやり口だ。

 では答えよう……我々六龍は貴様らにとっては【敵】だ……しかし、ながらこの星の人類の【敵】ではない》


 千と小野は頷いた。【ラストイル】と【ドラゴン】は敵対している。しかし【狩人】にとっては、一方的に敵対している節がある。

 【ドラゴン】から【狩人】は友好的ですらあるのは『セト』の態度から見て取れた。


《侵略者は、現地人には優しいものだ》

「自分で言うのか……」

「いや……『だから』だろう。納得した」


 歯に衣着せない『セト』に千は舌を打った。『セト』は『セクメト』を動かさないために、過剰介入を止めに来たのだ。

 【シンビウス】がこの土地と人類を壊しすぎないように。人類を守るために。


「【ドラゴン】には【六龍】と『正体不明の侵略者』がいる。どちらも侵略目的だが、だからこそ敵対している」

「クソだな……やたらと【印】だ【祝福】だを配る理由は分かった。【狩人】も一般人もあまり違わないってことか……いや、【狩人】は積極的に【印】を与えたいんだな? 【共通の敵】を倒させるために」


 【共通の敵】。『河童』『くねくね』『わいら』……千は心中の警戒レベルを上げた。『セト』を信用しすぎるな。

 これは多人数戦のゲーム板で千たちは『自分たちには脅威ではないがもう一人の敵にとって邪魔な場所に立っている』だけ。すべてを話したとも思えない。


「この星をどうするかは?」

《最終的には平和にしたい。だが、その前に邪魔者を駆逐したいところだ》

「平和ってのは? 戦争がないし貧困もないみたいなあれか?」


 小野の言葉を『セト』は鼻で笑った。


《戦争も貧富の差も生物の根本原理だ。自滅しない程度なら健全さ。絶滅しない程度に繁殖すればいいという事だ……さて、俺の方からの話は十分ではないか?》

「オレが『そいつ』に遭遇したのは山林の中。獣の皮をつなぎ合わせたボディに、小骨の骨格。骨の矢を一度に無数に飛ばすやつだ。サイズは牛程もある」


 『わいら』のことを思い出しながら千は言った。

 軽自動車とか、散弾銃とかは分からないだろう。


「動くたびに小骨が振動して『わんわん』音がする。見た目はカエル……カエルは分かるか?」

《大丈夫だ。牛ほどもあるカエルか》

「ほとんど顔だけで、人間を一呑みにする、前足はフック状だった」


 千の説明に対して、小野が微妙な顔をしている。信じていない訳では無いが、信じられないのだろう。

 現代に、そんな怪物が存在していることを。


《『骨の略奪者』だな》

「骨?」


《現地調達した生物の肉体で構成する侵略機械の通称だ。最初に送られて来るもので、小型の偵察機だが……牛ほどもあるなら偵察よりも『資材』集め用だな。

 『いつ』の『どこ』だ? 侵攻が進んでいるぞ》


 千は一瞬だけ迷った。それは伝えていい【情報】か?


「『セト』お前の時間は可逆か? 不可逆か?」

《不可逆だ。可逆ならこんな罠を設置せずに根本を破壊する。俺の存在はお前らの魂よりも上の存在にあるが、この世界の管理者では無いため四次元介入は難しい》


「ならば、『何千年も先』だとだけ伝える」

《いい判断だ。それで……》


 『セト』がその剣呑な仮面をポロルに向けた。


《『骨』には魂を破壊する力などない。何があった?》




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