第6話 もう1人のヒロインとの出会い①
広大な草原が広がり、整備された街道から少し道を外れた地点。
「……くっ…!」
その場所で…水色の瞳、ライトゴールドの長い髪をハーフアップし、競泳水着のようなぴっちりバトルスーツ(白)、レザー長手袋(白)、レザーブーツ(白)…を身に纏う大人の女性が、4メートルほどの海蛇みたいな全身が水色の龍型バトモンと戦っている。
その女性はバトモンの攻撃を受けたのか所々から出血している。
その女性が戦闘に繰り出しているのは、2メートルの全身が水色の蜂型バトモン…そちらも女性と同様に戦闘によるダメージでボロボロの状態だった。
龍型バトモンの眼は『赤く光輝いて』いて、どうやら正気を失っているようだ。
「っ…ランサー避けなさい…!」
龍型バトモンは口から水のブレスを放ち、それが直撃し蜂型バトモン…ランサーは倒され地面に落ちる。
「くっ…やはりパワーもスピードも上がっている…だが、このままにしとくわけには…!」
倒れたランサーに駆け寄った女性は、ランサーを庇いながら龍型バトモンを睨みつける…。
テンカ「ずいぶんパワフルなバトモンを相手にしているのね、お姉さん」
「えっ」
ペガシス「私たちが助太刀してあげるわ、感謝しなさいよね」
そこに戦闘音を聞き付けやってきたのは旅をしているテンカたちで、3人は龍型バトモンと怪我した女性の間に割って入る。
「助太刀は感謝するが、危ないからさがっていなさい…今のあの子は普通じゃないんだ」
テンカ「ふむ…どうやら何か事情がありそうだね。だけど大丈夫、私はテンカ…まだ年齢としては子供だけど、これでもバトモンチャンピオンを目指してるの」
アオバ「テンカにペガシス、準備はいい?あの海蛇みたいなバトモンは蒼龍タイダルよ、主に口から水の技『アクアブレス』で攻撃してくるわ。普段はあんなに気性が荒くないはずなのに…かなり様子がおかしいから気をつけて!
それと、そっちの蜂型バトモンは…ランサー…どちらも成熟体だよ」
アオバからバトモンの情報を聞きながら、テンカとペガシスは戦闘体勢をとる。
タイダルから水のブレスがペガシスへと向けて放たれる。
テンカ「ペガシス『ウィングバリア』」
ペガシスは自身の周囲に気流による風の膜壁を作り、水のブレスを防ぐ。
「これは…あのバトモンが風を操って流れを作り出し、水のブレスを拡散させて威力を弱めて受け流しているのか」
テンカ「バトルカード『バインド』スキャン・イン!」
ペガシスが右手をタイダルに翳すと…魔力で出来た無数の光の縄が出現し、タイダルを縛り上げて身動きを封じる。
アオバ「さっすがテンカ、ナイスなバトルカード選びだよ!これで少しの間は時間稼ぎができるはず」
アオバの横で、女性は自身のバトルデヴァイスにバトルカードを読み込ませる。
「バトルカード『リカバリー』スキャン・イン!」
タイダルが動けない間にランサーをバトルカードで回復させ、その後2人はテンカとペガシスの横へと並ぶ。
「テンカとペガシスといったな、本当に助かった。ここからは私たちも共に…!」
テンカ「ふふ…それじゃあ、同時攻撃といきましょうか!」
『ソウルチャージ』
バトルデヴァイスを通して、2人は自身の精神エネルギーを相棒バトモンに注ぎ込む。
ペガシス「プチウィング!」
ランサー「ダブルスピアー!」
同時に放たれた2人のバトモンの必殺技が命中し、タイダルは叫び声を上げて爆発とその煙に包まれる。
「……あ…れ…私は何をして…?」
「ふぅ…タイダル、やっと正気に戻ったようだな」
煙が晴れるとボロボロになったタイダルの姿が現れ、その眼の色が元の水色に戻り言葉を話すようになり…ペガシスとランサーのダブル必殺技による衝撃で、タイダルは正気に戻ったのだった……。