第4話 テンカvsミサキ
ミサキ「……テンカとペガシス、それにアオバ…待ってたわ」
ペガシス「まあ、当然勝ち上がってくるよね」
アオバ「むしろ来てくれないと困るわ」
ムゥ「さあ2人とも、位置につきなさい」
私たち2人はバトルフィールドに立ってお互いに向かい合う
ミサキ「……私はこの校内大会が終わったら、グレートバトモンカップに出場するためステラトレーナーに認めてもらう旅に出る…だからチャンピオンコトリの娘であるあなたを倒して、その旅立ちの景気付けとさせてもらうわ」
テンカ「私もあなたにだけは負けるわけにはいかないかな、勝つのは私だよ」
ムゥ「決勝戦、始めなさい」
ペガシスをバトルデヴァイスから召喚する
テンカ「いくよ、ペガシス!」
ペガシス「ええ!」
ミサキ「いくわよ、クワロス!」
クワロス「まかせろっす!」
ミサキさんは、2メートルの茶色い身体でハサミをもったクワガタのバトモンを召喚した
アオバ「ミサキのやつ、バトモンを『成熟体』まで育てきってたのね」
ムゥ「彼女も万全の体勢で、このバトルに挑んでいるようね」
……。
創造神「基本的にバトモンたちは、生まれてから成長体→成熟体→完全体へと進化します。そして進化すると飛躍的なパワーアップを遂げるのです」
破壊神「本編では『キメラ』という魔族…バトモンが『完全体』を目指して第一部で暴れ回っていますね」
……。
ミサキ「バトルカード 竜鎧 スキャン・イン!」
バトルカードの効果で、1メートルの竜型自立ユニットをバトルフィールドに呼び出す
テンカ「そんな支援バトルカードまであるのね」
ミサキ「まだよ…バトルカード トランスフォーム スキャン・イン!」
バトルデヴァイスにもう一枚のカードが読み込まれると、竜型ユニットが光輝き始め…
ミサキ「バトルカードの真の使い方を教えてあげる」
そういうと、ユニットは竜の力を宿した鎧へと姿を変え…
着装!
そのままクワロスへと鎧が装備される
ミサキ「クワロス・アームズ 着装召喚!」
テンカたち「なっ!」
竜鎧を身に纏ったクワロスが、ペガシスの前に立ちはだかる
ミサキ「バトルカードの組み合わせは無限大…その一端がこれよ」
観客①「す、すげぇ…初手からこれかよ」
観客②「さすがはミサキさん」
クワロス「それじゃあ、いくっすよ!」
テンカ「っ…バリア スキャン・イン!」
攻撃を察知し、私は防御カードを使用する
ミサキ「無駄よ」
ペガシス「っあぁあ!」
クワロスが右手を振りかぶると、その威力でペガシスは簡単に吹き飛ばされ…たった拳1発で身に纏った魔力バリアが粉々に砕かれる
アオバ「な、なんてパワーなの…バリアのバトルカードをたった一撃で…!」
ペガシスに大ダメージを与えたあと、ミサキさんは私を指差して宣言する
ミサキ「よく聞きなさいテンカ!コトリさんを倒し、バトモンチャンピオンになるのはあなたじゃない!この私ミサキが、バトモンチャンピオンになる!」
テンカ「ふ…ふふ…さすがはミサキさんだ…だけどそれは無理よ!なぜなら私たちが、コトリ母さんを倒してバトモンチャンピオンになるから!」
ペガシス「当然!」
私たちの闘志は衰えない
テンカ「バトルカード ブロードソード スキャン・イン!」
ただのソードより広範囲を切り払えるカードで、ペガシスは攻撃を仕掛ける
クワロス「無駄っすよ!」
しかし、着装した鎧がその斬撃を防ぐ
テンカ「なら、ソウルチャージ!」
バトルデヴァイスを通して私は、ペガシスへと精神エネルギーを送り込む
ペガシス「プチウィング!」
ペガシスの必殺技を叩き込み、直撃したクワロスは爆煙に包まれる
ミサキ「それも効かないわ」
テンカとペガシス「…!」
しかし、渾身の一撃も少ししかダメージを与えることができなく…
ムゥ「クワロスはパワーはあるが、防御面に難があるバトモン。しかしその不安がある防御力を高めるためのバトルカードコンボか…さすがはジュニアチャンプ、戦術もオペレーションもすでにトップクラスね」
基本的なパワーもスピードも『成熟体』のあちらが上で、そこに鎧を着装したことで防御力も上回られ…バトルカードも必殺技も効かず、クワロスのー撃で体力が大きく削り取られ、圧倒されて追い詰められていく…
ミサキ「成長体のパワーではアームズの守りは突破できないわ、ペガシスなんてクワロスの敵ではないの」
テンカ「……なら、ペガシスの本当の力を見せてあげるよ」
それを聞いて、私とペガシスは不敵に笑ってみせる
テンカ「ペガシスの『バトルスキル・アクセルブースト』発動!体力が残り少ない時にバトルカードと必殺技の威力を2倍にする!」
ミサキ「なんですって!」
ペガシス・アクセルモード!
テンカ「バトルカード ロングソード スキャン・イン!いきなさいペガシス!」
ペガシス「はぁあああっ!ペガシスアクセルスラッシュ!」
クワロス「ぐぁああっ!」
威力が2倍になったバトルカードを発動し、素早い3連撃でクワロスの鎧を切り裂く
……。
創造神「バトルスキル(BS)とはバトモンが持つ能力で、特定状況化で発動するものやバトル開始時に自動で発動する…といった様々な条件で使用可能になります」
破壊神「先ほど紹介したキメラなんかはバトル中に『他のバトモンや人間が持つ能力と魔法などを吸収し、自分のものにすることが出来き…これはバトルカードまでにおよび、果てには電脳システムや神さえも吸収可能で…吸収した能力や魔法などは自由に扱える様になり、キメラは敵と戦えば戦う程に戦闘力が高まっていく』というバトルスキルをもっています」
……。
観客③「うぉお!すげぇ!」
観客④「ダメージを与えやがった!やるなテンカさんも!」
テンカ「どうかなミサキさん!これで形成逆転だね!」
ミサキ「あまり浮かれないことね、テンカ!バトルカード リペア スキャン・イン!」
バトルカードにより…砕かれたアームズが1つに戻っていき、元の形へと完全修復される
ペガシス「なっ」
竜鎧 復活!
クワロス「これで元通りっす」
テンカ「っ…くそ…!」
ミサキ「クワロスも大ダメージを受けたけど、まだまだ余力は十分よ…ソウルチャージ!」
ミサキさんから精神エネルギーを受け取りながらクワロスは、ペガシスに向かい突撃する
テンカ「ペガシス!足元の地面を盾にして!」
ペガシスは指示を受けロングソードで地面を切り出し、それを壁にする
クワロス「パワークロス!」
クワロスの必殺技が発動し、2本のハサミで挟まれて簡単に壁は粉々に砕かれる
テンカ「そのまま反撃!」
砕かれた瓦礫でのクワロスに対し目眩して、ペガシスはロングソードで攻撃を仕掛ける
ペガシス「ペガシスアクセルスラッシュ!」
ミサキ「クワロス!右、左、左で躱わしなさい!」
ミサキさんの指示でクワロスは、3連撃全てを的確に避ける…
ペガシス「なん…ですって…!」
ミサキ「ただ威力が2倍になっただけで速さは変わっていない…警戒していれば見切れるわ、だから私に同じ技は2度も通用しない!」
観客⑤「こ、今度は全部避けた!?」
観客⑥「ミサキさんもしかして、あの速い攻撃全て見えたの!?」
アオバ「……ミサキは自身もバトモンの動きについていけるように身体を鍛え上げてるの…私の見立てでは、動体視力や反射神経なんかもテンカと同じレベルなはずよ」
ムゥ「才能に加えて努力も怠らないか、本当に全くスキがないわ…もしかすると、実力はすでにステラトレーナーに匹敵するんじゃ…」
テンカ(つ…強い…!)
出会った時から強者が放つオーラを感じとってはいたけど、実際に戦ったミサキさんの強さは想像の遥か上をいくもので…
…だけど…!
ミサキ「私じゃなければなんとかなったのかもしれないけど、成長体のペガシスで成熟体のクワロスを倒すのは無理よ…諦めなさい」
テンカ「……アオバが私に教えてくれたの…トレーナーとバトモンは一心同体で、トレーナーは信頼し合ったバトモンと共に戦うことで一緒に成長するんだって」
私はペガシスを見て、そして2人笑って頷く
テンカ「私もペガシスも戦うことで成長していくということだよ!この戦いの最中もね!フルソウルチャージ!」
ミサキさんとのバトルで熱く燃え上がった魂をエネルギーに変換して、バトルデヴァイスからペガシスにありったけを注ぎ込む
ペガシス 進化!
身体が光り輝き、ペガシスの身体が再構築されていく…
ウィングペガシス!
……。
創造神「ウィングペガシスは四足歩行の獣型バトモンで、背中に生えた2つの白い翼で飛翔して超速で空を移動できます」
破壊神「必殺技は、風を圧縮集中させ一気に放つ『ウィングバスター』です」
……。
ミサキ「なっ…バ、バトル中に進化ですって!?」
テンカ「ウィングペガシス!進化したあなたの力を見せてあげなさい!」
ウィングペガシス「任せなさい!」
翼を羽ばたかせ、ウィングペガシスは残像を残しながら空を超速移動する
ミサキ「っ…は、はやい…!」
テンカ「進化させたことで、ウィングペガシスのバトルスキルも進化!スキル『ブラストエボリューション』はバトル中ずっと素早さが10%アップに加えて、体力が残り少ない時さらに素早さを10%アップしバトルカードと必殺技の威力が2倍になる!」
バトルデヴァイスにバトルスキルの表示がされている
クワロス「お、追いきれないっす…!」
テンカ「対応できていないこの一瞬…この一撃で決める!バトルカード アタック スキャン・イン!」
ウィングペガシス「ウィングバスター!」
クワロス「うぁあああっ!」
バトルカードの効果で次の攻撃の威力をさらに上げたウィングペガシスは、必殺技である風の光線放ってクワロスを場外まで吹き飛ばす
ミサキ「……!」
ムゥ「勝負あり、勝者はテンカとペガシス」
テンカ「ありがとうミサキさん…あなたとのバトルで、私はまた1つトレーナーとして成長することができたわ」
観客たち「うぉおおおっ!テンカのやつ、あのジュニアチャンプのミサキさんに勝ちやがった!」
ミサキ「私が…負けた…」
アオバ「ミサキ……っ…!」
歓声が上がった少し後、空に光り輝く『白と黒の混じったドラゴン』の姿があった…
周囲からは『あれはミサキさんのジュニアチャンプ時代の』『ミサキさんの最強ドラゴン』という声が聞こえてきて…
ミサキ「あ、あなた…見に来ていたの」
クワロス「会うのも久しぶりっすね」
ペガシス「あれがアオバの言っていた」
テンカ「ええ、ミサキさんの相棒みたいね…って、ペガシスその姿は」
全ての力を出し尽くしたペガシスは進化前の姿に戻っていた
ムゥ「どうやら一時的な進化だったようね」
アオバ「そうみたいですね…テンカの膨大な精神エネルギーを注ぎ込むことで、爆発的な力を少しの間発揮できていたみたいです。っと、そうだ…テンカにペガシス、おめでとう」
テンカ「アオバ、ありがとう。それより、ミサキさんは…」
ドラゴンの姿を見た後、ミサキさんはクワロスと2人どこかへと歩いていっていた
アオバ「…今はそっとしておくわ、あとでちゃんとミサキには説明してもらうけど」
……。
…。
ミサキ「……バトモンと一心同体で戦う…そしてトレーナーは、信頼し合ったバトモンと共に戦うことで一緒に成長するか…」
テンカとアオバの言葉を思い出しながら、私とクワロスは人気がない校舎裏へ向かっていた
ミサキ「私はあなたを信頼していた…だけど、私は自身のプライドのために1人で戦うことを選んだ…」
ミサキ「けど、本当は違ったみたい…勝ち続けることが当たり前になって、勝つのが当たり前だと言われるたびに、あなたと共に負けるのが怖くなって私は1人を選んだ…」
ミサキ「だけど、もうそんなプレッシャーなんか恐れたりはしない…テンカとペガシスのように、私もあなたと共に成長したい…」
私とクワロスは空を見上げる
ミサキ「だから、また私と共に戦ってくれるかしら…ホワイトアンドブラックドラゴン」
「……ええ、当然です」
そう言うと、相棒は私のバトルデヴァイスの中に入っていった……。