第2話 初めてのバトモンバトル
学園の校門をくぐると、グラウンドに人集りができていた…喧嘩か何かかな?
取り巻き①のタカシ「ははは!残るはそこの男たった1人か」
取り巻き②「いい加減諦めて、セコンド引退した方がいいんじゃないか」
アオバ「うっさいな、あんたら取り巻き2人に用はないの」
男女2人、そして女子1人と男子2人の計5人が向かい合っている
ミサキ「……アオバ、いい加減私を負かそうとするのは諦めなさい。私の強さは、私のセコンドだったあなたが1番知ってるでしょ」
アオバ「私はあんたが、そんな自分の欲丸出しの雑魚たちと連んでお山の大将してる姿なんて見たくないんだよ」
タカシたち「お、おい誰が雑魚だ!」
アオバ「てか最近のあなたのバトルは荒っぽいのよ、昔のあなたはもっと頭を使って戦略を立てて戦うトレーナーだったでしょ」
ミサキ「……それでも私に勝てる人はいないでしょ。綺麗事ばかり並べても、弱い人のいうことに説得力はないわよ」
アオバ「ふん、よーしそんなにいうなら負かしてやろうじゃない!ヨシオ、出番よ!」
ミサキ「……面白いわね、やるのかしら?」
そう言ってミサキという人がヨシオという男子を睨みつけてプレッシャーを放つと、ヨシオは後ずさる
「む、無理だろ『ジュニアチャンプ』に勝つだなんてよ!ジュニアチャンプのセコンドだったから美味しい思いができると思ってたが付き合いきれねぇ、俺はこのバトル降りるぜ!」
ヨシオは逃げ出す
アオバ「あっ!ち、ちょっと待ちなさいよ!」
ミサキ「はぁ…あなたの方こそ、人を見る目がないんじゃないかしら」
アオバ「あちゃ~あのヘタレが…!」
タカシ「ははは!あとはバトルできるのは誰がいるんだ…アオバ、お前がやるのか?」
アオバ「くぅ…私はバトモン持ってないからなぁ」
タカシ「ははは!おーい、誰かこいつを助けてやろうって奴はいないのかー?ドシロートでもセコンドよりはマシだからな、はっーはっは!」
アオバ「ぐぬぬ…私が雑魚って言ったから、ここぞとばかり罵ってくれてちゃって…!」
周りの声は…ジュニアチャンプのミサキさんに勝てるわけないだろ、ジュニアチャンプになってから無敗だしね…など聞こえてくる
ペガシス「ねぇテンカ、あの人間たちは何をしてるの?」
テンカ「喧嘩というやつかな。でも…ふふ…面白そうだね」
私はバトルデヴァイス画面に映るペガシスと会話しながら歩いて行き
テンカ「なら、私が代わりに戦ってもいいかな」
アオバ「……!えっと…あなたは…?」
ミサキ「あなた、見かけない顔ね」
テンカ「ええ、今日転入してきたばかりなの。私はテンカっていうの、よろしくね」
周りがざわつく…あいつ本気で戦う気なのか、という声も聞こえてくる
アオバ「あなた…テンカって言ったか、本当に私の代わりに戦ってくれるの?」
テンカ「ええ、面白そうだったからね。ああでも1つだけ言っておくと…君が必要以上にあの2人を煽ったからこんな状況になってるんだよ、君も悪いところがあるから反省はした方がいいかな」
アオバ「うぐぅ!」
テンカ「でもそのあと向こうも必要以上に場を煽っていたから、助け舟を出してあげようと思ったんだ…まあ、面白そうな展開だったというのもあるんだけどね」
ペガシス(……これって、ただテンカがはやく初バトルしたいだけなんじゃ…?)
ミサキ「……あなた見たところバトルが経験なさそうだけど、本気で私たちとやる気なのかしら?」
テンカ「ええ、これが初めのバトルになるけど…あなた以外の男子2人になら勝てそうだからね」
タカシ「な、なんだとー!」
ペガシス(……うーん…テンカも必要以上に煽っているような…。)
テンカ(ふふ…これも作戦だよ、怒ると指示などの視野が狭まるからね)
ペガシスとこそこそと話していると、タカシという人が前に出てきて
タカシ「初心者相手にミサキさんが出るまでもない俺がやりますよ、おいバトルだ!」
テンカ「ええ、しましょうかバトル」
そしてバトルが始まった…
私はちびっこい女性人型のバトモン『ペガシス』を呼び出し、タカシという人はがたいのいい男性人型バトモン『カッチマン』を呼び出しお互いに向かい合う
タカシ「いくぜカッチマン!」
テンカ「さあペガシス、油断せずにいくわよ」
私は1枚のバトルカードを取り出し、バトルデヴァイスにカードを読み込ませる
テンカ「バトルカード バリア スキャン・イン!」
バトルカードの効果により、ペガシスの身体の周りに薄い光のオーラーが展開される…
……。
創造神「バトルカードをバトルデヴァイスにスキャンすることで、カードに記憶されているデータから技を繰り出せるわ!」
……。
タカシ「カッチマン!ガンガン攻めろ!」
指示を受けてカッチマンは拳による攻撃を繰り出し、バリアを纏ったペガシスはそれをガードして防ぐ
テンカ「バトルカード ソード スキャン・イン!」
攻撃を受けきったペガシスが右手を振るうと斬撃が発生し、カッチマンにダメージを与える
タカシ「カッチマン、そいつをぶっ倒せ!」
攻撃を受けながらもカッチマンは反撃し、ペガシスにダメージを与える
テンカ「バトルカード リカバリー スキャン・イン!」
回復のバトルカードにより、ペガシスへのダメージが治癒する
タカシ「くそ…しぶとい奴だな…!カッチマン、早くそいつをぶっ倒せ!」
カッチマン「はぁはぁ!」
反撃でダメージを蓄積させ、そして攻撃し続けて疲労しているカッチマンを見て私は…
テンカ「攻め疲れたわね…それじゃあ決めるわよペガシス!ソウルチャージ!」
バトルデヴァイスを両手で持ってペガシスに向かって翳し、私の精神エネルギーをペガシスに向かって送り込む…
……。
創造神「ソウルチャージとはバトルデヴァイスを通して、トレーナーの精神エネルギーをバトモンに与えて能力を高める技です!」
破壊神「これでペガシスが『必殺技』を発動可能になりました」
創造神「『幼年体』とされるペガシスの必殺技は『プチウィング』です!」
……。
タカシ「ま、まずい…!防御のバトルカードはどこだ…!」
ペガシス「プチウィング!」
カッチマン「ぬ、ぬわぁああっ!」
両手に集中させた魔力で魔法を発動させ、強力な風の弾丸をカッチマンに向けて放ち…それが命中し、カッチマンはバトルフィールドから吹き飛ばされKOされた…。
タカシ「なん…だと」
私とペガシスが勝利し、周りが静まりかえっている
ミサキ「へぇ…あなた、やるじゃない」
アオバ「テンカ、あなた本当にこれが初めてのバトルなのか?信じられないくらいすごくいいオペレーションしてたよ!」
ペガシス「ふふん…まあ、私たちの敵じゃなかったわね」
テンカ「いい勝負だったよ、ありがとう」
私はタカシに向かって手を差し出す…が、タカシはその手を取らずに
タカシ「っ…こ、これはまぐれだ!」
「いいえ、まぐれなんかじゃないわ」
アオバ「あ、ムゥ教官」
教官と呼ばれた女性が、女性型のバトモンとこちらへと歩いてきた
ムゥ「彼女はチャンピオンの娘さんだからね、まぐれじゃなくて作戦勝ちだよ…まあ、戦闘センスもあるのだろうけど」
ミサキとアオバ「…!コトリさんの娘さん…」
ムゥ「タカシは頭に血が昇らず、バトモンをちゃんとオペレーションできていたらもっと善戦できてたのにね」
タカシ「…!」
ムゥ「それよりあなたたち、そろそろ授業だから解散しなさい…テンカさんは転入の手続きもあるから職員室へ案内するわ。
もしこの続きをしたいのなら、明日の校内バトモン大会で決着をつけるといいわ」
テンカ「……ん?校内大会…?」
ミサキ「コトリさんの娘さん、確かテンカと言ったわね。面白いわね、明日あなたと戦えるのを楽しみにしているわ」
そう言うと、彼女はタカシたちを連れて校舎へと入っていく
テンカ「…?今の、コトリ母さんのことを知ってるかのようなだったけど…」
アオバ(コトリさんの娘さんなら…もしかしたらミサキを…)