第1巻、第2章: 現実よりもビデオゲームがあればいいじゃない?
俺は退屈していた。
ただの退屈じゃない。骨の髄まで染み込んで、存在そのものを疑いたくなるような退屈さだ。だから当然、俺は何かをやることに決めた。楽しくて、ちょっとバカなことを。
「ヒヨリ!」神社のリビングルームから叫び、声が神社全体に響き渡る。「こっちに来いよ、いいアイデアがある!」
数秒後、ヒヨリが現れ、いつものようにイライラした顔をしていた。「何よ、Y/N?忙しいんだけど。」
「何が忙しいんだ?尻尾でも磨いてるのか?」と俺はからかいながら、彼女が尻尾を顔に向けて振り回してくるのを予測してかわした。
「お前のくだらない話に付き合ってる暇はないのよ」と彼女は言い返し、腕を組んだ。「で、その『アイデア』ってのは何?」
「俺は退屈してるんだ」と、まるでそれですべて説明できるかのように宣言した。「だから、ちょっと刺激を入れようと思って。」
ヒヨリは目を細めた。「『刺激』ってどういう意味よ?」
俺はニヤリと笑い、スマホを取り出した。「最後にやったゲームは何?」
彼女は突然の質問に驚いたように瞬きをした。「『コール オブ ウォー:古代戦争4』よ。[コール オブ デューティ:モダンウォーフェア4のパロディ]。それがどうしたの?」
「完璧だ」と俺は彼女の疑いの目を無視して言った。「で、バカどもはどこにいる?」
「一番のバカが言うセリフね。」
「うるせえ。」
ちょうどその時、スマホがグループチャットの通知で振動した。噂をすれば。
> 俺: こっちに来い。退屈してるんだ。
> フクハラ: また何だよ?
> コヤス: またお前の現実改変のくだらねえことが関わるなら、俺は遠慮する。
> ソセキ: 俺、森の中にいるんだぜ、覚えてるか?
> 俺: 森の中でどうやってネットに繋がってんだよ?…いや、前の章のことを忘れてた…まあ、これはフィクションだから続けるけどな。
俺は手をひらりと振って、全員を神社のリビングルームにテレポートさせた。フクハラとコヤスはふらふらと入ってきて、ぼんやりしている。ソセキは隅に立って、まるで命綱のように枝を握りしめていた。
「よく来たな」と俺はニヤリと笑いながら、彼ら全員が俺を睨みつけるのを見て言った。
「Y/N、」フクハラが低く唸った。「もしこれがまたお前のいたずらなら――」
「いたずらじゃない、冒険だ!」俺は彼の言葉を遮り、興奮を抑えきれなかった。
コヤスはうんざりした顔でため息をついた。「前回も同じこと言ってたよな、で、結局火山に放り込まれたんだ。」
「でも生き延びただろ?」と俺は反論した。
「3度の火傷を負ってな」とソセキが枝を手放しながら、俺を冷ややかに見つめた。
「気にすんな、お前真っ黒だから誰も見やしないさ!とにかく、今回はもっと楽しいぞ」と俺は彼らに言い聞かせた。「今回は、ビデオゲームの中に入るんだ!」
部屋は静まり返り、全員が俺のことを完全に狂った目で見ていた。
「ここに来る途中で頭を打ったの?」とヒヨリが冷めた口調で尋ねた。
「いや、本気だ!」と俺は続けた。「みんなが最後にやったゲームの中に入るんだ。実際に体験できるライブアクションシミュレーションみたいなもんだと思えよ!」
「それって危険だろうが」とフクハラが腕を組んで言った。「だからお前は絶対にやるんだろうな。」
俺は笑った。「その通り。」
俺が指を鳴らすと、部屋は徐々に消え、俺の現実操作の力が働く感覚が押し寄せた。俺たちは一人一人、それぞれのゲームの世界へと吸い込まれていった。最後にプレイしたゲームに合わせた異なる世界へと。
目を開けると、俺は薄暗いセキュリティオフィスに立っていた。ちらつくモニターと、きしむ古い扇風機があり、空気には何か古びて忘れ去られたような、不気味なカビ臭さが漂っていた。
「くそ…」俺は、自分がどこにいるかを理解してつぶやいた。「フランクリンのピザ屋か。こんなゲームどこで手に入れたんだよ?」
隣には、いつもの無表情でソセキが立っていた。「知らねえよ。俺持ってないんだけど、なんでここにいるんだ?」
「俺がそう言ったからだよ」と俺はニヤリと笑って、モニターを確認した。画面には、廃れたピザ屋のさまざまな部分が映し出されており、影の中で不気味にうごめくアニマトロニクスがいた。
「最悪だな」とソセキはため息をつき、俺が引き込んだ狂気にすでに諦めの色を見せていた。
俺はカメラを切り替えながら、フランクリン、つまりあの熊のアニマトロニクスが暗い廊下を忍び寄るのを確認した。
「さて、ただ夜を生き延びればいい。楽勝だろ。」
「これ、ロボットに殺されるゲームじゃなかったか?」ソセキが平坦な声で聞いてきた。
「そうだ。でも俺がいる限り大丈夫さ」と俺は自信満々に言った。「俺には現実改変があるからな、覚えてるだろ?」
ちょうどその時、フランクリンが画面上で動き、目が不気味に光りながら暗い廊下を進んでいた。
「くそっ」と俺はまたつぶやき、急いでカメラを切り替えた。「よし、作戦変更だ。死ぬな。」
「最初からそれが作戦だったろ」とソセキはいつもの無表情で指摘した。
俺はニヤリと笑った。「タッチéだな。」
夜が進むにつれて、アニマトロニクスはますます攻撃的になり、フランクリン、リッキー・ラビット、そしてゲイリー・グースがオフィスに侵入しようとしてきた。俺はドアやライトを駆使して彼らを防いだが、次第に状況は緊迫してきた。
「俺たち、いけるぞ」と俺は自分自身に言い聞かせるように呟いた。
「そうだといいがな」とソセキが廊下に目を凝らしながら応えた。
やがて、時計が6時を打ち、電力が切れた。暗闇の中で、俺たちは息を潜めて待った。
そして、ライトがちらつきながら戻り、アニマトロニクスが止まって、その目の光が消えた。
「生き延びたな」と俺は安堵の息を吐いた。
ソセキはただ俺を見つめた。「二度とやるなよ。」
「同感だ。」
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一方、ヒヨリは戦場の真っ只中にいた。銃弾が飛び交い、爆発が大地を揺らし、兵士たちが命令を叫んでいた。彼女はフル装備の軍服を着込み、肩にはライフルをかけ、目には鋭い決意が宿っていた。
「最悪だ…」と彼女は呟き、近くで手榴弾が爆発する中、カバーに身を隠した。「今日これが必要だなんてね。」
ヒヨリは決して挑戦から逃げるタイプではなかった。そして、すぐに状況を把握した。彼女は激しい戦闘の真っ只中にいて、周りは混乱と破壊に包まれていた。
「よし、やるしかないか」と自分に言い聞かせ、戦場へ突っ込んでいった。
彼女は敵を次々と正確に仕留め、戦場をまるで経験豊富な兵士のように動き回った。銃声と爆発音が耳をつんざくように響くが、ヒヨリは集中を切らすことなく、本能に従って混沌を乗り越えていく。
彼女は敵を次々と倒し、その動きは滑らかで効率的だった。これは初めての戦いではなく、最後でもないだろう。しかし、戦場に立つことでしか味わえない緊張感と興奮が、彼女を奮い立たせていた。
敵を一掃しながら、彼女は俺のことを考えずにはいられなかった。(もちろん、俺のことをだ。やっぱり彼女の頭の中に俺はいるのさ。)「あいつならこんなことするに決まってる。私に平和な一日を過ごさせてくれるはずもない。」
だが、イライラしつつも、彼女の一部はこの挑戦を楽しんでいた。全力でスキルを発揮し、本能に従って戦える機会なんて滅多にない。
「かかってこい」と彼女は呟き、ライフルを再装填し、次の敵の波に向かって突進していった。
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フクハラは広大なオープンワールドの端に立っていた。朝日が地平線から昇り、黄金色の光が景色を照らしていた。彼の手には剣と盾が握られ、衣服は冒険にふさわしい粗野なものだった。
「こいつはまた新しいな」と彼は景色を見渡しながら言った。
周りには美しい自然が広がっていた。緑豊かな森、そびえ立つ山々、そしてキラキラと輝く川。彼が慣れている都市の荒んだ風景とは正反対だった。
だが、フクハラは見知らぬ土地に臆するタイプではない。彼はこの世界がどんなものを隠しているのか、楽しみにしているようだった。
森を探索していると、彼はさまざまな生き物に出会った。中には友好的なものもあれば、そうでないものもいた。彼はモンスターを倒し、謎を解き、そして野生の馬を捕まえて広大な平原を駆け抜けた。
「これ、案外面白いかもな」と彼はゴブリンの集団を難なく倒しながら認めた。
彼はしばらくの間、ゲームのことを忘れて冒険に没頭していた。この世界では何でも可能だ。唯一の限界は自分の想像力だけ。そんな世界にいることは、何とも自由な気分だった。
だが、夕日が沈み始める頃、彼はここに来た理由を思い出した。
「Y/Nの野郎…」彼は頭を振って呟いた。「また俺たちを巻き込みやがって。」
だが、正直なところ、フクハラは楽しんでいた。キャンプの準備を整え、星空を見上げながら、彼は微笑んだ。
「まあ、悪くないな。」
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コヤスが目を覚ますと、彼は明るい色の教室にいた。壁にはポスターや飾りが貼られており、数人の少女たちが部屋の中でおしゃべりをして笑っていた。
彼は瞬きをして、周囲を理解しようとした。「ここは何だ?」
少女たちは彼に気づき、目を輝かせて彼の方を向いた。
「コヤス、ちょうどよかった!詩のクラブが始まるところなの!」と一人の少女が楽しそうに言いながら、紙とペンを彼に差し出した。
彼は紙を見つめ、それから少女たちに目をやった。「詩のクラブだって?ふざけんなよ。」
だが、少女たちはただ彼に微笑み、その目は興奮に輝いていた。あまりにも陽気で、逆に不気味なほどだった。
ピンクの髪をした小柄でリボンをつけた少女が、コヤスの腕を掴み、机へと引っ張った。「さあ、コヤス!心から湧き出る詩を書いて!」
「心からだって?なんてクソみたいな話だ」と彼はぶつぶつ言いながら、しぶしぶ席に着いた。
教室の周りを見回しながら、状況を把握しようとしたが、この雰囲気はどうにも明るすぎて彼の好みに合わない。まるでパステルカラーの悪夢に閉じ込められたようだった。
隣に座っていた長い髪の落ち着いた表情の少女が、穏やかな微笑みを浮かべて彼に言った。「何を書いてもいいのよ。真剣でなくても大丈夫。」
コヤスは深いため息をついて、諦めたように言った。「まあ、いいや。どうでもいい。」彼は紙に適当にくだらない詩を書き始めた。ウイスキーと失恋についての、今のこの甘ったるい環境にはまったくそぐわない内容だ。
詩を書き終えて少女たちに渡すと、彼女たちは集まって読み始めた。反応は――まあ、いろいろだった。
ピンク髪の少女はクスクス笑って言った。「すごく…違うわ!でも好き!」
落ち着いた少女は考え込むように頷きながら言った。「ユニークね。生々しくて感情的なエッジがあるわ。」
他の少女たちも同意して頷き、その目は感嘆の色を浮かべていた。
コヤスは彼女たちを見つめ、困惑した。「こいつら、正気じゃないな。」
だが、彼がさらに質問しようとした瞬間、教室の壁が奇妙に歪み始めた。色彩が暗くなり、現実が捻じ曲がり、まるで論理を超えた何かが起きているようだった。
「なんだよ、これ?」とコヤスは不安を感じ始めた。
少女たちの表情は急に変わり、さっきまでの陽気な顔が不気味に歪み始めた。笑顔が消え、その代わりに異様で不安定な表情が浮かんでいた。
部屋の雰囲気は急に不気味なものへと変わり、明るかった音楽が低く歪んだ不気味な旋律に変わっていった。
「コヤス…」一人の少女がささやき、その声が奇妙に反響して部屋全体に響いた。「ずっとここにいて…永遠に。」
「冗談じゃねえ!」と彼は叫び、立ち上がり、後ずさりした。少女たちは不自然な動きで彼の方へと近づいてくる。
「クソッ!」コヤスはドアに向かって飛び出し、背後から少女たちが迫ってくるのを感じながら扉を開けた。現実が捻じ曲がり、まるで悪夢から逃げようとするかのように、彼は暗闇の中へと飛び込んだ。
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一方で、俺とソセキは一晩を何とか生き延びたが、俺はまだこの楽しみを終わらせるつもりはなかった。
「ソセキ」俺はセキュリティモニターをめくりながら言った。「もう一晩残っていくのはどうだ?」
彼は無表情で俺を見た。「それなら目にナイフを突き立てた方がマシだ。」
「いいじゃないか、今が一番面白いんだぞ!」と俺はワクワクしながら言った。もちろん、彼が俺の興奮に全く共感していないのは分かっていた。
だが、ソセキが何か返事をする前に、またしても電気がちらつき始め、アニマトロニクスたちが再び動き出した。フランクリンが画面に現れ、その光る目でこちらをまっすぐに見つめていた。
「クソッ、来たな」俺はつぶやき、廊下の端にリッキー・ラビットが見えた瞬間、ドアを勢いよく閉めた。
ソセキは再びため息をつき、まるで運命を受け入れたかのように言った。「これ、全部お前のせいだよな。」
「最高だろ?」と俺はニヤリと笑いながら返した。「これが本当の楽しさってもんだ!」
「お前は本当に狂ってるな」とソセキは相変わらずの無表情で言った。
だが、彼がそう言いながらも、彼の目にはわずかに何かが浮かんでいるのを俺は見逃さなかった。それは挑戦へのスリルか、死と向き合うことで得られるアドレナリンかもしれない。たとえそれが、殺人ロボットという形の「死」であっても。
夜が進むにつれて、アニマトロニクスたちはますますしつこくなり、さまざまな手段でオフィスに侵入しようとしてきた。だが俺は、素早い判断と少しの現実改変の力を使って、何とか彼らを食い止めていた。
ついに、時計が再び6時を打ち、ライトがちらつきながら戻ってきた。アニマトロニクスたちは動きを止め、元の位置に戻った。
「やったな」と俺は安堵の息を吐いた。
ソセキはただ首を振った。「お前は狂ってるよ。」
「かもな」と俺は認めた。「でも楽しかっただろ?」
ソセキは答えなかった。ただ、いつもの無表情で俺を見つめていた。だが、俺には分かっていた――彼もどこか深くで、このスリルを楽しんでいた。彼がそれを認めることはないだろうけど。
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ヒヨリはまだ激しい銃撃戦の最中にいた。彼女の反射神経は鋭く、その狙いは致命的だった。敵の波を次々と倒していったが、戦いはまだ終わっていなかった。
「増援はどこだ?」と彼女は呟きながら、再びカバーに隠れ、弾丸が彼女の周りを飛び交う中、次の一手を考えていた。
戦場は混乱の極みで、至る所で爆発が起こり、敵が四方から押し寄せてきていた。だが、ヒヨリはまったく怯むことなく、冷静に敵を倒していった。これまでに何度も厳しい戦いを経験してきた彼女にとって、ただのバーチャルな兵士たちが相手では足りないくらいだった。
「さあ、かかってこい!」と彼女は叫び、カバーから飛び出して手榴弾を投げ、敵の一団を一気に吹き飛ばした。
戦場を駆け抜けながら、再び俺のことを思い出していた。(また俺のことさ、ヒヨリの頭の中で俺はずっと生きてるんだぜ!)「やっぱり、あいつはこんなことするに決まってる。なんで私に平穏な一日をくれないのかしら?」
だが、その苛立ちの裏で、彼女はこの挑戦を楽しんでいた。全力でスキルを使い、本能に従って戦えるこの機会を。
最後の敵を見事に仕留め、戦場は静まり返った。ヒヨリはライフルを下ろし、息を整えた。
「任務完了」と彼女はつぶやいた。
だが、彼女が休む間もなく、地面が揺れ、巨大な戦車が彼女の前に現れた。その砲口はまっすぐ彼女に向けられていた。
「ふざけんな」と彼女は呻き、ロケットランチャーを取り出して、最後の戦いに備えた。
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フクハラは密林を歩いていた。剣を構え、警戒を怠らずに周囲を見渡していた。この世界は自然の音で満ちていて、風に揺れる葉の音や、遠くから聞こえる野生動物の声が響いていた。
彼は何時間も探索を続けていたが、この奇妙な新世界にすっかり魅了されていた。ここには何か平穏なものがあって、昔のもっと単純な時代を思い出させるものがあった。
だが、フクハラは決して油断する男ではない。この世界には危険が潜んでおり、彼はそれに備えていた。
密林を進むうち、彼は焚き火を囲んだゴブリンの集団を見つけた。彼らは醜く、ねじれた顔をしており、火の光でその小さな目が不気味に光っていた。
フクハラは剣を構え、笑みを浮かべた。「よし、踊ろうか。」
彼はゴブリンたちに突進し、剣が閃くたびにゴブリンが一体ずつ倒れていった。彼らは彼のスキルには太刀打ちできず、数分で集団は全滅した。
ゴブリンたちを倒した後、フクハラは一瞬、満足感を感じた。久しぶりに良い戦いができた気がして、少しだけ解放された気分だった。
しかし、その勝利は長続きしなかった。足元が揺れ、彼は巨大な生き物がこちらに向かってくるのを見た。それは目が光り、恐ろしい咆哮をあげる巨大な獣だった。
「こいつはヤバいな」とフクハラは呟き、剣を構え直して、これから始まる壮絶な戦いに備えた。
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コヤスは暗闇の中を転がり落ちていった。詩のクラブのねじれた現実が闇に溶けていくのを感じながら、彼はどこに行くのかも分からずに進んでいた。だが、あの悪夢のような場所から抜け出せるなら、どこでもいいと感じていた。
やがて、彼は普通の通りに降り立った。空は晴れていて、空気は新鮮だった。彼は周囲を見回し、混乱しながらも、あの地獄のような場所から逃れたことに安堵していた。
「一体なんだったんだ、あれは?」と彼はぼそりと呟きながら、服についた埃を払った。
だが、彼がようやく落ち着きかけた時、目の前におなじみの人物が現れた。俺だ。いつものように自信満々の顔をしていた。
「楽しんでるか?」俺は広い笑みを浮かべて尋ねた。
コヤスは俺を睨みつけた。さすがに厳しい反応だ。「あの場所は何なんだよ?」
「それはな、『歪んだ心の詩』っていう俺のささやかな遊びさ。楽しかっただろ?」
「クソも楽しくねえよ」とコヤスは鋭く言った。「あの場所は本当に気持ち悪かった。」
「まあ、ただのゲームだしな」と俺は肩をすくめた。「それに、お前は生き延びただろ?」
「かろうじてな」とコヤスは髪をかき上げながら呟いた。「あれは本当に狂った場所だった。」
俺はただ笑った。「楽しんでもらうためだったんだ。もっと気楽にいこうぜ!」
「次はその『楽しみ』、俺には押し付けんなよ」とコヤスは言ったが、その顔には少しだけ微笑みが浮かんでいた。あの恐ろしい経験にもかかわらず、どこかで生き延びたことへのスリルや解放感を感じていたのだろう。
「分かった、分かった」と俺はまだ笑っていた。「ホラーはハロウィンまで取っておくよ。」