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神の罪  作者: 霊魂のミタマ
9/11

09.初めまして1

 昨日は紅炎にとって大きな一日だった。


 二度目となる戦いの経験。

そして、老人との出会ってからの身体の変化についてすべて話した。

両親からは心配と頼ってほしいという言葉を貰えたのは気持ち的にかなり楽になった。


 ただ、老人に再度会うまでは自分は何をすることが正しいのかが分からない。

襲ってくる化け物たちを倒し続けることが正しいのかも、人として生きることが合っているのかも。


 「おはよう...ございます。」


 今日は教室に居る生徒が多かった。

学校側から保護者と登校することが許可されたからだろう。

クラスメイト34人のうち28人の姿があり、うち約半分の生徒が保護者との登校だった。


 「おはよう。紅炎君。家族と来たの?」

 「いえ、一人です。」

 「そう...紅炎君はそうよね...。」


 女性の教師は少し俯いてそう言った。

紅炎のことを心配してくれてはいるのだろうが、なんというか微妙な空気になった。


 「俺のことは心配しないでください。多分大丈夫なので。」

 

 そう言って自分の席へスタスタと歩いて行く。

席に座ると気分が悪くなるほどの視線を向けられていることに気づいた。

いたたまれない気持ちと戦いずつ平常心を装いランドセルの中身を取り出す。


(何か気になるなら聞きに来ればいいのに。まぁほとんど答えらんないけど。)


 用意が終わった紅炎は机に突っ伏したままホームルームまでの時間が終わった。


 3限目 教科は算数

計算が得意だった紅炎は出された問題はすでに解き終わり答え合わせまでの暇な時間だった。

校長がドアを開け紅炎をことを名指しで呼んだ。


 「紅炎君。ちょっといいかな。」

 「はい」


 席を立ち教室の外へと歩く。


 「先生。ちょっと紅炎君借りますね。」

 「はい、わかりました。」


 ここで教師がだめだと言ったらどんな風になってたんだろうかなどというどうでもいいことを考えていたが、冷静になると校長に呼び出されるという事はとんでもない事である。


 「...マスコミですか?」

 「いや、君にお客さんが来てるんだ。」


(俺に客?母さんが心配で来たのか?いや、なら客なんて言い方はしないよな)


 心当たりの全くない客人が来ているというのは何かの恐怖体験だろうか。

これで見ず知らずの他人だった時どんな顔をすればいいのやら。


 「えっと、どんな人か教えてもらえますか?」

 「うむ。私よりもご年配の方が一人と紅炎君と同じくらいの子供が9人であった。」


 その言葉であの時の老人だろうと思った。

さすがに何も説明無はないだろうと思っていた。

そしてついに来た老人との再会の時。


(ここで聞けることは全部聞く。そしてこの力を返させてもらう。)


 紅炎は気づいていなかったがこの時血が出るほど拳に力が入っていた。



 「少年よ待っていたぞ。」

 「...まずは言う事があるんじゃないですか?」

 「あぁ、すまんかった。まさかこんなにやつ等が早く来るとは思ってなかったのでな。」


 本当に一発殴っても良いんじゃないかと思った。


 「さて、早速話したいところじゃが…校長先生やワシらだけで話がしたいのじゃ。すまぬがご退室していただけるかな?」

 「ええ分かりました。それではごゆっくり。」


 ドアが閉まるのを見届けた後、再び老人の口が動いた。


 「紅炎君。君の聞きたい事と頼みたいことは全て分かっておるんじゃが。」

 「なら話が速いな俺はか...」

 「神を辞めたいという願いはわしには叶えられん。」


 耳を疑った。

鎧の怪物と戦った時の痛みが蘇ってくる。


 「は?なんでだよ!おかしいだろ!理由を言え!」

 「それはわしがもう神ではないからじゃよ。神の力はわしからここにいるみんなに渡したからのう。」


 周りにいる自分と同じくらいの子供たちに目を向ける。

視線は紅炎に集められており、それぞれこの状況に何も感じていなさそうだった。


 「お前たちはなんでそんな風に居られるんだ!おかしいだろ俺たちがあんな奴らと死んでまで戦わないといけないのは。」

 「お前、もう死んだのか?」

 

 一人の少年が驚いた表情で紅炎に聞いた。


 「え、あぁ。刀で首切られたよ。本当に痛かったしあれは多分死んだ感覚だった。」

 「それは大変だったな。実は俺たちまだ戦った経験すらなくてさ。」

 「戦った経験すら!?おいどういうことだ爺さん。」


 出されたお茶を啜っている老人に怒りの視線を送りつけた。


 「そ、それはわしにはどうにもできぬわ!」

 「何なんだよほんと俺ばっかり。」


 頭を抱えた様子の紅炎を少年は微笑した。


 「さて、質問は後で、まずは神についての説明じゃ。まず本来神の力は一人分じゃ。それをわしは君たち10人にそれぞれ分け与えた。つまり君たちの持っている力は本来の神の力の十分の一なのじゃ。」


(この爺さんも神ってことは化け物と戦ってきたのか。)


 「次に神の寿命について。神の寿命は本来10億年じゃが、君たちはその十分の一の1億年じゃ。」

 「い、1億!?そんなに長い期間生きてるやつがいるのか?」

 「じゃが、実際には10億どころか1000年生きた神すらおらぬ。」

 

 (10億年が1000年未満にまで縮む...)


 「君たちも神様にお願いごとをした経験はあるじゃろ?あれの叶っている内の一部はわしらが叶えている。つまり、神には願いをかなえる力がある。そしてその願いを叶える為には神の寿命を削らなければならないのじゃ。そして、多くの神は戦いの末精神は壊れこの世界を去るためあらゆる願いを叶え寿命を迎える神が多い。」


 このことを聞いた時紅炎は自分にはもう幸せな最期は訪れないのだろうと思ってしまった。

人生におけるある意味の詰みであった。

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