05.2度目の
「ふぁ.... 」
涼しさを感じさせる風と、雲1つない...とまではいかないが青がよく見える空から降り注がれる日の光を浴びながら紅炎は大きくあくびをした。
普段と同じ道を通って学校に向かっている紅炎だが、頭の中はいつもとは違っていた。
あの事件が起こってなぜ今日もいつもと同じように学校があるのか、両親の心配を無視してまで行く意味はあるのか。
まだ幼い少年である紅炎にはわからないが、それでも行かなくてはいけないような気がした。
数分歩いたところで校門が見えてきたが、いつもより騒がしく、怒号のような声もいくつかあった。
どうやらマスメディアの取材者と、学校の生徒の保護者が押しかけていて、それを教頭の先生が対応しているようだった。
(まぁこんなことになってるだろうなと予想はしていたけど....がんばれ教頭先生)
一般生徒である紅炎にはどうしようもないことなので人だかりの横から門を通った。
中に入ると警察が数人何かしら今回の事件についての情報集めをしているようだった。
「……いや、ちょっと待て。」
紅炎は違和感に気づいた。
(昨日は確かにここら辺にあった化け物の死体が跡形もなく無くなっている...)
警察が来てるからとはいえ、一晩で運べる大きさじゃないはず……)
様々なことを考えたが、ひとまず大人が何とかしてくれるだろうと思い、教室へと向かった。
「なぁ紅炎!すごいことになったな!」
「もしかしたら紅炎すごい表彰されるかも!」
「あんまり目立ちたくないからいやだ。というかお前ら誰も人に言うなよ?俺が倒したこと。」
「「えぇーー!」」
昨日と同じくクラスメイトが紅炎の周りに集まってくるが、その人数は昨日と比べると半分以下だった。
(まぁあんなことがあったら当たり前か。むしろ来てるほうがおかしいよな。)
周りの生徒の声を適当に返しながら紅炎は窓から昨日には化け物の死体があった場所を見ていた。
ホームルームの開始を知らせるチャイムが鳴ると、周りにいた生徒が話しながら自分の席へと着席する。
(十五人くらいか...)
紅炎はクラスの席がどれくらい埋まっているのかを見た後、急いできたであろう教師に目を向けた。
「みなさん、おはようございます。昨日はいろいろありましたがよく来ました。」
あまり元気のない声と表情で生徒たちを見回しながら静かに教師はそう言った。
それからはいつもどうりホームルームが進行し、授業までの空き時間になった。
相変わらず紅炎の周りには人が集まっていた。他のクラスからも集まってきていたせいでなかなか席を離れることもできなかった。
「……待った待った。俺は何度も言っているがこんなことになったり湯は俺にだってわからないし、そんなに良いものでもないと思う。」
席を立ち今周りにいる全員がしっかりと聞こえるであろう声量で紅炎は話した。
「だから俺にどうこう言おうが回答は期待しないでくれ。あとテレビの取材とかには俺的には出たくない。面倒だから。」
紅炎は静かにため息をつきゆっくり席に座りなおした。
それからというものあまり質問攻めはされなくなった。
時々普段どうりの会話をするくらいっで紅炎のいつもの学校生活に戻りつつあった。
給食終わりの5限目ではほとんどの生徒が眠そうだった。
休んでいる生徒が多かったのでかなり多く給食が余ってしまったからである。さらに今日は5限目が国語なのでさらに眠さを加速させる。
窓際の席である紅炎は外を眺めていた。異変に気が付いたから。
鎧を着た武者のようなものが歩いていた。こちらに向かって。
「先生すみません!」
説明をしている時間はなさそうなので紅炎はすぐに教室を出た。