10.初めまして2
それからも老人の話は続いた。
あまり頭には残ってないが。
「さて、説明は大体終わったが、夢を叶える力には隠されていることがあるんじゃが...何の情けか1度目の願い事は寿命が減らないのじゃよ。」
「1度だけ?」
「何故か1度目だけな。お前たちの場合誰か一人の1度目だけじゃな。本来神が死んで勝手に新しい神が生まれるから伝えるなんて事が今まで無かったからか知っておる神はほぼおらん。」
そんなものがあるなら神をすぐに辞めることも出来そうだが多分無理なのだろう。
何故かそんな気がした。
老人はしばらく話した後部屋を出ていき少年少女らの話し合う時間ができた。
「お前が紅炎だな?」
一番初めに話し出したのはいかにもクラスの人気者感が出ている少年だった。
静寂の空間が気まずかったのでそれを壊してくれた事に心の中で感謝した。
「...あぁ。」
「...ま、まぁ面倒なことになったけど一緒に頑張ろうぜ。なんせ俺たちは普通の神とは違う10人組だ。協力したら何とかなるって。」
「お前は強いな。」
少年は少し照れた様子で頭をかいていた。
「そういや自己紹介まだだったか。俺は碧斗だ。一応能力は氷を出せるって感じ。」
「一応名前からだと俺は紅炎。能力は火を出せるっぽい。たまたま出た1回しか使ってないから詳しくは分からん。」
二人の自己紹介タイムに気づけば他の子たちも集まってきていた。
「俺は力也。能力は斬撃を出せるっていうまぁアサシン向きなやつ。」
黒い髪に赤いメッシュの碧斗ほどではないが明るめな子だった。
そして流れから男子陣がまず全員自己紹介することとなった。
「...僕は雷音...です。電気がでます。」
少し俯きながら名前と能力について話している小さな子をポンポンと叩く手があった。
「こいつ結構人見知りなんだ。聞き取りづらいかもしれないが許してやってくれ。あ、俺は黒部。なんか名前っぽくないとかよく言われるんだが俺もそう思う。ちなみに能力に関してだが実はまだ分からないんだ。」
「能力がわからないとかあるのか?なんか気づいたら出せるものってなったんだが。」
「まぁ紅炎は戦闘経験あるし俺も戦ったら分かるかもしれない。けどそれでも分からなかったとき俺は足手まといになるんじゃないかっていうのが不安だな。」
恐らくこの中で一番明るいのは黒部だろう。
クラスに居たら人気者ですぐにクラスのリーダー的な立ち位置に就くほどの子だというのはこの時点でもよく分かる。
だからこそというべきか、今黒部がどれほど不安を感じながら話しているのかが分かった。
「おっとすまん。俺なんかの話で進行止めちまって。」
「...はぁ。ほんとどのタイミングで話したらいいのか分からなくなるところだったよ。俺は葉陽。能力は植物の生長を弄れる。そして,,,」
葉陽は自身の後ろに隠れていた小さな女の子を前に出した。
「こいつは葉月。能力は好きなところに好きな植物の種を植えられる。」
(なんというか見た目といい能力といい双子みたいだな)
緑の髪にみどりの瞳というなんとも目に優しい二人がこちらを見ている。
「紅炎の今思ったことを当てようか?」
「...どうせわかってるだろ。」
にやにやしながら聞いてきたのが少しうざかったので素っ気なく返す。
「まぁ俺たちは双子だ。二人でワンセットみたいな能力だから片方だけの時は頼りないかもな。」
「でも二人そろえば?」
「そらもう最強よ。」
少女も隠れながら首を縦に振っている。
葉陽が「言うことは分かってるよな?」みたいにこっちを見てきたので仕方なく返せばものすごい速度で決め台詞を決められた。
ここまでで男子が紅炎を含め6人と女子1人の自己紹介が終わり残すところ女子3人。
割と緊張感が無くなってきて緩い会話も交えつつ自己紹介が続いた。
「私は水城で能力は水を出せるんだけど、自分が出した水なら色々操作できるんだよねー。まぁそんな感じでよろしく~!」
水城は挙手のポーズをとりながら勢いよく自己紹介を終わらせた。
容姿は青い髪が肩の少し上までの長さで、美しい青い瞳と同い年くらいの女子としては身長高めだ。
「は、はじめまして。わ、私の名前は...やっぱりムリ!」
白く輝いている髪が腰あたりまで伸びていて、小さくてあまり聞こえづらかったが聞いているととても落ち着く声だった。
背丈は女子としては高くもなく低くもなくといった感じだ。
「ごめんね~。紅炎のこと見てると緊張するっぽくて。」
「えぇ...俺だけ?」
「ごめんなさい...。」
初対面で嫌われてしまうほど何かしてしまっただろうか?
「あの...見ずにで良いなら多分大丈夫」
「ならそれでも全然。」
「ありがとうございます。」
そう言うと彼女は紅炎の180°反対を向いて話し出した。
「初めまして。葵羽です。怪我したら言ってください。直しますので。」
紅炎のほうを見ていないだけでこんなにしっかり話せるのかと思うと悲しさが込み上げてきた。
「あ、あと私か。」
少しボーっとしていたであろう少女が紅炎のそばに寄ってきた。
「ちょっとなにして...⁉」
急に近寄ってきたかと思えば手を握られたり抱きつかれたりして声が出てしまった。
「私は恵っていうんだ~。能力はね~祝福を分けることができるの。」
桃色の頭を紅炎に引っ付かせながら話していた。
「祝福?」
「分かりづらいよね~。まぁサポート系だと思ってくれたらいいよ~。」
「結構便利なんだよね」と少し得意げに言いながらさらに頭を紅炎に擦りつけていた。
「...さっきから何してるんだ?」
「ここ、落ち着く~。」
碧斗に助けてくれという視線を送りつけるが、あきらめろと言わんばかりに首を横に振られた。
なんというか一体感の無い少年少女10人でこれから先何とかやっていけるのかと不安な紅炎だった。
遂に10話目です。ここまで約2年半というだらけにだらけ切った結果です。最近頑張ってるのでどうかお許しを...。それはさておきついに神となった子たちが揃いましたが、紅炎と碧斗以外の8人を考えるのには本当に時間がかかりました。碧斗は黒髪で能力は氷という設定を書き始めた時から決めていました。ですが、ほかの8人に関しては能力と見た目をぼんやりとした状態、低解像度のままで中々決め切るのが難しかったです。(もしかしたら今後キャラ設定に修正が入るかもですが許してください。)まぁそんなこんなでやっとスタート地点です。小説家の端くれで拙い文章ばかりですがこれからも何卒よろしくお願いします。




