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⑥ ロシアを陰で支援する国々の理由と“多極化“のトレンド

筆者:また、『ロシアへの影の賛同国』若しくは「中立的に支援している国」と言うのはかなりの数存在しているんですよね。


 NHKの6月16日の記事『ロシアで国際経済会議 欧米の参加ほとんどなく断絶鮮明に』

『ロシアでウクライナへの軍事侵攻後はじめてとなる、大規模な国際経済会議が15日、始まりました。プーチン大統領が重視する恒例の会議ですが、今回の参加者は、中東、アフリカなど、ロシアと結び付きが強い国ばかりで、制裁を強める欧米との断絶が一層鮮明になっています。


 ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで15日に始まった「国際経済フォーラム」は、主催団体の発表によりますと、115の国と地域から企業の代表や政府関係者などが参加する見通しです。

 おととしは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止されましたが、主催団体によりますと、去年は140以上の国と地域から、1万3000人以上が参加したということです。』


 この記事を読むとロシアの主催する経済フォーラムに対して日本を含む欧米は参加していない――とも読み取れます。

 確かに前年と比べると25か国減少はしていますが、逆に言うとそれでも全世界のうち過半数の国が参加しているとも言えるわけなんです。


 『明確に反対をする国ではない国』と言うのは思ったよりも存在するみたいです。



質問者:なるほど……。

あと、ロシアって原油生産国としても有数ですけど、価格が下がらないことが経済的に支えられていますよね。価格はどうして高いままなのでしょうか?



筆者:それも「影の支援国」の影響があります。


 産経新聞2022年9月5日『OPECプラス、10月減産 原油段階的増産から転換、8月水準に』の記事によりますと、

『石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど主要産油国でつくるOPECプラスは5日にオンラインで閣僚級会合を開き、10月に減産することを決めた。9月に日量10万バレル増産したが、8月の水準に戻す。世界経済の減速懸念などから足元の原油価格は下落しており、これまでの段階的増産から方針を転換した形となった。


 OPECプラスは8月の前回会合で9月に日量10万バレル増産することを決めた。バイデン米大統領がサウジアラビアを訪問し、増産を直接促したが産油国側は大幅な生産拡大に応じなかった。サウジアラビアが8月下旬に示唆した減産に同調する声も広がっていた。』


 とあります。この記事だけを見るとよく分からないと思うんですけど、アメリカのバイデン大統領は物価高の要因の一つとして原油高があるので増産をして価格を下げるよう要請していたんですね。


それに対してロシアはメインの外貨を稼ぐ資源としての原油は非常に重要なポジションを担っています。ロシアはOPEC諸国に減産を要請し、原油高を狙っていました。

つまりはロシア側に中東は応じたことになるということです。



質問者:なるほど、ロシアを支援している国は中国やインドだけでは無いのですね……。


 どうして、ロシアを陰ながらでも支援する国がそんなに存在しているのでしょうか?

 人権侵害や侵略行為などロシアや中国に正義があるとはどうしても思えないのですが……。



筆者:単純にその2ヵ国の最近の行動について考えると僕もそう思います。

 しかし逆を考えてみましょう。アメリカやヨーロッパが本当に“正義”なのかということです。



質問者:どう言うことでしょうか?



筆者:確かにロシアとウクライナの問題に関してロシアは住民に対する攻撃を行うなど酷いことをしています。また、穀物や肥料の輸出が戦争後から行わなくなったので、発展途上国に対して食糧難を誘発させる元凶となっています。


 しかし、この局面以外の第二次世界大戦からの80年といった長いスパンで見ると東西冷戦や中東でのアメリカや欧米の行動は必ずしも“正義”とは言えない行動を多く起こして来ました。


 中東戦争に関して介入をして無用な混乱を招いたり、アフリカに対しては植民地支配を行ってきました。

 そのような長い歴史からこれまでの恨みつらみが重なり“必ずしもアメリカ支援には回れない”といった歴史的や地政学的な複雑な事情があるのです。


 そもそも日本に対しての原爆を落としたという行為も“戦争犯罪スレスレ”というラインですからね。

 ただ、日本に関してはGHQの占領統治下でのウォー・ギルド・インフォメーション・プログラムなどで完全に骨抜き状態にされ、全ての戦争責任をしていた当時の日本軍部に押し付けてしまう形でアメリカは責任転嫁することに成功していますがね。


 このようにこれまで欧米が圧倒的な力を持っていたために表面化していなかった感情が深層にはあったのです。

しかし、欧米がこの80年見られなかった地位低下の危機に瀕しているのを見て“今までの仕返し”とばかりに中東やアフリカは反米勢力であるロシアや中国を陰ながら応援しているのです。


 22年10月17日ではアメリカのバイデン大統領はドル高については『他国の成長欠如が問題』と自分の国については棚上げで他の国に責任を押し付けるなど陰で反感を買うような発言をしています。


 このようなことから、歴史的に見てもアメリカ1強体制を崩そうという国がいても不思議ではありません。



質問者:なるほど、一朝一夕の話では無いのですね。



筆者:ある意味、「アメリカに苦しめられた側」からすればこの戦後80年間のアメリカの支配体制を破壊する最大の好機とも言えるわけです。

 そして今ならアメリカのドルを基軸通貨から追い落とす、若しくは複数の通貨の体制にすることも可能かもしれませんからね。


 何だかんだでアメリカの強さの秘密は軍事的なパワーや技術力という側面もありますが、ドルが基軸通貨であるというのも大きいんです。

 

あらゆる国際決済がドルを介して行うだけで両替手数料なども発生しますからね。



質問者:なるほど、だから一つ前の項目でおっしゃっていたBRICSが新しい通貨を作るかもしれないという話に繋がるわけなんですね?



筆者:そうなります。



質問者:だから陰ながらロシアを支援するという国が出てきているわけなんですね……。



筆者:特に国際社会の場で明確にロシア側でなくとも“決議で棄権する国”というのは注目となっていきます。ロシアが5大国の否決権を持っていますから、実質的には棄権することがロシアへの賛同意思に近いモノを持っているように思えます。


 今後の世界情勢としては、ロシアとウクライナの紛争の結果に関わらず、アメリカが引っ張っていく体制と言うのは完全に終了し、

 アメリカを中心とした経済圏と、中国を中心としたブロック経済圏になっていくと思われます。

そして、アメリカと中国それぞれの経済圏にちょっとずつ良い顔をしていい条件を引っ張り出そうとする自国中心主義のインドのような国も増えてくると思います。


 このように世界はアメリカ1強体制から多極化の体制に移行していくその過程の状況にいると考えられます。


 発展途上国としてはドルから新しい通貨に移ることで円高で返済に苦しんでいる状況を事実上の債務減免に繋がる可能性があるので、新基軸通貨に移っていくことは大いに考えられることでしょう。



質問者:こういった方向性に対して日本はどうしていったらいいでしょうか?



筆者:正直なところ、米軍が日本にいる以上は首根っこを掴まれている状況にあるので、アメリカ側に立つ他ないでしょう。

 問題はこういった中国と繋がっている会社に対してリスクをきちんと警告しているか?

 ということです。

 ウクライナ問題でロシアから次々と会社が撤退しているように、中国が台湾有事を起こした時に撤退する必要があるのは間違いないです。

その際のリスクを今から回避するべきだと警告するべきなのです。


 今は円安ですから日本に回帰してもらうための施策が必要です。

工場誘致もそうですが、電力やガスなどの料金が上がっているのを防ぐための根本対策が必要です。

 また、労働人口は限られているので産業の整理をしてそれらの職業に転職してもらうなど採算が合わない会社は淘汰していく必要があると思います(ただし農業など安全保障関係の産業は除く)。

そうでなければ中国にある工場は他の東南アジアの国に移るだけですからね。


 具体的には原発の再稼働を増やしていくと共に海洋資源を掘り、自国の資源開発・生産力を上げていくことです。


 次の項目では今徐々に言われつつある“世界恐慌“に匹敵することは起きるのかについて見ていこうと思います。


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