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ウクライナ情勢と核戦争 ~世界恐慌の危険性~  作者: 中将


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⑭ “脱炭素”による食料への影響

質問者:脱酸素の流れによって世界の生産能力が担保されないとはどういうことでしょうか? 一見すると何も関係が無いように感じるのですが……。



筆者:気候変動など天候不順や、CO2削減などのために畜産農家が生産能力を削減されていっているという実情があります。



質問者:気候変動は分かりますが、どうしてCO2削減のために畜産農家の生産力が下がるのでしょうか?



筆者:東京新聞20年7月28日『バカにできない?肉の生産で出る温室効果ガス』と言う記事によりますと、豚肉の場合では小売店で並んでいる骨などを取り除いた精肉1キロ当たりの排出量はCO2換算で約7.8キロとされ、牛の場合は更にその4倍とされています。


 ゲップなどで出るメタンガスがそのうちの半分とされており、これが温室効果ガスとなり地球温暖化に影響を与えているとされています。



 そのために、オランダではすでに規制が始まっており、なんと殺処分すらも始まっているようです。 日本経済新聞22年8月4日の記事によりますと、

『オランダ政府、畜産農家の廃業奨励 排出削減を優先』

オランダが農業大国であるのは、何百万頭もの牛や豚、鶏などのおかげだ。同国の農業生産物の輸出額は年間1050億ユーロ(約14兆2000億円)に上る。しかしこうした家畜は排せつ物からは望まれていない窒素も排出されており、その量は憂慮すべき水準に達している。


一挙に動物を殺処分することを政府が強行 政府の方針で畜産農家の30%が廃業

他にもう選択肢がないというのが政府の主張だ。住宅不足解消のための大型建設事業はすでに、温室効果ガス排出に反対する環境保護団体の提訴を受け、最高裁によって停止されている。』


 また、ニュージーランドにおいては“ゲップ税”として畜産農家に追加で課税がされるという話も検討されているようです。

共同通信 22年10月12日

『「牛のげっぷ」課税へ 温室効果ガスを排出、ニュージーランドで2025年までに導入 農業団体は「価格競争力を失い、産業空洞化を招く」と猛反発』より、

『ニュージーランドのアーダン首相は11日、牛や羊などの家畜のげっぷや尿によって温室効果ガスを排出する農家に直接課税する計画を発表した。2025年までに導入したい意向。世界初の取り組みとしている。ニュージーランドは世界最大の乳製品輸出国。農業団体は「価格競争力を失い、産業空洞化を招く」と猛反発している。


ニュージーランドの農家は乳牛と肉牛計1000万頭以上を飼育。人口の2倍以上に相当する。牛はメタンや亜酸化窒素を出し、ニュージーランド全体の温室効果ガスの約半分は農場から排出されているという。

政府の計画では、農家は家畜の種類や数、化学肥料の使用量などを報告し、それに基づいて排出量を算出する。税率などは明らかにしていない。』


 と、この様に環境問題解決のための施策として畜産を制限する流れは世界で既に始まりつつあるのです。


 これは環境問題が温室効果ガスを出すことによると現在の主流エビデンスが言っていることが影響しています。

 僕としてはここをもっと本当なのか? ということを検討・研究して欲しいと思うのですが、世界の主流の科学者たちがそういう以上は流れは変わらないかなと思いますね。



質問者:いくら脱炭素を目指しているとはいえ、今いる家畜さんを殺処分してしまうのはどうなのかなと思ってしまうのですが……。


 これでは食糧難に自ら人類は向かってしまうのではありませんか?



筆者:これは大いに懸念されるところではあります。

日本ではこの流れに対して牛の品種改良について研究がされています。

 具体的にはゲップが発生しにくい胃の細菌を持つ牛の遺伝子を探すというものです。


21年5月24日のNHKの環境特集より引用させてもらいますと、


『専用の機械を使って牛から出る二酸化炭素やメタンなどの量を測定すると、牛によってメタンの量が大きく異なっていました。その秘密は、ゲップが発生する胃の中の細菌にあります。


牛の胃にはたくさんの細菌がいて、普通の動物が消化できない草などを分解して栄養を作っています。


この細菌にはいろいろなタイプがあり、牛がどのタイプの細菌を持っているかによって胃の中で発生するメタンの量が異なることがわかってきたのです。


 今、「メタンの排出が少ない牛」が持つ細菌の特定を進めています。この細菌を別の牛の胃の中でも増やしたり、もともとこの細菌を多く持つ牛を交配したりすれば、「メタンの排出が少ない牛」を増やすことができるというのです。


農研機構では、ゲップに含まれるメタンの量を2030年までに25%、2050年までに80%、削減したいとしています。』


 というように腸の細菌を研究するという新しい観点から牛の改良を目指しています。

 メタンガスを排出しない牛が大量生産が可能になれば牛肉が食卓から消える可能性は大きく下がるでしょう。



質問者:仮にこれが上手くいかない場合はどうするのでしょうか?



筆者:今の牛肉などの代替としては合成肉や昆虫食と言ったモノが替わって推奨されているようです。


 合成肉の代表例としてはビル・ゲイツ氏が出資しているビヨンドミートなどがあります。

 しかし、アメリカのマクドナルドで試験的に提供された合成肉はあまり味が好評では無いというデータもあり完全に代替商品として一翼を担えるのかは疑問が残ります。



 また、2013年に国連食糧農業機関の報告書では、来たる食糧難の時代を乗り切る一手として、たんぱく質が大量に含まれている昆虫食を推奨しています。


 しかし、昆虫に含まれる「キチン」という成分や「変成ステロイド、特にエクジステロイド」は、哺乳類の食には適さないそうなのです。長期的に見て主食に代替えすることで悪影響が出ないのか?

 などと言ったことは現時点では不透明になっています。


 このように環境問題や複合的に健康に影響が出ないかなどの課題があることから今後の食料に関する見通しは立ちにくいというのが現状としては存在しています。



質問者:色々と課題があるんですね。



筆者:しかしこれらの件は代替案があるだけまだマシな状況かなと思えますね。



質問者:代替案が存在しない食糧問題なんて存在するんですか?



筆者:ええ、それは日本の食糧危機です。特定の条件下でしか起こり得ませんが、いざ起こってしまうとそれこそスーパーから食品が消滅する事態になりかねません。

 次の項目では日本の食糧危機の可能性について見ていこうと思います。

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