① ロシアの核兵器使用の可能性は高まる?
※2022年10月6日時点での情報を元に書いてあります。
それ以降の出来事に関しては公的報道機関などの情報をご覧ください。
筆者:さて、今回はウクライナ情勢の最新情報を分析して未来を予測していこうと思うのですが、4月から5月にかけて僕が分析・公開した「迫りくる食糧危機」 https://ncode.syosetu.com/n3513hp/ の内容を見比べても行こうかなと思います。
質問者:5カ月前の未来予想との答え合わせも並行して行うというのは面白いですね。
筆者:物凄く「迫りくる食糧危機」で語ったことを簡単にまとめさせてもらいますと、
1 今、食料状況は世界的不作により危なくなっている。その上で、食糧輸出国も自国の安全保障のために食糧輸出を渋るようになった。
2 ロシア・ウクライナ紛争はどんなに短くても年を越すまで長引く。
3 日本の円安の原因は日米金利差もあるが、根本的には国際競争力の低下であり、
スパイ防止法などが無い事からの技術の国際流出も遠因の一つである。
4 ロシアは国民が内部から苦境を訴えないとウクライナからは撤退しない。
5 ロシアは戦局が苦しくなると核兵器や生物・化学兵器を使用する可能性がある
6 西側諸国としては、長期的に見て中国の一帯一路構想の阻止までを目標にしなければいけない。中立的立場を取るインドなどの国が注目である。
7 日本人個人としては金融資産の分散などによる資産防衛、食糧危機が訪れることを覚悟して食事の改善・食料備蓄を行う必要がある。
と言うことを述べさせていただきました。
質問者:“簡単にまとめた”とは言いますけど結構長いですね……11項目32000字もあったのですから当たり前ですか……。
筆者:このとき予想していなかったこととしてあるのは世界的に景気が後退しているのではないか? と言うことを後半になりますが検討させていただきたいと思います。
ザッと9月下旬ごろから最近起きたことについてまとめさせてもらいますと
1 ウクライナが東部を中心に反攻に成功している。今後も徹底抗戦と領土奪還の構えを見せている。
2 ロシアは9月29日、30万から100万人の予備役を部分動員し、それに伴い20万人以上のロシア国民がロシア国外へ逃げ出している。
3 ロシアは兵士を使った威嚇をしながら住民投票を行い、9月30日ドネツク州とルハンシク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を一方的に併合を宣言し、国際社会はそれを認めていない。
4 ロシアは“自国防衛“のために手段を選ばない(=核兵器使用する)ことを時折ちらつかせている。
大きなところではこんなところですかね。
質問者:以前のお話ではロシアが核兵器をウクライナに対して使わないという予想だったと思うのですが、それについてはどうなんですか?
筆者:僕の4月の予想ではそうでした。それは、自分たちが支配する地域に対して放射能汚染などが起きた場合不都合が起きると考えたからです。
しかし、最近ではそれが甘い憶測であると言うことが分かりつつあります。
Forbes Japanの2022年9月30日の 『ロシアの核攻撃は黒海の島が標的になる可能性、専門家が警告』によりますと
『ソーントン博士という専門家はウクライナ戦争の初期にロシアが占領し、その後奪還されてウクライナの抵抗の象徴となった黒海に浮かぶスネーク島を念頭に置いている可能性がある』としています。
このスネーク島であれば核兵器の放射能の被害を最低限に抑えることができると共に、兵器次第では限定的なモノになると思います。
しかし、アメリカが日本の広島・長崎に投下して以来77年ぶりに核兵器が使われると言うことで、もしも使われるのでしたら、大きなインパクトを与えるでしょうね。
このスネーク島は最近までロシアが占領していたので地理や状況を把握しているところも強みでしょうね。
また、ロシアが放射能解毒薬として1億回分にもなるヨウ素剤の購入を緊急決定したとウクライナ独立メディア「ザ・ニュー・ボイス・オブ・ウクライナ」(NV)が9月27日(現地時間)、報じています。
現実的な問題として核兵器の使用は浮上してきているように感じます。
質問者:そうなると、核兵器の使用がロシア側に有利にさせてしまうのでしょうか……?
筆者:一概にそうとも言えないようです。というのも、ロシアが核兵器を撃つことで中国が経済的にロシアを支援するのが二次的制裁を恐れて難しくなるのと、
ブルームバーグ9月26日の記事では『核兵器使用すればロシアに「壊滅的な結果」と警告-米大統領補佐官』ともありますのでアメリカもタダでは済まさせないでしょう。
アメリカの反攻的措置は今のところ黒海のロシア艦隊の壊滅とも言われているので、
核兵器による報復とは限らないですが、あらゆるアメリカの報復に対して対抗できることをロシアが想定していないと核兵器の使用はまだ先なのではないか? とも思えます。
質問者:ということは、現状のロシアの“核兵器使用”については“はったり”なんですか?
筆者:それも十分あり得ます。というのも22年6月にフィンランドとスウェーデンがNATO加盟する直前にロシアが“NATOに加盟すれば報復措置を行う”と脅しをかけたのです。
しかし、この2ヶ国がNATOに加盟しても僕が調べた限りでは北欧諸国に重大なことは起きていないようです。日本語記事になっていない細かいことまでは分かりませんけどね。
ロシアはウクライナに対して核兵器をちらつかせることで、交渉を有利に進めようとしているのかもしれません。
しかし、ウクライナは徹底抗戦の構えを崩すとは思えないので、効果があるようには見えませんね。
質問者:そうなると、ロシアの狙いは一体何なんですか?
筆者:僕が思うになるべく長期戦狙いで西側諸国の連携を砕くことでしょうね。
新しく兵を徴兵しているのもそのためでしょうね。
特にEUでは電気代金が深刻で場所によっては、ウクライナ問題の前と比べて5倍~8倍に電気料金が上がったところもあるようで、日本でも30%ぐらい去年と比べて値上がりしましたが、それとは比べ物にならないほどの惨状です。
短期的に見るならEU諸国をロシア側に寝返らせない事でしょうね。
EUの中では対ロシア制裁に関してハンガリーが当初から反対の姿勢を示しており、
冬になってこれに同調する国が増えないかが懸念されるところでしょう。
寒いと生死に関わりますからね本当に。
質問者:これから冬に向かいますからこの問題は深刻になりそうですよね……。
筆者:中東からの購入も検討していると思うのですが、後で触れようと思いますがイランなどはBRICSに近づきつつありますから不穏です。
ヨーロッパの皆さんが燃料を買えて無事に冬を乗り切れることを祈るしかないですね……。
ウクライナに関してもヘルソン州では徴兵が早くも始まっているとの話ですから、同族で殺し合ってしまうこともあるかもしれないのが本当に気の毒です……。
ロシアは昔から隊長クラスが味方に対して脱走をしないように銃を向けているという話もあるのでほとんど強制的ですね……。
質問者:それはエグイですね……。
筆者:ロシアに関しては、西側は“もうひと踏ん張り“という感じでしょうか。
間違いなくプーチン大統領の世界的立場や戦況が4月の時よりかは遥かに苦しい状況と言うことは出来ますからね。
ただ、4月の時も語らせてもらいましたが、プーチン大統領が失脚しても次の大統領が中国の傀儡政権や、より強硬な姿勢を持つ大統領が誕生してはあまり意味がありません。
また、決定的な場面まで追い詰められたら自棄になって核兵器を撃ってくると言うことも可能性としてはあり得ます――ここが本当に難しいところです。
次に中国が“台湾有事”を起こす可能性はあるのか? BRICSの動向などについても見ていこうと思います。