表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ずっと聴いていたい、夏音

作者: 逢乃 雫

ずっと聴いていたい


蝉の鳴き声



地上に出て七日の命でも 


地中にいた長い間も大切な時間


だから最後まで一生懸命


命を震わせて



ずっと聴いていたい


夏の海の波音



青い洋上をそよぐ海風


風は時に強く吹きつけても


あの翼を広げた海鳥のように


颯爽とその風に舞いたい



ずっと聴いていたい


プールに飛び込む水音



未知の世界へ飛び込む期待と不安


でも少しの勇気さえあれば


新しい世界が待っている


大きく深呼吸して、目を瞑らずに



ずっと聴いていたい


かき氷ができる音



冷たい氷を削って削って


固い氷がいつしかふんわりする


でも早く食べないと


溶けて消えてしまう前に



ずっと聴いていたい


祭り囃子の賑やかな音



子どもも大人もはしゃぐ夏祭り


夕闇が人々を異世界へいざなう


色とりどりのお面に屋台の明かり


日常を離れて軽くなる心



ずっと聴いていたい


風鈴の音色



風に舞う夏に耳を澄ませて


音と余韻を胸に刻み込む


響きわたる爽やかな想い出 


この風も空も夕陽も



ずっと聴いていたい


花火の鳴り響く音



胸の鼓動と重なり合い


色鮮やかに染まる夜空と心


火花は消えても想いは残る


瞳に灼きつけようとした君の横顔

 



そして


ずっと聴いていたい


君の声



足早に駆けていく夏


たとえどんなに季節が変わっても


君の声だけは


ずっと聴かせて



















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
割烹から拝読しました!数年前の御作品ということで、割烹でのご紹介がなかったら気づいていなかったので、ご紹介いただけてよかったです。 音もその時間も一瞬で、移ろってすぐに消えてしまう、同じ瞬間は二度とな…
本当にずっと聞いていたい音。そして、最後は大切な人の音。 なんだか素敵だなぁと思いました。
足早に駆けていく夏を惜しみ、この瞬間をずっと謳歌したいと願い思うがひしひしと伝わります。 特に蝉の命の短さに対しては思いも一入で、一瞬たりとも疎かにしせず、地中での期間を経た今に向き合ってあげたいとい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ