ずっと聴いていたい、夏音
ずっと聴いていたい
蝉の鳴き声
地上に出て七日の命でも
地中にいた長い間も大切な時間
だから最後まで一生懸命
命を震わせて
ずっと聴いていたい
夏の海の波音
青い洋上をそよぐ海風
風は時に強く吹きつけても
あの翼を広げた海鳥のように
颯爽とその風に舞いたい
ずっと聴いていたい
プールに飛び込む水音
未知の世界へ飛び込む期待と不安
でも少しの勇気さえあれば
新しい世界が待っている
大きく深呼吸して、目を瞑らずに
ずっと聴いていたい
かき氷ができる音
冷たい氷を削って削って
固い氷がいつしかふんわりする
でも早く食べないと
溶けて消えてしまう前に
ずっと聴いていたい
祭り囃子の賑やかな音
子どもも大人もはしゃぐ夏祭り
夕闇が人々を異世界へいざなう
色とりどりのお面に屋台の明かり
日常を離れて軽くなる心
ずっと聴いていたい
風鈴の音色
風に舞う夏に耳を澄ませて
音と余韻を胸に刻み込む
響きわたる爽やかな想い出
この風も空も夕陽も
ずっと聴いていたい
花火の鳴り響く音
胸の鼓動と重なり合い
色鮮やかに染まる夜空と心
火花は消えても想いは残る
瞳に灼きつけようとした君の横顔
そして
ずっと聴いていたい
君の声
足早に駆けていく夏
たとえどんなに季節が変わっても
君の声だけは
ずっと聴かせて