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恨みに焦がれる弱き者  作者: 領家銑十郎
傲慢と欲深な者達
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97話 フレイメス帝国騎士団団長

本日もよろしくお願いします。

 フォルクマーが剣と盾を構えて足早に距離を詰めた。


 「そんなにトロ臭くて大丈夫かよ!?」


 大官寺亮典も同じように距離を詰め、先に殴りかかった。

 右の拳で顔面を狙われるもフォルクマーは冷静に左の盾を使って外側へ反らした。

 同時に一歩踏み込んで下から上に向かって突きを放った。

 そのまま大官寺亮典の顔面を刺すかと思えたが、彼は左手でフォルクマーの剣を握ろうとした。

 剣を握られたくなかったフォルクマーは瞬時に左へ軌道をずらしながら全身を後ろへ下げた。

 握り損ねた大官寺亮典だが伸ばした右の拳を少し曲げて横から殴ろうとした。

 盾ごと殴ろうとしていたがその盾は下へ潜り込んで持ち上げられた。

 屈んだフォルクマーが大官寺亮典の踏み込んだ左足に剣を叩きこんだ。

 金属音が響くも大官寺亮典は無傷だ。


 「顔面ガラ空きだぜ!?」


 「!!」


 大官寺亮典の右足がフォルクマー目掛けて飛んで来た。

 咄嗟に右へ転がり込むことでフォルクマーは回避できたが体勢を直そうとしたところで大官寺亮典の大きな踏み込みが襲い掛かった。

 盾で庇うことで直撃は間逃れたものの想像以上に力が加わっているからなのかフォルクマーはその場から動くことが出来ずにいた。

 それを見て大官寺亮典が見下した。


 「歳には勝てないよなぁ!さっさと潰れてくれないかぁ!?」


 大官寺亮典は踏み込む脚へ更に力を込めた。


 「う、ごおおおおおおおお!」


 雄叫びを上げながらフォルクマーは耐えた。

 他の騎士達に比べたら大分歳を取っているにも関わらず大官寺亮典の攻撃を捌いてこうして今も抵抗していた。


 「団長!勝ってください!」


 従士を中心にフォルクマーへの声援が次々に上がった。

 それを聞いて大官寺亮典は苛立ちを現した。


 「年寄りに任せて後ろで声を出すなんてこの国の騎士団は情けないなぁ!根性のある奴なんて一人もいないじゃないか!?」


 それを聞いたフォルクマーが耐えながらも反論した。


 「確かに鍛え直さないといけないな、だが騎士団は帝国の為に存在する。使命を全うするために後方で守っているに過ぎない。全ては我らが皇帝陛下と帝国を守るために!」


 「結局はお前達が俺よりも弱いって事だろう!?雑魚が群がっても大したことないなぁ!」


 「仮に弱いとしても帝国や皇帝陛下の為に命を捧げた従士や騎士達の矜持をお前みたいな小物に貶される筋合いはない!」


 フォルクマーの体を半透明のオーラが包み込んだ。

 それを感じた大官寺亮典は(いぶか)しんだ。


 「前の戦争でもお前達がそんな力を出していたよなぁ。そう言えばさっき戦った冒険者のおっさんも」


 「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 フォルクマーの雄叫びと同時に今まで踏み込んだ大官寺亮典が押し返された。

 崩れたバランスを整えようと後ろへ下がりながら体勢を直した彼が驚いた。


 「騎士のおっさんも火事場の馬鹿力でどうにかしようとするのか!?」


 それでも余裕の表情に戻った大官寺亮典は拳を構えた。

 同時にフォルクマーは今までよりも速く駆けた。

 とても重い鎧を纏っているようには思えないほどに。

 盾を前に押し出すフォルクマーに大官寺亮典は踏み込みながら殴ろうとした。

 実際に拳は盾を殴った。

 それでいて思いっきり凹んだ。

 大官寺亮典はこのまま殴り飛ばせると思っていた。


 (手応えがない?)


 殴られた盾はそのまま向こう側へ飛んだ。

 本来なら盾の持ち主も飛ばされているはずだがいなかった。

 遅れて気づいた。

 フォルクマーは大官寺亮典の右側に居た。

 既に右腕へ剣を振り下ろすところだ。


 「クソが!?」


 大官寺亮典の脳裏にはマイルズとの戦いで半透明なオーラを纏った状態だと【メタルガン】の能力によって防御力が高くなっていても傷つけられる可能性が過った。

 慌てて引こうにも間に合わない。

 金属同士がぶつかり合った音が響いた。

 お腹にも響く音だった。

 大官寺亮典の右腕とフォルクマーのロングソードがかち合っていた。

 内心斬られる可能性を思った大官寺亮典だったが予想外の結果に声が零れた。


 「は、ははっ!なんだ!?こけおどしかよ!斬られるのかと思ったぜ!」


 叩き斬る勢いのフォルクマーだったが苦い顔だった。


 「まだダメか?」


 何時までも膠着状態にする気がない大官寺亮典は力一杯に腕を振った。

 ロングソードを弾かれて後ろへ仰け反ったフォルクマーに大官寺亮典は追撃した。


 「残念だったなぁ!寄る歳には勝てないってか!?」


 左足からの回し蹴りがフォルクマーの胴体に直撃。


 「うごっ!?」


 くの字になって吹き飛ぶフォルクマー。

 障害物がないため自然落下して何度も転がってから止まった。

 それを見て大官寺亮典は高笑い。


 「はーはっはっははー!騎士団の団長って大したことないな!こんなおっさんだからお前達も弱いんだよなぁ!?そうだろそうだろう!」


 大門の前で防衛している騎士達の何人かが急いでフォルクマーの元へ駆け寄った。

 呼びかけても返答はなかったが息をしていることから彼らは安堵し、直ぐに彼を大門の脇へ運んだ。

 その行動を大官寺亮典は追撃せずに見送った。


 「そんなおっさん、俺がこの国を支配したら解雇してやるわ!」


 彼の言葉を聞いて騎士や従士達が怒るも団長命令に背かず防衛に徹していた。


 「小田切!もう終わったか?」


 後ろを振り向き小田切翼に声を掛けた。

 彼の周辺には血が撒き散らされているが倒れた従士達は見当たらない。

 恐らく動ける従士達が倒れた仲間を引きずって退避したからだろう。


 「攻めてこないなら終わったんじゃないの?」


 「だったら次行こうぜ!」


 彼等が動こうとした瞬間、大門が小さく開いた。

 二人はそれを眺めていると大門を塞ぐように防衛していた騎士達が二手に分かれていた。

 その中心に居たのは騎士が三人。

 但し防衛している騎士達の鎧が銀色一辺倒に対して二人は青の装飾も施されていた。

 一人は背中越しに身の丈以上のバスターソード、二人目は腰にショートソードを二振り携えて、三人目はブロードソードとレイピアを携えていた。


 「派手にやってるじゃないか。」


 「ご足労感謝いたします!グロスヴェート様!アウグスティン様!ルート様!」


 「こうも暴れられてるとはね。」


 「何でこんなことになっているのかしらね。」


 バスターソードを背負った男がグロスヴェート、ショートソードを携えているのがアウグスティン、女性はルートと言う名前らしい。

 グロスヴェートは褐色肌に刈り上げた黒髪と切り揃えた顎髭が特徴の体格の大きい男。

 アウグスティンは色白の肌にオレンジブラウンのボブヘアー、鍛えられているのか太腿が人より太い印象を受ける。

 どちらも四十代に見えるがその中でも若く感じる。

 ルートは癖毛のついたプラチナブロンドの二十代の女性で鎧はどの部位も二人よりは薄くなっている。

 その三人が来たことで騎士達の沈みそうな士気が上がり始めた。


 「シュターレンの三人が来てくれたぞ!」


 「これでこいつらを抑え込める!」


 「俺達は大門を守ることに専念するぞ!」


 フレイメス帝国で皇帝陛下直属の組織『シュターレン』。

 皇帝や四大公爵家などに選ばれた十二人の騎士。

 騎士と言う名義だがどちらかと言えば人間兵器と言うのが正しいのかもしれない。

 所謂国の最高戦力の一つとされており、国内では力を示しているため騎士団からも信頼されている。

 そんな彼らは皇帝陛下の命によって動くが今回の場合は騎士団団長のフォルクマーが事前に皇帝陛下へ進言したことで特別に大官寺亮典達の元へ来たらしい。

 生き残っている他のシュターレン達がどのように動いているのかは皇帝達一部の人にしか分からない。


 「まーたおっさんが来たのかよ?いや、一人女がいるじゃねーか!」


 「活きの良いガキは嫌いじゃないがおいたが過ぎるじゃないか。」


 「俺達を不当に閉じ込めたクソ野郎達が言う事か?これくらいは当然の報いだってーの!」


 グロスヴェートの言葉に大官寺亮典は変わらず噛み付く。


 「私は向こうにいる少年の相手をするわ。筋肉ダルマは相性が悪いし。」


 「そうだな、向こうを頼む。」


 アウグスティンがルートの提案を肯定して、三人は前に出た。


 「おい小田切!お前の方に女が行くぞ!死なない程度に痛めつけろよ!」


 「いや、その人達って前の戦争で結構強かった人達でしょ?俺達が知らない人達だけど青い鎧着ているし。」


 「お前なら大丈夫だろ!」


 「はぁー……。」


 ため息を吐く小田切翼は歩いて向かってくるルートを警戒した。

 一方の大官寺亮典は小田切翼の言葉で彼らと以前戦ったことを思い出した。


 「そう言えばお前らが俺等を拉致った奴らだっけ?あんなところへ閉じ込めやがって腹が立っているんだよなぁ!」


 「思い出したか?それならお前が俺達に勝てないのは道理ってことだ!」


 「ざけんな!前は油断したが今回は違うぜ!お前らみたいな前座をさっさとボコすからな!」


 グロスヴェート達は強さに自負があるように大官寺亮典は弱気になることなく敵意を剥き出しにした。


 「それからこの国の女ども好き放題させてもらうぜ!」


 「低俗が!」


 「俺は俺のやりたいようにやってやる!」


 大官寺亮典の言葉を聞いてアウグスティンは気分を害する。

 そしてある程度距離を詰めたところでグロスヴェートはバスターソードを、アウグスティンは二振りのショートソードを構えた。

 グロスヴェートのバスターソードは中央に何かの紋様が描かれており、鍔の中央に緑色の宝石が埋め込まれていた。

 アウグスティンのショートソードは片刃のようで白い柄に金色のバックルで覆われていた。


 「俺が最強だって事を証明してやるぜ!」


 街中で吠える大官寺亮典が二人のシュターレンに挑んだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

不定期更新ですが時間のある時に読んでいただけると幸いです。

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