103話 常に己が正しく省みず ―大官寺亮典―
本日2回目の投稿ですがよろしくお願いします。
この話は飛ばしても支障ありません。
俺には最高の力があり、それを使っても肯定される世界。
ここが俺の世界だと思えた。
物心ついた直後は両親の笑顔があった気がした。
だが、早い段階で喧嘩をする姿が当たり前になった。
喧嘩じゃねーな、一方的だったな。
オヤジは毎日のようにオフクロに当たっていた。
帰ってくるたびにストレスを抱えているオヤジの顔は今でも思い出せた。
そんなストレスの捌け口にオフクロが選ばれてぶつけられた。
罵詈雑言、時には拳を振り上げていた。
そんな光景を見て俺は憧れた。
これが男の大人なんだな!
嫌な事があれば誰かを殴って罵声を浴びせて快感を得る。
一方でオフクロはオヤジがいないときにブツブツと文句を言っていた。
しかも俺に文句を言うこともあったな。
その度に俺も言い返してやった。
この家で分かったのは世の中は強者と弱者しかいないって事だな。
そして小学生に上がったら俺は力を示すために時に殴り時に強いことを教えた。
するとどうだ、大半の奴らは俺に従った。
面白い物があればくれるし、給食のデザートも快く貰ったな。
そんな俺にちょっかいを掛ける上級生もいたが返り討ちにして睨み返したら何も言い返さなかったからな!
あの時が一番思い通りだったなぁ。
中学には他の地区から人が合流してきたが俺の噂が耳に届いていたのか明確に歯向かうやつはあまりいなかったな。
それでも上級生や他校の連中が喧嘩を吹っかけてきたから返り討ちにしてやったが俺より強い奴はいなかった。
あの地域で最強なのは俺と言っても過言じゃなかったな。
喧嘩が少なくなるとフラストレーションが溜まって来たから弱っちい奴を相手に揶揄ったり裏でいじめた時は良かったな。
だけど誰がチクったのか虐めや他校の喧嘩がバレて罰則を食らった時は焦った。
正直先公どもをぶちのめしたかったが俺だってバカじゃねぇ、時に従わないと馬鹿を見るのは目に見えていた。
ただな、大人だってルール違反はしているだろ?
つまりはバレなきゃ罪じゃねーって事だ!
俺は表立って行動するのはやめたがグレーゾーンを見極めて弱者で遊んだり物に当たった。
証拠がなければ問題ないって教えてくれたのは大人だからな!
それに俺は上から見下ろす方が良い。
今は違っても人生で支配する側に回りてぇ!
だから嫌いな勉強ってやつも最低限はやった。
そこそこの場所に通えたから俺は他の奴らより頭が良いと感じた。
必死扱いても俺以下の学力の奴もいるからなぁ!
偏差値の高いところは息が詰まるし厳しい目があるから敢えて目指さなかった。
だからこそ俺は高校で意識の切り替えをした。
学校では使えるやつを用意して従わせる。
外ではバレないようにストレスをぶちまける。
そんな時、小田切翼の噂を耳にした。
小田切は中学の時に問題を起こした。
とても暴力的な奴だと。
身近に居ることに驚き興味が湧いた。
同じ学校の同学年と言うのも幸運だ。
帰り道に小田切を人気のないところまで呼んだ。
「何の用?」
ぶっきら棒で目が死んでいた。
本当にこいつが?
だが火のないところに煙は立たない、実際にやるしかないよなぁ!?
「本気でやるぞ!」
俺が言うと小田切の目つきが変わった。
動きは悪くない、が積極的じゃねーな。
それでもちょこまかと避ける反射神経は喧嘩慣れしていると感じ、カウンターも幾つか決められた。
結論から言えば根性はあった。
小田切は偶に殴られても吹き飛ばねー。
俺が手加減したからこの喧嘩に決着が着かなかったが偶には良いだろう。
骨のある奴なら直ぐに死ぬことはないだろうしな!
「お前、これから俺と一緒に行動しろよ!」
「はっ!?何言ってんだ?」
「こんな喧嘩をしたら最低でも停学、もしかしたら退学になるかもなぁ~!それでいいのかぁ?」
俺の言葉を聞いて苦い顔をした。
噂以上の事は知らないが当時の小田切は好きで殴り合ってはいないらしい、それに喧嘩が強くても根は弱者。
強気な態度で要求すればこいつみたいなのは従う!
逆に退学上等なんていう奴はこんな脅しは聞かないが所詮は何も考えない底辺で這い蹲っている奴らだけだ。
そんな奴らとは違って俺はいずれ思い通りに生きてやる。
高校生活も窮屈な思いをしたくはねーんだ。
いざとなったら小田切を突き出すか半分持ってもらうぜ。
まさか異世界とか言う訳わかんない場所へお飛ばされて戦争の道具にされた時はストレスも溜まったが最終的に美味し思いが出来ると踏んで戦場で暴れた。
そこから人間相手に好きなだけ殴れるのは最高だったがよ、捕まったのは最悪だったな。
だがそれも今となっては悪くない。
俺を捕まえたフレイメス帝国は運の尽き。
寧ろ俺を皇帝に迎え入れるとまで思える展開。
この世界でなら俺は好きに生きられる!
俺の力でこの世界を全て従えられる!
不要な我慢はいらない!
更に新しい力が手に入った!
こいつは俺を見下す英すら倒せる力だ!
だからこんな雑魚共をさっさとぶっ飛ばして世界を獲りに行く!
姑息な真似して毒を飲ませたと言われて思わずビビっちまったが関係ねぇな!
毒だろうが何だろうが俺の力は無敵なんだからよぉ!
目の前にいるくそ生意気なアマすら媚び諂うしかないんだからなぁ!
俺は
無敵
に
……
…
ここまで読んでいただきありがとうございます。
不定期更新ですが時間のある時に読んでいただけると幸いです。




