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奈落 ③

「なんじゃ、言葉も喋れんのにこの奈落で未だに生きているとは、不思議な生き物じゃな……」 


「ク、クワッ……(が、ガイコツが喋ってる……)」


 怪しく光るガイコツは私の分かる言葉で話しかけてきたのだけど……


 何なの?


 異世界ではガイコツも喋るものなの?


 ってか、何でガイコツが動いているの?


「ふむ……もしやわしの言葉を理解しておるのか?」


 私はあまりの怖さでパニックになりながらも、ガイコツの言葉に頷く。


「ほう、面白いの……ならばこれならどうじゃ?」


『わしの声が分かるか? 分かるのならわしに話したい内容を念じるのじゃ』


 えっ、何か頭の中にガイコツの言葉が響いてくるんだけど!?


 しかも、言葉が脳内で反響しているみたいで気持ち悪い……


『伝わっとらんのか?』

『分かります……』


 私は気持ち悪さと怖さを我慢しながらも、ガイコツの問いに答える事にした。


 この世界に来てから初めて会話の出来る人に出会えたので、このチャンスは逃してはいけない気がしたのだ……まあ、人ではなくガイコツだけど。


『ほう、やはりわしの言葉を理解出来る生き物なんじゃな。実に面白いのう』

『あの、ここはどこなんですか? というかあなたはいったい?』

『ふむ、わしは遥か昔に魔術王や英雄王などと呼ばれておった者じゃが……』

『すごい人だったんですね』


 魔術王とか英雄王なんて呼ばれるって相当すごいんじゃないの?


『確かに当時は凄かったかもしれんが、わしは当時の国王に騙されてな……今では妖魔を振り撒くだけの名も無きアンデッドじゃよ』

『国王に騙された?』

『そうじゃ。わしは冒険者として、国民から出される依頼をひたすら達成していったら、いつの間にか魔術王や英雄王と呼ばれる位、有名になりすぎてな……最終的には国内での人気が国王や王妃、騎士団長などよりも遥かに高くなったのじゃ……』

『いくら人気が高くなっても王族から恨まれる事は無いんじゃないですか?』


 いくら英雄王だとかいわれる程の冒険者になったからって、王族を脅かす事なんて無いだろうし、恨まれる事は無さそうな気がするんだけど……


『実はこの国の始まりは、魔王を討伐した勇者が作ったと言われていてな、次期国王を選ぶ際に国王候補者の中に1名だけ国1番の強者を入れるという法があるのじゃ。そして、全国民による投票で国王が決まるのじゃ』

『それはまた……荒れそうですね』

『そうなのじゃ、そして、王族より人気が高くなってしまった者は、こっそりとこの奈落へと落とされて始末される仕組みになっておるのじゃが、わしは魔術によりアンデッドとして身体を再構成して生き延びたのじゃが、アンデッドになったせいで妖魔を発生させる身体になってしまってな』

『妖魔って何なんですか? 何か妖魔の耐性魔術を覚えたんですけど……』

『なんじゃと!? 耐性魔術を覚えたのか!?』

『えっ……はい』

『そもそも耐性魔術とは素の肉体的耐性が無いと取得出来ない超難易度の魔術で、覚えているだけでも凄いのに妖魔の耐性魔術を覚えてしまうとは……妖魔とは吸収し過ぎると異形の怪物に変容してしまう魔力のなんじゃが、もしやその姿は変容したからなのか?』

『いえ、この姿は着ぐるみなので、中身は人間です!』

『……着ぐるみとはなんじゃ?』


 私は着ぐるみの説明と共に今までの経緯を説明することにした。


『あれほど勇者を邪魔に思っていた勇者召喚をするとは……』

『あの、それで私がこの奈落という場所から脱出する方法はあるんですか?』

『奈落とは、高難易度のダンジョンの最下層エリアの総称なのじゃが、脱出方法は簡単で最下層エリアを攻略する事なのじゃが……』

『高難易度ダンジョン……難しいんですよね?』


 名前からして難しいのだろうが、私としては何としても地上に戻りたいと思うのだけど、私に出来るのかな?


『ここの奈落は敵の強さよりも様々な状態異常が発生してしまい、まともに移動する事すら困難な場所での……わしも数日耐えるのが限界で、結局はアンデッドじゃよ。おぬしも今は無事みたいじゃが、これから様々な異常が発生するじゃろう』

『えっと、実はいくつかの耐性魔術も覚えているんですけど、それでも危険なんですかね?』

『なんじゃと!?』



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