国外脱出 ③
私は騎士を撃退後、学生達と一緒に召喚部屋を出たのだけど、ちょうど運が悪くリーダー格の騎士が戻って来てしまったので、私は学生達と共に戦おうかと思い、中級風魔術をリーダー格の騎士に使っていたら学生達の大半は私が戦っているうちに逃げてしまった……
学生達が逃げたのを見て私は心の中で、うそっ!?って思ったけど、よくよく考えると得体の知れない巨大着ぐるみを着た不審人物と自分の命とでは、それは自分の命を優先するかなと考え直したので逃げた学生達の事はそんなに怒ってはいなかった。
そして、私と残ってくれた2人の女子は召喚部屋から出たら魔術を使えるようになったらしくて、私と共に戦ってくれた。
「くっ、こんな謎の生き物が中級風魔術を使うとは……それに女2人も支援系の魔術を使うのは厄介だな……」
「ストーンロック!」
「ジェルウォーター!」
「クワッ!(ウィンドカッター!)」
「くそっ、フレイムウォール!!」
女子2人のうち、片方は私に話しかけてくれた子で、ストーンロックという小さな岩を指定の場所で固めるという感じの魔術で騎士の足元を固めたりしてくれていた。
もう1人はジェルウォーターという、ジェル状の液体を指先から水鉄砲の様に撃ち出す魔術みたいで、当たった箇所がどろどろになり、動きにくくなるという効果があった。
しかし、リーダー格の騎士は火というか炎みたいな魔術を何種類も使い、岩は破壊されジェルは乾燥して意味をなさなくなったりしていた。
まあ、余計な手間を取らせているという意味では非常に助かっていた。
そして、私はウィンドカッターを使いながらも女子2人を庇いながら戦っていた。
私の着ぐるみは謎の耐久性があるおかげで自然治癒で治ってしまうが、女子2人はただの学生服だったので、一撃でも食らえば致命傷になりそうな感じだった。
それにしても、この騎士は先ほど倒した騎士に比べたらやたらと強いなと思った……
戦闘素人の私からしても、違いが分かる位に動きが違っていて、基本は剣による攻撃なのだけど魔術も上手く組み合わせて来るので非常にやりにくい。
それに風魔術は一度攻撃されただけですんなり覚えられたのに、この騎士が使う火の魔術はいくつもの種類を何度も攻撃されているのに一向に魔術を覚える気配が無かった。
やっぱり覚えられる魔術には適性みたいなのがあるのかな?
もしかしたら、私には風魔術があったって事かな……?
もしそうなら、私には他の風魔術も使えるかもしれないと思ったので、ここから逃げられる様な風魔術が使いたいなと思った。
本当なら目の前の騎士を倒せた方が後々良さそうだけど、この騎士の着ている鎧にはダメージを与えられる隙が無いんだよね……
「そろそろ終わりにさせてもらうぞ……本来なら貴様達に使うのは勿体ないレベルの魔術石だが、これ以上時間をかけてしまえば私の責任問題になりかねないからな……」
リーダー格の騎士は腰の皮袋から、拳大の大きさがある白っぽい石を取り出した。
あの宝石みたいなのが魔術石ってやつなのかな?
「発動せよ、アイスブリザード!!」
リーダー格の騎士が魔術石を持つ手を私達に向けながら、アイスブリザードと叫ぶと、今まで炎の魔術しか使わなかった騎士の全面に突然吹雪が吹き付けた。
「キャアアア!? さ、寒い!?」
「さささ、寒い……」
「ク、クワッ!?(ヤバい、私の身体でも吹雪は防げない!?)」
今まで炎の魔術は直線的な攻撃ばかりだったので、2人を庇いながら戦えたけど、吹雪は細い通路全体を凍らす勢いで吹き付けているので、私が2人の前に立ち塞がっても、隙間から2人へ冷気などは流れてしまっていた。
それにしても、これだけの吹雪の中なら騎士も凍りそうなイメージだけど、吹雪は騎士の前面にしか展開されておらず、騎士の後ろはなんともない感じだった……
魔術って都合良すぎない!?
ちなみに、ペンギンの着ぐるみは耐火性能に比べたら耐冷気性能は凄く高性能で、マイナス120度レベルならば着ぐるみ内には冷気を通さないというものだった。
「ふははは、このアイスブリザードは今まで使っていた上級魔術とは違い、超級魔術は広範囲魔術なのだ! これで貴様等は終わりだ!」
「ク、クワッ……(ど、どうしよう……)」
【超級氷魔術・アイスブリザードを覚えました】
【耐性魔術・氷耐性を覚えました】
【耐性魔術・水耐性を覚えました】
「クワッ?(えっ?)」