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国外脱出 ②

 私は騎士が一直線上に見える位置から地面を滑走していた。


「ク、クワッ!?(ちょ、凄いスピードがっ!?)」

「なっ、何だと!」


 騎士の1人が私の滑走に気が付き、右手をこちらに向けてきた。


 あれってもしかして学生を切り刻んだ魔術ってやつ!?


 でも、私の滑走は既に私の制御からは完全に外れ、弾丸の様にどんどんと加速していった!


 この着ぐるみは白木エルが耐衝撃、耐水などに優れている世界が震撼するほどの超新素材って自慢していたな……


 これで簡単に魔術で真っ二つにでもなったら、白木エルを呪ってやるぞ!?


「止まれ!!」


 シュパッパッパッ!!


「クワッ!?(何か刻まれてる音がするよ!?)」


 しかし、騎士の放った魔術は着ぐるみの表面のみを刻んだだけで、全長2メートル近くある巨大な物体の加速を止めるほどの威力は全く無かったみたいで、私は騎士2人をボーリングのピンのようにはね飛ばした。


 バコーーン!!


「ぐはっ!?」

「ぐふっ……」

「ク、クワッ!?(ちょ、ぶつかる!?)」


 私は2人の騎士を弾き飛ばした勢いのまま、壁へと激突した……


 ドゴッン!!


【中級風魔術・ウィンドカッターを覚えました】

【治癒魔術・自然治癒を覚えました】

【耐性魔術・衝撃耐性を覚えました】


 ……えっ?


 何もしてないのに魔術を覚えちゃったよ?


 なんで?


 しかも、さっき騎士の魔術で刻まれた着ぐるみは自然治癒のおかげなのか徐々に修復されている感じがした……ってこれは元々、着ぐるみに備わっていた機能かもしれないなと思い出した。


 性能テストを全てやっていなかったから忘れていたけど、白木エルの作り出した超新素材には一度素材に形状を記憶固定させると、素材内にあるナノマシンが空気中の物質から良く分からない事をして修復してしまうとか仕様書に書いてあった気がする。


 そして、中級風魔術ってのは騎士が私に使った魔術を、受けただけで覚えちゃったって事なのかな?


「……くそっ、何なんだあの謎生物は! 無害だと思って放置してやったのに……絶対に殺してやる!!」


 吹き飛ばした騎士の1人がフラフラしながらも起き上がり、ものすごい怒りの形相で私の方へと向かってきた……


「ク、クワッ……(そ、そんなに怒らなくても……)」


 ど、どうしよう……


 もう一回滑走する?


 いや、流石に警戒されているだろうし、横に回避されたら後が無防備になってしまうから危険な気がする……


 あっ!


 さっき覚えた中級風魔術って使えないかな?


 魔術なんて知らない筈なのに、中級風魔術を使いたいと頭の中で思ったら、何となくだけど、魔術の使い方が分かった……


 えっと、ウィンドカッターを撃ちたい方向に手をかざして、どんな感じの魔術を撃つか明確にイメージすれば、魔力の足りる限り何度でも撃つ事が出来るっぽいな。


 そんな事を考えている内に、怒りまくった騎士が私の近くまで迫って来ていた……


 くっ……ウィンドカッター出ろ!

 ウィンドカッター出ろ!

 ウィンドカッター出ろ!

 ウィンドカッター出ろ!


 私がウィンドカッターを撃ちたいと何度も強く念じていたら、身体のどこからか何かが抜けていく感覚があったと思ったら、私の右手から大量のウィンドカッターが飛び出していった。


 騎士が使った魔術は見えなかったのに、私が使う魔術は緑色っぽい刃が飛び出していくのが見えた。


 そして、騎士は私が魔術なんて使えると思っていなかったらしく、無防備な騎士にウィンドカッターが直撃した。


「はっ? ぐああああっ!?」


 私の撃ち出したウィンドカッターは騎士の鎧は切り刻めなかったけど、顔面には守るものが無かった為、まともに私のウィンドカッターが騎士の顔を襲った。


 うわっ……


 自分でウィンドカッターを出しておいてあれだけど、守られていない顔面に大量の風の刃を刻まれるのを見て、魔術ってかなり危険なものだなと分かった。

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