魔術王による魔術解説 ②
私はガイコツさんから様々な魔術を撃たれ、魔術適性を調べていた。
その結果、ガイコツさんの使える適性の中で私が使える適性は氷、風、水、光、幻、妖魔、治癒だった。
『通常、属性は1つだけなのに最低でも7属性を使えるのは異常じゃぞ』
そもそもガイコツさんの話では魔術を耐えて、魔術を覚える者はほとんどいないらしいが、ごく稀にいるらしいが、本来の魔術を覚える方法とは全く違っていて、1つの魔術を覚えるのに属性の基礎を学んでから、初級、中級、上級と徐々に増やしていくもので、氷魔術が超級しか使えないとかいうものは聞いたことが無いらしい。
『じゃあ私は楽していろいろな魔術が覚えられてラッキーなんですね』
『というより、普通は超級の氷魔術を防御魔術無しで耐えきるのが異常なんじゃがな……』
『そうなんですか?』
『うむ、超級魔術は天災みたいなレベルの威力がある魔術の筈なんじゃがな……もしかしたら魔術石を使った者の魔術適性が真逆だったのではないかの? 例えば炎属性の者だったとかじゃな』
『あっ、確かに魔術石以外の魔術は全て炎っぽい属性でした』
『なるほどな、ならペンギンは本当に幸運だったのかもしれないな。洞窟内で超級魔術を使うなんて自殺行為じゃからな』
『ガイコツさんも超級の魔術を使えるのですか?』
『わしの使える超級魔術は光と雷だけじゃが、おぬしには使わんぞ。多分じゃが、耐えきれずに蒸発してしまう可能性があるからな……流石におぬしも死ぬかもしれん賭けはしたくないじゃろ』
『確かに、今はそんなギャンブルをするタイミングじゃないですよね……それじゃあ、魔術を一通り覚えたらダンジョンに挑戦するんですか?』
『なにを言っとるのじゃ、おぬしには半年間しっかりと魔術の基礎から教えなくては生き残れないぞ……』
『えっ、魔術を覚えたのに、やっぱり半年は変わらないんですか?』
私は魔術を覚えたら直ぐにダンジョンに挑戦するのかと思っていたのに……これじゃあ、あの子達を助けられないんじゃ……
『おぬしの心配している事は分かるが、そもそもおぬしが奈落を抜けられる実力が無くて死んだら、助ける可能性すらないのじゃぞ?』
『それは分かっているんですが……』
やっぱり、助けられるかもしれないって思ったら助けたいと思ってしまうんだよね。
『いや、おぬしは奈落の難易度を全く理解していない。魔術王と呼ばれていたわしが奈落ダンジョンの入口で死んだんじゃぞ? まあ、今のわしは昔よりも遥かに強くなってはおるが、おぬしを庇いながら進めるほど温くはないぞ』
ガイコツさんからしたら、私の為に言ってくれてるんだなと言うのが、凄く伝わってきた。
……うん、あまりガイコツさんに迷惑をかけてもいけないし、ガイコツさんの言う最低限の実力が無いと、ダンジョン突破など無理なのだろう。
『分かりました。ガイコツさんが大丈夫だと言ってくれるまで私を鍛えてください!』
『ふむ、元よりそのつもりじゃ。それにわしには生前の心残りがあってな……』
『心残りですか? 私が手伝える内容ですか?』
ガイコツさんの心残りってなんだろう?
生前の遺品整理とかそんなのかな?
『それはの……突然、奈落に落とされてしまったから、わしの長年かけて編み出した魔術を継承する事の出来なかったのじゃ……そこで、おぬしにはわしの継承者になって欲しいのじゃ。ちょうど、おぬしはわしが継承したかった光属性の適性があるからちょうど良いのじゃ』
『そんな、私なんかで大丈夫なんですか?』
『うむ、問題ないのじゃ。あと可能なら、子孫達の様子を見て欲しいところじゃな』
『分かりました、無事にここから出られたら、ガイコツさんの心残りは私が引き継ぎます!』