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真実とこれからとpart3

 暑さが痛い程強く、風すらも肌に纏わりつく程の気温に体力が奪われていく。

 だからなのか、人々は頭まですっぽりと肌を隠す服装をしていた。

 直射日光が強い場所では暑くても半袖よりも長袖のほうが良い事位は知っていた。

 まるで中東のようだ、と桜は思った。

 窓が極端に少ない建物。どこの家もとても壁に厚みがあり、土壁の様な外壁に、ところどころは煉瓦を積み上げた建物も見かけられた。

 日本人で外国には行ったことがなかった桜はテレビやネットでしか知らない情報を頭の中で展開していた。


 そばにはバードがいてくれる事にとても感謝した。初めての土地で、かろうじて言葉が通じているが、その国の常識や文化など何も解らないまま1人できいたのでは、とても正気ではいられなかったことだろう。


「やっぱりこの土地は(ここは)いつ来ても暑いですね」

「バードさんはこの国に来たことがあるんですか?」

「ああ、俺は色々な国を渡ってきましたからね」


 この土地に着くとすぐ身体に纏う濃い青のマントの様な服を調達してきた事と良い、何も知らない場所だとは思ってはいなかったが、やはりか。


「凄いな、私は外国には行ったことがなくて……」

「何を行っているんですが、桜様は異世界に来ているんですよ? それに比べれば外国を知っているかどうかなんて些細なことでしょうに」


 桜が恐縮したのが解ったのだろう。バードはあえて明るく励ましてくれた。と桜は考えているのだが、バード自身は心からそう思っていた。

 絶対に桜のほうが心細かった筈だ。


「まずは衣食住をどうにかしましょうか」


 桜に笑いかけるバードはリュートとはまた違った男としての魅力がある。短く切られた髪は、とてもハードに似合っていて、日に焼けた肌も相まってとても男らしい。

 だからなのか、チラチラこちらを伺う女性の視線に桜も気付いていた。


「何から何まですみません。私が家出したばかりにバードさんにまでご迷惑をおかけしてしまって………」

「良いんですよ。寧ろ我々の国の問題に巻き込まれたのは桜様の方です。お気になさらずに、それに俺は女性には謝罪よりも、感謝される方が嬉しいんですけどね?」


 ああ、これはモテるわ。

 桜は異世界に来て、それもリュートの国に来て人々の顔面偏差値の高さに驚いていた。

 余計に普通の顔の自分が、嫌になる。

 その中でもリュートは群を抜いてとても綺麗な顔をしているのだから、あの顔の隣に立つには勇気がいった。


 まあ、秋人も整った顔をしていたけど、リュートとは次元が違っていたものね。

 桜は自身の生い立ちから美形嫌悪症にかかりつつあった。

 裏切られた訳じゃ無いけど、思わせぶりな態度はされていたと思うのよね。

 何とも思っていなかったのだとしたら、あんな距離感でまるで彼女相手にでもする様な態度でいてほしく無かった。

 もしかしたら自分に少しでも好意を持ってくれるかもしれない、それが勘違いでしかなかったと気付いた時の何ともいえない虚無感と恥ずかしさはもう二度と経験したくはない。

 そんな幼馴染との経験から、リュートをというか自分自身を信じられずにいたのだ。

 何だかとても悲観的になってきた。

 王女様はとても綺麗でお似合いだったな。

 そんなことを考えている自分にも嫌になってくる。


「桜様は頑張っていますよ」


 バードは考え込んでいた桜の頭を優しく撫でるとそんな言葉を掛けてきてくれた。まるで、桜の亡くなった父親の様な安心感を与えてくれる。

 家族の中でも長女という役割を担ってきた桜にはバードの優しさが兄の様で、父の様で、癒やされてくる。


「頑張れてるかな、私」


 だからこそ弱音も吐ける。


「これ以上ないくらいにね。だから今は甘えていなさい。誰でも充電も休息持ってくれるかも必要何ですから」


 じゃあ、頼られた方の安らぎはどうなるの?桜は喉から出掛かった言葉を飲み込んだ。

 チラついたリュートの影を振り払いながら『はい』と返事をして促されるまま街の中を歩いて移動して行った。




 ◇◇◇◇◇◇◇



 トントンというドアを叩くノックの音以前に、近付いてくる気配でリュートの目は覚めていた。

 靴音からして若い女性だろうと目星がつく。訓練去れた者の音とは違う素人のものだった。


 リュートはノックの音を無視することに決めた。

 身分を隠し乗船しているリュートには答えてやる義務がない。

 それにこの船には女性の乗務員等いないことは把握済みだった。尚の事答えてやる必要性を感じなかった。


 無視し続けていると、今度は声をかけられた。


「あの……先程助けて頂いた者ですが……」


 リュートはその言葉に嫌悪感を覚えた。

 何故、リュートの客室を知っているのか?

 つけられていたのならとっくにリュートは気づいている。そうじゃないのだとすれば、船の乗務員の誰かに聞いたという事だろう。

 ある程度金を上乗せして支払っているからその女が金で情報を買えたとは考えにくい。信頼関係が商売の上では何より大事になってくるからだ。

 考えられるとすれば、下のものに色仕掛で聞き出したと考えるのが一番正解に近いだろう。


 魔剣を手に入れてから、リュートは自身の剣を持ち歩いてはいなかった。正確に言えば()()()()()()()持ち歩いてはいないのだが、体術だけでもリュートはかなり強い。並の者には決して遅れを取るような事はない。


 そんなリュートは、気配を消すとベットからドアの近く迄移動して外の気配を伺った。


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