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第一側妃の野望

 ユリアと桜は男達を縄で捕縛し安全をすると梯子を渡り船の船内に足を踏み入れた。

 船内は収納スペースのみと言っていい位、びっしりと木箱が積み上げ下ある。

 こんなに重そうな荷物を沢山積んで沈んだりしないんだろうか?

 桜はそんな一抹の不安を頭を降って隅っこに追いやった。

 大きい……と言う程では無いがそれなりに大きさのある船を見ると秘密裏に動いている様にはどうしても思えない。

 どう見ても、この場所に人気が無くなる事を知っていたから目立つ船でも問題なかったからとしか思えなかった。

 でも…他国との戦争事態はここから少し離れたところで繰り広げられており、かつ軍を出しているのはユリアの実家で、指揮を取っているのはリュートだ。

 桜の頭は疑問だらけになった。

 だとしたら、この領土が戦禍になることは無いのだから、この男達が大々的に動く事がおかしいのではないか?

 桜は先を行き船内を確認していたユリアに訪ねた。


「……ねえユリア。何でこの男達はこの港がこんなに人気が無くなるって知っていたのかな?」


「……この地は我が公爵領と共に交易の要です。…つまり他の国との国境がある公爵領とこの港は外国との戦争が有れば真っ先に危険が及ぶため、昔から領民は戦争が始まれば被害が大きくならないように避難するのです。………最もこの数十年この国が戦禍になることは有りませんでしたが………。桜は国周辺の地理について勉強しましたね、この領地の位置を覚えていますか?」


 ユリアは木箱を確認しながら、桜の問いかけに答えてくれる。


「確か……ユリアの実家の領地が国境との境目にあって、その隣がこの領土で、並ぶ様に王都が有るんだよね?………で確か地図で見たときは、領土の半分が海に囲まれていて………地形が三ヶ月見たいになっていたと思う」


 ユリアは視線を木箱から桜に戻すと頷く様に答えた。


「正解です。…この土地が他国と戦や侵入があれば海の入り口を塞ぎます。………ですがそれは戦がある時位な物で、通常は港から離れて安全が確認できたら通常に戻す、と言う程度のものです…。入り口が閉鎖されれば荷物を運び出す事は困難です。…陸地から運ぼうとすれば我が公爵領を通過するしか方法が有りません」


「……て事は、敢えて近くの国境に攻めいる事で取引をしやすくしたって事?………それだけの為に国民を危険に去らしたの?」


 仮にも王族が?…桜はそんな言葉をやっとの思いで飲み込んだ。相手が相手なだけにリュートに迷惑をかける訳にはいかなかったから。

 心なしか、先程から側を離れない魔剣(お母様)が怒っている様に見えるのは気のせいでは無いだろう。

 お母様はこの国の最も位の高い女性だったのだから。


「そう考えるのが今は妥当だと思うわ……」


 ユリアの口調が家臣モードから何時もの物に戻った。桜の心情を重んじてくれているのだろう。


「………本来ならこの国の民以外がこの国に悪意を持って侵入する事は出来ない筈なのよ。…魔法の壁が張り巡らされているから」


 そこで桜は理解した。

 いま、現国王の魔力は落ちてきている。本来なら次のリュートが引き継ぐ事で再度結界が張られるのだろうが、まだ彼の魔法が完全では無いが為に張り直す事は出来ない。

 そんな状態でも……私の気持ちをリュートは待ってくれているのだ。回りはきっと切望しリュートに圧力を掛けているだろうに。

 リュートは道具としてしか私を見ていない回りと違い、桜自身を、心を望んでくれているのだ。

 そして、桜が気付かぬうちに守ってくれていた。

 今、どうしようも無いくらい彼に逢いたくなってきた。愛しくて、抱き締めたくてしょうがない。


「……私も覚悟を決めなきゃね」


 桜が決意を伝えるとユリアは首を降って止めた。


「この国人間としてとても有難いけれど、友としては複雑で反対だわ。………女の一生の問題なのよ!?桜に犠牲になってほしくない」


 運命の乙女が王に純潔を捧げる事は、婚姻し妃となるのと同義だ。

 愛してもいない者のために、故郷を捨てて、この身を捧げ一生を終えるのなら、それは犠牲だろう。

 でも…桜は違う。

 愛し愛された人に嫁ぐと思えば、それは犠牲ではなくて、愛だ。


「……リュートが好きよ。…私は好きな人の花嫁になるの………結果として、大切な人が助かるのなら私も嬉しいわ。…ユリアから見てリュートは私を愛してないと思う?」


「………幼馴染の目で見て、情けない位にリュートは桜が好きでしょうね。あんなにヘタレな彼は見たことが無いわ。桜が絡むと途端に臆病になるみたい。激愛ってああいう事を言うのね、初めて知ったわ」


 何故か最後は視線を剃らされて遠い目をされてしまった。…きっと、御披露目の後の事を言っているのだろう。


「なんか………ご免なさい」


 桜が申し訳無く謝ると、ユリア笑顔で否定した。


「うーん、………人形見たいな彼が桜と一緒になって始めて人間になれるみたいね。…友として、ずっと心配していたから正直嬉しい。まあ、桜にしてみれば束縛が強そうな男の愛なんて嫌だろうけど」


 最後は茶化して終わったところもユリアらしい。

 桜は、リュートの隣に立つことをリュートの身近な人に認めて貰った見たいで嬉しかった。

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