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おっさんは、異世界で貴族に転生した。属性はマザコン?(仮)  作者: 多田野風太
6章 王都に行くのに戦の準備?
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73 少しは成長していますね。

遅くなって申し訳ありません。

暑くてバテバテです。


 

 出発の準備をしようと思いシロを探した。朝は俺の傍で寝ていたのにな。


 パスを頼りに探すと、シロは幼女軍団に見つからないように裏庭に隠れていた。余程昨日のことが懲りたのだろう。ちょっとかわいそうな気がする。


 ノーラ姉さん、モース達も集まったので、早速転移して昨日の続きでノルトシュタットを目指す。モース達は情報収集だ。


 昼近くに大きな街を見つけたので、そこにノーラ姉さんたちを連れてきて一緒に食事をした。


 午後もノーラ姉さん達と別れて移動する。


 今は夕方と言っても三時ぐらいなのだが、ノルトシュタットが目の前にそびえている。


 要塞都市ノルトシュタット。


 綺麗な石積の外壁はゆうに十メートルを超える高さで、壁の上には弓兵による迎撃用の広い足場もある。門も重厚な観音開きの鉄扉とその後ろには格子扉が落とし戸になっている。


 壁は都市の全周を囲い、門は東西南北に設けてあるが街道に面している西門が最も大きい。


 要塞は丘陵地の上に陣取り、南には大きな湖があり船による物資の搬入もできるみたいだ。


 湖には王都方面から川が流れ込み西方面に流れ出ている。


 北には広大な平原が広がっており、軍を展開するにはもってこいだ。国境までの間には森もあり伏兵も置ける。


 国境を超えた帝国側も平原が広がっている。帝国側で大軍を迎え撃っても問題はなさそうだ。兵力差さえなければだが…


 城郭は、小高い丘にあるために見晴らしも良く大軍を見逃すこともない。守易い堅い砦であることは間違いない。


 後は、水と食料の備蓄具合なのだろうが、その辺は俺の心配することじゃないな。


 今日はキュプフェルトに飛んでから、ママン達を追いかけないといけないのでサクッと帰ることにする。


 ◇◇◇


 ノーラ姉さん達を迎えにいって、キュプフェルトの領主邸の裏庭に転移門をつなげる。


 ノーラ姉さんとモース達を置いてサクッとママン達の宿泊予定地の近くに転移門を開こうとしてふと気が付いた。


 シロだけでも目立つ。俺だけだともっと目立つ。シロに俺が乗っているのはさらにまずそう。


 と言うことで困ったときのノーラ姉さん頼み。パンパン柏手を打って頭を下げて見た。


「なにやっているの?ジーク」


 いかにも、厄介ごとの気配を読んで胡乱げに見つめてくるノーラ姉さんにお願いする。


「これは異国の神様にお願いごとをする時の作法です。実はノーラ姉さんにお願いがあるのですが聞いてください。」


「やけに胡散臭いわねぇ。面倒事なら嫌よ。」


「いえいえ、ただママン達に合流したいんだけど、僕とシロが出歩くと人目を引いて下手すると討伐対象になりかねないんで助けて欲しいんです。」


「はーそういうこと。うんうん。ちょっとは成長したのね。確かにあなた達だけで行かせると面倒なことしか待ってないわね。分ったわ。ついて行ってあげる。」


「ありがとう。ノーラ姉さん」


 言うが早いかママン達が宿泊する予定地の町近くに転移門を開く。


 俺とシロで転移門をくぐり、ノーラ姉さんが馬を引いて転移門をくぐってくるのを待つ。


 暫くすると、馬を引いたノーラ姉さんが来てくれた。


「ちょっとここで待っていてね。確かそこの道を少し行ったところだったわね。様子を見てくるわ。」


 そう言ってパカランパカランと馬を駆って去っていくノーラ姉さん。


 見送ってから三十分ぐらい待っていると一台の馬車が近づいてきた。


 少し警戒したが、中からママンとメリザとノーラ姉さんが現れて一安心。


「ノーラが来たときは少し驚いたけど、無事でよかったわ。」


「ナイス判断です。ジークも少しは成長していますね。」


 ママンとメリザが語りかけながら抱き上げて馬車に乗りこませてくれる。


「明日からもこのやり方で合流しましょう。その方が安全です。ノーラ悪いんだけどお願いね。」


「分ったわ。報告もあるしちょうどいいわね。」


 ママンとノーラ姉さんで今後もこの方式で合流することが決まった。


 僕としても面倒事にならないのだから御の字だ。


 宿泊地に到着すると、ヒルデ小母さん、祖母ちゃんも合流して情報交換だ。


 詳細はノーラ姉さんにお任せするが一応ノルトシュタット近郊までついたことを報告して置く。


「本当に速いわね。明日はどうするの?」


「ノーラ姉さんたちと砦の中を見たいのと、周辺の伏兵を置けそうなところ、本陣が置かれそうなところや、兵糧の集積場所になりそうなところを確認して置こうと思う。それでヒルデ小母さんの意見も聞かせてもらいたいんだ。」


 そういいながらスケッチしたノルトシュタット周辺の地形図を渡すと少し呆れていた。


「ここまで細かい地図なんてみたことないわよ。これを何枚か写して書き込んでおくわ。あと、写したものは貰ってもいい?軍とか関係各所に渡したいの。」


「いいよ!もっと広範囲の地図を作っているから渡しとくね。」


 そう言ってメンフィスベルから東に移動したときに作成した地図十枚くらいを渡した。


「これすごいわね。一気に国境周辺の詳細地図が出来ちゃうんじゃないの?」


「まだ落書き程度だし、距離や高さも目測だからだめだよ。」


「それにしても…ありがたく使わせてもらうわ。」


「ところでそろそろ王都に情報集めにいかなくていいの?」


「行きたいんだけどね。また転移門開いてもらえる?」


「いつがいい?」


「できれば、明日行きたいわ。」


「今日連絡しといたほうがいいね。手紙書いてもらってセバスに言付けとけば明日朝迎えに来てもらえるでしょう?帰りは夕方迎えに行くよ。」


 そう言って王都の屋敷に転移門を開く。


 ヒルデ小母さんはさらさらと手紙を書いてママンに渡し、ママンが転移門を潜ってセバスに言付けて戻ってくる。


「「「「本当に便利が良すぎるわね。」」」」


 四人の声がそろっている。


 それを無視して俺はそそくさとその場を離れ、寝室のソファーに座り収納から本を取り出す。転移魔法の本だ。設置型の魔方陣を置くことにより魔力を通すだけで転移できる装置が作れるらしいんだが魔法式が難解で一部失われているので研究途中だそうだ。


 二重鑑定で調らべたり、別の空間魔法系の本に手がかりがないか確認している。


 魔方式や魔方陣はプログラムに似ているところがありなかなか楽しい。暇つぶしには持ってこいだ。


 あと、やって置かなければいけないことはヒルデ小母さんに借りている戦史書を詳しく読み解くこと。


 ここ百年のものと後、東ルート進行、西ルート進行のものを探して目を通す。


 余りにもノルトシュタットに目が集中しているので、俺みたいな捻くれ者は裏をかきたくなってしまう。


 今回の帝国軍の戦略目標は何なのか?一気に王都に攻め込みたいのだろうけどそれは無理な相談だ。


 帝国が欲しいのは肥沃な耕作地。話に聞くと帝国の東側は魔物が多数出没する不毛の地らしい。王国より北に位置しているので農作物の育成も悪いのだろう。そう考えると帝国の侵略戦争も納得がいくのであるが戦略という概念がないのだろうか?


 まるで中国と匈奴との関係のように国境を侵しては略奪して退却を繰り返しているみたいだ。


 ここ百年は、ノルトシュタット要塞が出来て躍起になって要塞を落とそうとしているように見える。


 逆に王国からの侵略は、偶に王配や上級貴族が野心にまみれて進行したこともあるにはある。


 帝国では常時魔物の危険にさらされている。農民でさえEランク冒険者の上位くらいの実力があるらしい。帝国に攻め入るとは格上の相手に相手のホームで正面から殴りあうようなもので、いつもぼこぼこにされて退却しているみたいだ。


 ラインハルト祖父ちゃんが死んだ十年前の戦も侵略してきた帝国軍をノルトシュタットできっちり防いでいる。しかし、南辺境の欲深貴族たちが、退却している帝国軍を帝国領深くまで追撃し、逆激を食らい半数の兵を失う憂き目を見た。


 侵略を防いだのだから勝利と言えるのだろうが、一万の軍で追撃し、失った将兵が五千を超えるとそれは全滅とかわりない。


 それをごまかすために殿で奮戦した年若い騎士の父さんカールハインツが英雄扱いされたのは印象操作の賜物だろう。実際に五百の兵で五千の兵を防いでいるのだからたいしたものであるが、どうもそこでラインハルト祖父ちゃんも戦死しているのが奇妙である。


 このころのラインハルト祖父ちゃんは今の近衛騎士団長と同じくらいの王国最強クラスの実力者だと記載されており、著者がひどく惜しんだ文章を記していたのが印象的だった。


 帝国との間に講和条約も締結されたこともあるらしいのだが、魔王出現により魔物が活発化し、勇者を筆頭に人族として対応するためだそうだ。


 音頭は教皇がとり、教国から東の混沌の地へ派兵されるようだ。


 閑話休題


 とにかく、王国側としてきちんと諜報活動をしているのだろうから戦のことは大人に任せて、この際あっちこっちをシロと見て回ろうと思う。


 明日はノーラ姉さん達と、ノルトシュタット見物かな?


 そんなことを考えながらその日も終わって行くのでした。




読んでくださってありがとうございます。

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