表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんは、異世界で貴族に転生した。属性はマザコン?(仮)  作者: 多田野風太
4章王都は怖い?怖い!
56/87

閑話 メイドは見たⅦ

 


 あたしニーナ。ミュラー家に仕えるメイド見習いですぅ。


 あたしシュタート領の単なる村娘なんですが、父が従士をしているのでコネで就職しちゃいましたぁ。


 メリザさんの教えは厳しいけどぉ、みなさん優しいしぃ、楽しいのでOKです。


 あたしは今、王都にいますぅ!憧れの王都ですぅ!


 王都に入る時の門の大きさなんてお家より高いんですからぁ、何が通るのか不思議ですぅ。


 城壁?街壁?王都を囲む壁だって、ものすごく高くて長いんですぅ。


 あたし端まで見えませんでしたぁ。


 それも石を積み上げた石のかべですよぉ。


 おったまげぇ~ですぅ。


 王都の門の前はすんごい人の行列が出来てたんですが、あたし達が乗る馬車はすんなり通してくれましたぁ。


 さすがお貴族様の馬車です。


 門をくぐった街並みもすごいんです。


 建物が高くて石やレンガで出来ていてとにかくすごいんです。


 街を歩くお姉さんもきれいでぇ、着ている服もきれいでぇ、もう感動ですぅ。


 隣のビアンカ様と一緒に馬車の窓にかじりついてました。


 あたし達はミュラー家の王都別邸に向かいます。


 王都にお屋敷があるんですから、流石お貴族様です。


 お屋敷に着くと三人の方が玄関でお出迎えされていました。


 奥様、旦那様も一緒に馬車から荷物を下ろしたり、馬を厩舎に連れて行ったりするんです。


 他家の貴族様とはかなり違うんですよねぇ。


 あたしは次男のジーク様を連れてリビングへ向かいます。


 ジーク様と言えば生まれてしばらく破廉恥なお乳の飲み方に、「触ったら子供ができる!」なんて噂を流してしまいましたぁ。


 でも、でも、メリザさんに子供の作り方を懇切丁寧に教わって、今は素敵な男の人を見ると顔を赤らめてしまいますぅ。きゃ~恥ずかしぃ~


 王都に着いてリーゼ様達と楽しくリバーシをしたり、あやとりをして時間を潰していましたぁ。


 王都までの道中は魔物に襲われたり、すんごく怖かったのですぅ。


 今はゆっくり癒しの時間をまんきつちゅう?


 なのに、なのに、急に旦那様のお父上やお義兄様がいらっしゃることになったり、メリザさん達使用人の殆どがお出かけするということで、食事の支度をすることになりましたぁ。


 せっかくの癒しの時間がぁ~


 でも、でも、いつも作ってる野菜スープと堅パンで良いらしいのです。


 それなら慣れたものです。エッヘン。


 せっかく王都に来たのだから、もっといいものが食べたかったですが仕方ないですよねぇ。


 前向きに明日以降に期待しましょう!


 ◇◇◇


 朝起きると、メリザさんと子供達以外また旅に出るそうです。


 あっ、子供達の中にジークさまは入っていませんよぉ。


 あの子、変なんですから!赤ちゃんなのにぃ、すんごい魔法を使うんですぅ!


 ちょっと話が逸れちゃったけど、ホントに慌ただしくて、お貴族様もたいへんですよねぇ~


 ◇◇◇


 お留守番のあたしとメリザさんは、予定通りユリウス様の洗礼式の準備です。


 でもでも、このお仕事、実は結構大変なのですよぉ。


 ユリウス様とビアンカ様は、ものすごくやんちゃでお転婆さんなのですぅ。


 隙を見せると棒切れを振り回して、「剣の修行だ。」とか言ってるんですよぉ。


「ニーナ剣の相手をしてくれ!」


 ユリウス様が木剣を二本持って近づいてきます。


 後ろにビアンカ様もニコニコしながら控えているんです。


「申し訳ありません。私メイドなので剣をもったことないんですぅ。」


「父上も、母上もいなくて、稽古ができないんだ。少し付き合え。」


「いえいえ、ですからぁ~あっ、リーゼ様にお相手して・貰・え・ば…」


 庭の反対側で一心不乱に的に矢を放っているリーゼ様を発見してしまいました。


 あ~本当にミュラー家は武闘派だらけです!


 ユリウス様もリーゼ様の方を見て肩をすくめ、あたしに追撃してきます。


「だからさぁー木剣を持っているだけでいいから!付き合え!」


 こうなっては、最後の手段。


「メリザさーん!たすけてくださーい。」


 余裕のあったユリウス様の顔が引き攣ります。


 後ろで笑っていたビアンカ様も。


 メリザさんが飛んできました。顔に余裕がありません。


「ニーナ、何事ですか?」


 こちらを睨みつけて、聞いてきます。


 すごく怖いですぅ。


「かくかく、しかじかで、ユリウス様が剣の練習相手にと…」


 事情を説明すると、メリザさんが呆れています。


「この非常時に、なんてことを…ユリウス、ビアンカ、そんなに暴れたいならわたくしが相手になりましょう。いいですね!それからニーナ!メイドでも、時には主を守らなければなりません。剣の一つも使えなくてどうします。これから毎日あなたも剣の訓練に参加しなさい!」


 がーん!あたし藪をつついたら、ブラックバイソンが出て来てしまいましたぁ~


 ◇◇◇


 ユリウス様の洗礼式の予約に、教会に行きます。


 メリザさん、あたし、リーゼ様、ユリウス様、ビアンカ様の五人に、雇われ御者を伴ってです。


 今日も街は賑やかで、華やかで本当に王都は美しいです。


 街の至る所に広場があり、市が立っています。


 噴水のある広場もあり、ビアンカ様と二人で眺めていたらはぐれそうになりましたぁ。


 そうそう教会ですねぇ。


 王都の教会は、これまた大きくて立派なんですよぉ。


 門を入って真っ直ぐ行くと教会建物の入り口に突き当たります。


 大きな敷地の中は芝生が敷き詰められ沢山の人が集まれるようになっています。


 大きくて手の込んだ装飾のされた扉をくぐると、腰かけが沢山並んだ広いホールがあります。


 ここで、信徒を集めた礼拝が行われるんですよねぇ。


 いたる所に彫刻があったり、壁に煌びやかな神話の絵が描かれたりぃ、荘厳で華やかな雰囲気で包まれていますぅ。


 正面には祭壇があり、大きな七柱の神様の彫像が祭られています。


 内の村の教会とは雲泥の差ですぅ。


 メリザさんが、横にある神官さんの詰め所に行き、用向きを伝えました。


 応接室に案内され、司祭様らしき人が現れます。


 ユリウス様を紹介し、洗礼の義の予約を入れてお布施を渡します。


 お布施の中身を確認して、にこやかに笑う司祭様。


 一層丁寧な口調で段取りを教えてくれましたぁ。


 現金なものです。


 さらに、糖蜜と、リバーシをお供えしてもらいます。


 お布施を渡すと、直ぐに儀式が行われました。


 サタンの沙汰も金次第とはだれが言ったダジャレだたのかなぁ?


 教会での準備はこれで終わりです。


 ◇◇◇


 次は衣装を誂えます。


 贔屓にしている店があるらしく、みんなで馬車に乗り向かいます。


 店は、繁華街の真ん中にある大きなお店です。


 入ると直ぐに綺麗な女性店員さんがやってきて、メリザさんと話しています。


 そしてまず、ユリウス様が生贄になりましたぁ。


 体の寸法を測られ、沢山の反物を当てられますぅ。


 メリザさんと店員さんが真剣に話し込み、出来合いの服を持ってきてユリウス様を着せ替えます。


 実際に試着して、一番似合うデザインを選んでいるそうです。


 やっと服のデザインと反物が決まったのでしょう、ユリウス様がヘロヘロで近くのソファーに倒れ込みます。


 次はリーゼ様そしてビアンカ様と犠牲になりました。


 ただ、お二人は終始ニコニコとメリザさんや店員さんに希望を伝え平気でこなします。


 やはり女は強いのですぅ!


 さあ帰りましょうと、準備をしているとメリザさんに呼ばれます。


「ニーナあなたもメイド服と普段着を誂えますよ。さあ採寸するので衣装を脱いで…」


 あたし、感激しつつも身ぐるみ剥され下着だけにされてしまいました。


 そしてそして、緊張して試着が終わるころには、ヘロヘロになってしまいましたぁ。


 ◇◇◇


 他にも儀式に必要な物を買いに行ったり、本屋や武器屋を回ったり、王都観光を楽しみましたぁ。


 たまにたまに、馬車ごと裏町に連れて行かれ、暴漢に襲われるのです。


 でもでも、メリザさんとリーゼ様にあっさり倒されていますぅ。


 ユリウス様とビアンカ様もファイアーボールで攻撃するんですが、周りに被害が出るのでメリザさんに怒られています。


「わるものを退治するの!オコはだめなの!メリザ」


 ビアンカ様がほっぺを膨らませて抗議するんです。


 でもでも、周りの被害がねぇ~


 ビアンカ様、黙って怒られてください。


 ◇◇◇


 王都に来てから二週間ぐらいたったでしょうか?


 やっと奥様達が帰ってきました。


 実はミュラー家、王都ですごく評判なんですよぉ。


 『さすが百人斬!』『英雄様だ!』ってなんだか自慢したくなりますぅ。


 そんな話は置いといて、メリザさん達が必死で新しいレシピを試しています。


 あたしも含めたメイド達で試食をしながら作っているんでがぁ、すごく美味しいんですぅ。


 でもでも、これはレシピがすごいんですねぇ。


 試作を作るたびに奪い合い、歓声が沸き上がりますぅ。


 その日の夕食は奥様達も大満足で、メイド全員でサムズアプしていましたぁ。


 さらにさらに、次の日はお客様がみえると言うことで、数種類のレシピが投入されました。


 やったぁー


 フワフワのパンなんて初めてです。


 メイド達で試食しながら作るんですが、もう天国ですぅ。


 最後の糖蜜を使ったお菓子なんてぇ…じゅるり…


 あーミュラー家のメイドでよかったぁ!




読んでくださってありがとうございます。


評価、ブックマークいただけると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ