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おっさんは、異世界で貴族に転生した。属性はマザコン?(仮)  作者: 多田野風太
4章王都は怖い?怖い!
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41 入城作戦

 



 キュプフェルトの街の周りの詳しい状況を集める。


 斥候と前衛が三人一組になって左右に分かれ魔物がいない城門がないか確認する。


 一時間後、戻ってきた者の話では全周魔物で一杯らしい。


 城門まで魔物を突っ切らなければいけない距離は大体五百メートル。


 取り囲んでるのはゴブリン、コボルド、オーク、オーガのCランク以下の雑魚にシルバーウルフなどの狼系、キモい所でゾンビ系も混ざっていた。


 Bランクのオーガキングやオークキングが率いているみたいだが肉食獣も交じっているので厄介だ。


 突っ切って城門まで行っても開門してくれるかどうか分らない。


 しかし、突っ込まない訳には行かないので城門まで突っ切ることにした。


 道の両脇にインフェルノで魔物を焼き払い街道上の魔物をトルネードで切り刻む。


 インフェルノには他の魔法使いさんがウォーターで水蒸気爆発を起こし追い打ちをかける。


 城門までたどり着いたら門が開くまで、とにかく魔物を殲滅する。


 交渉は騎士団長に任せる。


 魔力が何処まで持つかに掛かっているのだが門が開かなければぶち壊して中に入ってやる。


 ◇◇◇


 暗くなると厄介なのでさっさと始めることにした。


 出来るだけこっそり近づいて接敵する五十メートル手前で二か所にインフェルノを発動させる。


 続けてトルネードを道上にコントロールしながら発動させ魔物だけを切り刻む。


 道を壊さない様にコントロールするのが難しい。


 インフェルノにはピルネとエルザにウォーターを落としてもらう。


 道が開くと魔物がなだれ込んでくるので次のインフェルノで道の両脇を焼いてトルネードを使う。


 城門の方が騒がしくなってきた。


 三回同じことをすると魔力が減ってきたので魔力回復薬を飲む。


 この時ふと思った。魔石握って魔法発動したらどうなるだろう。


「イリス!魔石頂戴。できればいっぱい」


 お願いするとイリスが転がっている魔物の死体から魔石を回収して渡してくれる。


 廃物利用とは…


 握りこんでインフェルノを発動すると、魔石から半分くらいの魔力が供給される。


 こりゃー省エネだ。


「イリス、もっと魔石頂戴。魔力が節約できるんだよぉ!」


「マジですか?はい、はーい。持ってきまーす!」


 イリスが気軽に答えてドンドン魔石を回収してくれる。


 取り敢えずインフェルノだけ城壁までつないで炎の道を作ってしまう。


 そして、トルネードで炎の道の内側にいる魔物を切り刻む。


 ママン、ピルネ、エルザがウォーターでインフェルノを爆裂魔法に変えて魔物を吹き飛ばし、残っている魔物を前衛が切り倒す。


 三十分ぐらい経った頃城門までに一本の道が開いた。


 ちょうど道ができるのを見計らうように城門がギギギと開き始める。


 開ききる前に二十騎くらいの騎兵と箱馬車がすごい勢いで飛び出してこちらに構わず突っ走って行った。


 こっちもせっかく城門が開いたのだ。慌てて飛び込む。


 何とか締め切られる前に街の中に飛び込めた。


 城門を守っていた衛兵に騎士団長が身分を名乗りキュプナー子爵への取り次ぎを依頼する。


 しかし衛兵長は困惑するばかりで埒が明かない。


 ただ、領館には案内してくれた。


 騎士団長、祖父ちゃん、父さんの三人にキュプナー子爵との話を任せギルドに行って魔物の素材を買取ってもらえるか確認に行く。


 食料がないので食べられるものなら買い取るという。


 そう言うことなら、早速肉祭りで手に入れたお肉たちを売ることにした。


 解体場の倉庫を人払いしてもらって、ファングブルとフォレストカリブー以外の鹿、猪系の魔物を収納魔法から全部取り出して山にする。


 あっ間違えた帰りの道中に食べる分はきちんと残しておく。


 全部で金貨五十枚になった。ホクホクである。


 取り敢えず宿に向かって宿泊することにする。


 魔力の使い過ぎなのでだるくて仕方がない。


 宿に着く前にママンにお願いしてお乳を貰って直ぐいつものベッドにもぐりこんだ。


 ◇◇◇


 どれくらい眠れたのか分らないが、夕食の時に起こされた。


 まだ眠いけどお腹も減っているみたいなので起きて食堂に行く。


 すると皆お通夜みたいに深刻そうな顔をして食事をしていた。


 椅子に座ると騎士団長が呻く様にしゃべり始めた。


「家宰の話ではキュプナー子爵は私たちが入ってきた時に入れ替わりで王都に救援要請に向かわれたそうだ。」


「へ?」思わず絶句してしまう。


「家宰が言うには三回ほど王都に向かって救援要請の使者を送ったそうだ。しかしいくら待っても一向に救援が来ない。そのうち魔物に城外を包囲されてしまい門の外に出られなくなってしまった。」


 祖父ちゃんが次の言葉を続ける。


「そこに儂らが魔物を蹴散らし城門までの道を作った。子爵夫婦は天佑とか言って嬉々として精鋭二十騎を連れて王都に救援を呼びに行ったそうじゃ!」


「あらあら、それはこまりましたねぇ。うふふ。子爵家の人は残っているのですか?」


 ママンが尋ねる。


「それがな、子爵家の血族は一人もいないそうだ。子爵夫妻以外早い段階で王都の邸宅に避難しているそうでな、一応家宰が代行を務めている。」


 団長が答えてくれた。


「今この街の中に何人位戦える人がいるの?」


「領軍五百に衛兵三百、冒険者が三百と言う所かな。」


 ヤーコプさんが教えてくれた。


「兵力千百もあれば明日にでも外の魔物倒しちゃおうか?」


 俺が呟くと、全員がギョッとした。続けてイリスに質問する。


「イリス魔石まだある?」


「ジーク様あるわよ。あと少しぐらいなら…」


 返事を聞いて作戦の概要を説明する。


「ごはん食べてお風呂入ったら東門の周りをインフェルノで囲っちゃうから、領兵率いて魔石集めしてきてよ!その後ぐっすり眠って明日の朝魔力が回復したら魔石で魔力補いながら絨毯インフェルノかけるから魔物が怯んでいる隙に打って出て倒してきて…」


「騎士団長どうかな?烏合の衆だから無理?最悪明後日までかかっても仕方ないよね」


 騎士団長に意見を求める。


「面白いな。しかしジーク無理しすぎじゃないのか?」


 団長が心配してくれる。


「だって無理しなきゃ前に進めないでしょ?」


 そして話を続けた。


「それに、今頃子爵夫婦は使者じゃなく、死者になっていると思うから、時間かけると被害が増えるよ!」


 我ながら上手いこと言ったな。自画自賛していると団長が再度確認してきた。


「そうなるのか?」


「多分、だけどね。」


「仕方あるまい。すまぬマリー許してくれ。」


 そう言って騎士団長がママンに頭を下げる。


 ママンは顔を顰めて複雑な表情のままこくりと頷いた。


「それじゃー御飯!御飯!あと、ママンお風呂入れてー」


 ママンにお願いするとニッコリ微笑んで


「はいはい。ジークは甘えん坊ね!」


 そう言ってご飯を食べさせてくれた。


 お風呂にも入れて貰ってオットーに籠ベッドを運んでもらう。俺はママンに抱かれて東の城門の上に行く。ピルネとエルザも一緒だ。


 城門の前百メートル位を残して両手に魔石を握りこんでインフェルノを連発する。


 最後に城門前にトルネードを使って魔物を刻む。


 トルネードが治まったら城門が開いて残りの魔物を狩る隊と魔石を回収する者が出て行って作業をする。


 魔力がまだ残っていたのでインフェルノをあちこちに三から四回発動して魔力が切れそうになったのでベッドに移して貰った。


「ママンおやすみなさい。」


「ジークゆっくりお休み」ママンの優しい声を聴いて、安心して微睡の中に意識を沈ませた。






読んでくださってありがとうございます。


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