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おっさんは、異世界で貴族に転生した。属性はマザコン?(仮)  作者: 多田野風太
3章 都会は楽しい?それとも…
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20 ケルナー辺境伯1

 


 ギルドから出て、馬車に乗り込むとお腹がすごく空いていたのでママンにおねだりした。


「ママン、まんま」


 するといつものようにママンはご飯を食べさせてくれる。


 オットーは御者台で馬車の中は二人だけだ。


「Aランクのブラディーグリズリーだったとは驚きだわ!絶対ヒルデ先輩にも突っ込まれるわね!お願いジーク、辺境伯邸ではしゃべらないでね!あと魔力は自然に抑えて使わないでね。あの人感も鋭いけど、魔力感知も並みじゃないから…」


 心配そうにこっちを見るママン。


「寝てちゃだめかな?」


「できれば、会話は聞いといて欲しいのだけど…寝ててもいいわよ。赤ん坊のお仕事だしね。でもぉ~起こされるとおもうなぁ~とにかく頑張ってね!ジーク。」


 ギルドでの出来事に動揺しすぎてかなり疲れていた。


 これから起こるであろう修羅場にも対応するために少し寝ることにする。


「ママン、疲れたから眠るね。」


「ええ、おやすみなさい。ジーク」


 俺は微睡の中に沈んでゆくのだった。


 ◇◇◇


 ビクンッ


 殺される!そう思って飛び起きた。


 目を見開くと濃紺で艶やかなストレートの髪を後ろで束ね、濃い藍色の瞳で俺の顔を覗き込んでいる美しい女性がいた。


 慌ててママンの顔を見るとその女性を睨んでいる。


「ほぎゃーほぎゃーほぎゃー」


 とにかく泣いた。今まで生きてきた中で一番の泣き声をあげた。


 とにかくやばいと思った。俺の中の何かが警告している。


 ママンにしがみついた。


「あらあら、怖かったでちゅねー吃驚しちゃったでちゅねーママンが辺境伯を怒っておきますからねー安心してくだちゃい。」


 俺に赤ちゃん言葉で話しかけた後ママンは女性を睨みつけて怒った。


「ヒルデ先輩!寝ているジークにいきなり殺気をぶつけるなんてやめてくださいよ!まだ生まれて半年たってないんですよ!ショック死したらどうするんですか?」


 あーやっぱりこの女性がブリュンヒルデ・フォン・グラッツェル・ケルナー辺境伯かぁ~


 こりゃ~やばいわ!一種の化けもんだわぁ~何となくそう思った。


「あまりにも気持ちよさそうに眠っているから…ちょっといたずらしちゃった。」


 リアルテヘペロッいただきましたぁ~


 てか、ホントに殺されると思ったよぉ~


 俺の泣き声を聞いてゾロゾロと周りに人が集まってきた。


 父さんと内の姉兄三人に見知らぬ青年とちびっこが三人。


 一人は青年に抱かれた俺より少し大きな赤ん坊?一人はユリウス兄と同い年くらいの女の子。もう一人がリーゼ姉と同い年ぐらいの男の子。


 察するに赤ん坊を抱いている青年が辺境伯の旦那のローデリヒ・フォン・グラッツェル(二十九歳)で抱いている子が次女イザベル(一歳)、女の子が長女のフロレンティーナ(四歳)で、男の子がヨーゼス(七歳)かな?一応ママンと予習済みである。


 真っ先に飛んできたのはリーゼ姉だった。


「ジークどうしたの?怖い夢でも見たの?魔物に襲われた夢でも見たのかしら?あの時は怖かったもんね!リーゼもママンもいるから大丈夫よ!よしよし!」


 そう言ってママンにしがみ付く俺の顔を覗き込み、頭をなぜなぜしてくれた。


 やっぱりリーゼ姉は『マジ天使!』である。


 そしてママンに話しかけるリーゼ姉。


「お母様、ジークがこんなに泣くのは初めてですわね!いつも静かで大人しいのに…やっぱり魔物に襲われたのが怖かったのですわ!わたくしもすごく怖かったですもの!」


 ナイス!リーゼ姉!辺境伯へのいい突っ込みだ!『天使なリーゼ姉』のファインプレイに心の中でサムズアップする俺。


 ママンの顔を盗み見ると俺と同じことを考えてそうだ。


「リーゼも怖かったのですものね。きっとジークも怖い夢を見ていたのかもしれないわね?あと、辺境伯の悪戯で下手すると死んでしまう所でしたから無理もないのですわ。」


 ママンが頬に手を当て困った顔でリーゼ姉に答えると、リーゼ姉が顔を真っ赤にして怒り始めた。


「ヒルデ小母様酷いですわ!私の大事なジークにどんな悪戯をしたんですの?こんなにジークを怖がらせて…弟のジークは私が守りますの!もうジークをいじめないでください!そうでないと、小母さまのこと嫌いになってしまいますわ!」


 うおーリーゼ姉辺境伯に一歩も引かない!それも俺を守るって!


 あ~ママンに次いでリーゼ姉にも落とされてしまったぁ~


 もう俺お婿にいけないかも?あ~俺ってやっぱチョロイよねorz


「ごめんなさいね。ジーク。そしてリーゼも。あまりにもかわいらしくて、ぐっすり眠っているものだから…ツンツンと突く感じで悪戯しちゃったの。本当にごめんなさい。」


 謝る辺境伯にリーゼ姉が満面の笑みで答える。


「小母様も分って頂けますの?寝ているジークの愛らしさったら。うふふ。ちょっと悪戯したくなるのは私も一緒ですから。うふふ。分って頂けたのならうれしいですわ。今後ともジークをよろしくお願いしますわね!ヒルデ小母様。」


 あーリーゼ姉もチョロかった。かなりがっくりしたのと、泣き疲れたので徐々に泣くのをやめてゆく。


 取り敢えずママンにしがみ付いているが、リーゼ姉の機嫌が直り周りも和んできた。


 子供たちは旅の話をしているみたいで「きゃっきゃ」とはしゃいでいるし、父さん、ローデリヒ卿、辺境伯、ママンは、ユリウス兄とティーナの洗礼式の準備や「冬は王都まで御一緒しましょう。」と言う話をしている。


 暫くするとメイドが辺境伯に耳打ちする。


「お昼の準備が出来ましたのでお食事にしましょう。」


 辺境伯の言葉と、メイドに案内され皆で食堂に移動してテーブルに着いた。


 俺は泣き疲れた演技をしていつものベービー籠の中で寝たふりをしている。


 魔力操作もしていないので会話が聞き取りにくいが、父さんがレッドグリズリー討伐の話をして盛り上げているみたいだ。


 和やかに食事も進んで食後のお茶を飲んでいる時に、ママンが席を立ってやってきた。


 俺を抱き上げたので、お腹も減っているからごそごそと胸のあたりを触ってアピールする。


「ジークお腹が減っているの?少し中座させて貰っていいかしら?ジークにお乳をあげてきます。」


 すると辺境伯がメイドに支持を出し、別室に案内してくれた。


 普通に「ちゅぱ、ちゅぱ」やってると誰か室内に入ってくる。


 まあ、この大きくて探るような魔力反応は辺境伯しかいないのだが…


「あらあら、ヒルデ先輩まで中座してきちゃったの?」


「お話したいことがあるんでしょう?」


 多分二人とも狙っていたのね。良い出しに使われたけど予測できたからいいや。


 後のバトルはママンにお任せしよう。


 早速ママンが口火を切った。


「ブラディーグリズリーなんて押し付けて酷いじゃない?」


「今朝、ギルドのアンナに聞いたのでしょう?でも、迷惑かけたことには違いないわね!ごめんなさい。謝っとくわ。あと、討伐してくれてありがとう。ホント助かったわ!」


「あら、以外に素直ね?でもカールを英雄扱いして印象操作をするのはやめて欲しいの!それと報奨金もちゃんとだしてくださる?」


 丁寧な辺境伯に対してママンは強気だ!辺境伯の対応が怖い。


「あら、いいのかしらブラディーグリズリーを倒したことを知らせて?Aランクの魔物を倒したカールは本物の英雄扱いされるわよ?それに隠しておきたいこともあるんじゃないの?」


 俺をニヤニヤと見つめる辺境伯が非常に怖い。


「まあいいわ!カールを持ち上げるのはやめにするわ、これ以上持ち上げて変な貴族にちょっかいかけられるのも都合が悪いし…報奨金はあと金貨50枚用意するわね。ジークの出産祝いと云うことでね!本当にジークを産んでくれてありがとう。」


 そして、さらに譲歩してくる辺境伯に戦慄する。


「まあ!すごく太っ腹ね!びっくりしたわ!でも、ジークを産んだことをヒルデ先輩に感謝される覚えはないんだけど…」


 ママンも違和感を感じているようだ。少し動揺している。


「だってジークは内に婿に来るのよ。ティーナかイザベルどちらに為るかは相性を見た方がいいけど私の義息子になることは決定よ!きちんと教育してね!」


 唖然とするママン。どういう理論じゃと突っ込みを入れたくなるが、黙秘。黙秘。


「どうしてジークが婿入りすることが決定なの?まだ赤ん坊よ?それも家みたいな貧乏男爵の!」


「そんなのジークがすごいからに決まっているじゃない!私を誤魔化せると思ってたの?ブラッディーグリズリーを倒したのこの子でしょう?すごわね!この年でこの魔力!魔力操作も申し分ないわ!きれいに体内循環させている!それも今は自然に抑えてるんだからびっくりよ!日ごろから努力してるいのね?あの殺気にも動じないで最善の選択ができる判断力!リーゼが庇った時は嬉しそうな顔して…ホントに家族が好きなのね?魔物に襲われた時も無理してみんなを守ったんじゃないの?従士を回復までさせるんだから部下にも慕われるでしょうね!ホントに優しい子!あなたと私の会話も理解しているし、ホント化け物ね!と言うより多分順調に成長すれば勇者様ね!この子が成人するころにはシュタート領も発展するでしょう?多分竜の森に手を付けられるんじゃないかしら?手付としてシュタート領までの山道の整備をするわよ!計画練るから冬は忙しくなるからね!覚悟しといてよ!でも楽しみだわこの子が大きくなるのが…王国の宝になる素質十分よ!」


 あーすごい全部バレバレ。『なんでここまで読めるんだ?』と一瞬考えた。


読んでくださってありがとうございます。

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