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おっさんは、異世界で貴族に転生した。属性はマザコン?(仮)  作者: 多田野風太
2章 はじめての旅行
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閑話 メイドは見た。Ⅲ

メリザ視点です。

わたくしメリザです。今王都へ向けての旅の準備に追われています。


来年ミュラー家の長男ユリウスが洗礼式を迎えます。


洗礼式には色々準備が必要です。貴族になるための王都でのお披露目も必要です。


収穫で忙しくなる前に一度王都に行くことが決まりました。


生まれて半年の赤ん坊は普通留守番をしているのですが、何せジークですから問題ありません。


普通なら乳母の私が赤ん坊と一緒に村に残れて、私のかわいい娘たちの世話もできたのですが…


ジークのせいで同行することが確定してしまいました。ホントにジークは疫病神です。


準備ができ次第早々に村を出発します。


さっさと行って帰ってこないと収穫の時期にずれ込んでてんやわんやになってしまいます。


かわいい盛りの娘達にも早く会いたいのです。


◇◇◇


道中の山道は、魔物も出ます。Eランクのブラウンボア、ファングウルフ、Fランクのホーンラビットなんかです。たまーにCランクのレッドベアも出るみたいです。


だいたい山脈を通り抜ける間に一度遭遇するかしないかの頻度です。


定期的にギルドに依頼を出して間引いてもらっているのでそこまで危険な旅では有りません。


出発して昼食を取ってしばらくしたころです。前の馬車が止まってなんだか騒がしくなります。


ジークが激しく泣いているそうです。珍しい。何か変ですね。


皆異常に気が付いて警戒しています。突然狼の魔物が襲ってきました。


数は六頭従士が十人いますしサクッと倒すでしょう。


後は、山道を超えるだけですね。


暫く戦闘が続きましたがすんなり倒したみたいです。


この後は素材の剥ぎ取りをするはずなのでしばらく休憩ですね。


役目を果たしにまいりましょう。


前の馬車からミュラー家の子供たちが出てきます。


みなさん興味津々です。普通小さい子供は魔物を怖がるんですけど…


煮出したお茶を水筒からコップに移して皆さんに配ってまいります。


カール様とマリーが話しているのですが、狼の魔物が出るのが村に近すぎると言っています。


確かにそうですね。六頭という数も若干多い気がします。


お茶を配り終わり狼の魔物を見てびっくりします。


これCランクのシルバーウルフです。この山で見るのは初めてです。


少しおかしいですね。


でも、カール様とマリーもその辺は気付いているでしょうからお任せしましょう。


そろそろ夕食の準備もしなければいけませんし、馬車の中でできる野菜の皮むきでも始めましょうか…


◇◇◇


今日の野営地に着きました。


さて夕食の支度をしましょう。


あらかた野菜の皮むきは終わっているので煮込んで干し肉を加えハーブと塩で味を調えて、さあ出来上がり。


食後のお茶の準備も抜かりなくしておかなければいけません。


あら珍しい、ジークが泣いています。ご飯は食べたところなのですが…


あーおしっこしたのですか?あらあら、やっと普通の赤ちゃんらしさが出ましたね。


ちょっとホッコリしました。


子供達が寝つき、従士達がガヤガヤ騒いでいる中、カール様、マリー、わたくし、オットーで昼間の魔物の話をします。


マリーは大分気になっているようです。


「皆さんランクCのシルバーウルフだと気付いていますか?」


わたくしが尋ねますと


「「そんな馬鹿な…」」と男たちがハモります。


マリーは熟考しています。


「異変がある時は慎重になった方がいいです。無理をせず、いったん村へ引き返しましょう。子供たちを危険にさらすわけにはいきません。」


わたくしは男たちの認識に危険を感じて安全策を提案します。


「「いやいや無理だから。」」また、男たちがハモります。


マリーはまだ考えています。


「今日はもう何もできません。休みましょう。」


マリーが先送りしました。仕方ありませんね。


男達に何を言っても無駄だと思ったのでしょう。


さて、休みましょう。カール様、マリー、ジーク、わたくし、オットーでそれぞれ毛布に包まって眠ります


◇◇◇


いきなり赤ん坊の泣き声で起こされました。


ジークが泣いています。


マリーも飛び起きています。


珍しいですね夜泣きなんて…


でも泣き方が変です。なんだか嫌な予感がします。


夜明けまでは、まだ数時間あるはずです。


カール様とオットーも起き出しました。


従士達は?毛布をかぶり直していますね。


起きて文句を言うわけにもいきませんしね。


ジークを抱き上げてこの場を離れようと起きあがるとジークの魔力が大きく膨れ上がります。


「えっファイアーボール?」


東の星空に赤・白・黄・青、鮮やかに光り輝く特大のファイアーボールが現れます。


その下に無数の魔物の影…


魔物もいきなりの攻撃にひるんだ様子で立ち止まり、遠吠えをあげて威嚇しています。


カール様の声が響き渡り、従士たちがそれに合わせて慌てて武器を持って隊列を組みます。


従士は戦い、マリーは馬車の上より魔法で牽制。


わたくしは子供たちの乗る馬車へジークを抱いて、ニーナを連れて向かいます。


馬車の中ではユリウスとビアンカが良く眠っていました。流石ですね。


リーゼは起きて外の様子を気にしています。


「狼の魔物が迫っています。数は二十頭。ニーナと一緒に馬車の中にいてください。わたくしは馬車の上で護衛をします。大丈夫ですよ。すぐに片付きます。」


気休めですがそう伝えます。シルバーウルフ二十頭は暗闇の今の状況では厳しいでしょう。


馬車の上に陣取りライトの魔法で視界を確保します。


うっかりジークを抱いたまま上がってきたためしかたなく馬車の上に座らせておきます。


わたくしは、ライトで視界を保ちながら弓矢で狼達を狙います。


ちらちらジークに目をやると戦況を真剣に見ています。


そして、いきなり魔力が大きく膨れ上がりファイアーボールを三連弾で放ちました。


普通のモノの三倍はあろうかという高威力です。


それが魔物のリーダーらしき個体に着弾し倒してしまいました。


「すごい」呆然と立ち尽くしてしまいました。


どれくらい時間がたったのでしょう。我に返りジークを見ると気を失っています。


慌ててすぐに抱き上げ様子を見ると魔力枯渇で倒れたようです。


この子は何時魔法を覚えたのでしょうか?


色々な疑問は湧きますがしばらく棚上げにします。


この子はわたくしたちを守ろうと必死になっていました。


昼も泣いて、夜中も泣いて敵の接近を知らせ、動かない大人に、私なら魔力枯渇に陥るぐらいのファイアーボールを撃って知らせ、危険な魔物を、力を振り絞って撃退した。


大人は子供を守る物です。子供に守られる大人なんてわたくしの矜持が許しません!


ジークを馬車のいつもの籠に優しく寝かせます。


「ジークありがとう。」あなた達はわたくしが守って見せます。


馬車の上に飛び上がり敵の魔物が撃退するまで一心不乱に矢を射かけ続けました。


夜空が白み始めた頃、ようやく魔物全てを討伐することが出来増した。


読んでくださってありがとうございます。


掲載順を変更しました。

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