第4話 情報屋
三階に上がると一階のフロアと景色ががらりと変わる。人が泊まれるよう同じ形のドアが一方向にずらりと並んでいる。
レイカは迷わずに進み、一番奥の部屋のドアを軽く叩き、開けた。室内にいたのは、すらりとした細身の体躯をした三十代後半ぐらいの男性だ。肩のあたりで灰茶色の髪が雑に切りそろえられている。
「ケヴィンさん」
「……レイカ、の方か?」
葉巻を口に咥え、レイカを凝視した後、彼は自信なさげに聞いてくる。
「そうです。姉と間違わないで下さいよ」
「お前の姉はお前ほどここにはこない」
「今忙しい時期みたいで」
「お前はどうなんだよ」
「私は姉より優れてますから」
にこりと笑うレイカに、盛大な溜息をついた。
「アイツは?」
「巻いてきました。今頃近くを探しているかもしれませんね」
ケヴィンは心底嫌そうな顔をした。
「来られたらかなわん。今すぐ帰ってくれ!」
ケヴィンは、乱暴に椅子から立ち上がった。レイカを部屋の外へ追い出そうとする手を軽やかに避けて窓に近づく。
「そんなに怖がらなくても。すぐ出で行きますから、ちょっと付き合って下さい」
レイカの知り合いが余程恐ろしいのか、男は身震いさせた。
彼の口から吐き出された白い煙が部屋に充満している。独特の匂いにあてられて、ナヒロは喉から咳がでた。
「駄目だって言われてるじゃないですか。言いますよ?」
「そんなことされたら営業するところがなくなるじゃないか」
「困るなら今すぐに止めてください」
レイカが窓を開け、部屋の空気を入れ替える。新鮮な外の空気が、慣れない葉巻の独特な匂いを薄めてくれた。
「止めれるならとっくに止めてるっての。はぁ、で。そっちの嬢ちゃんは?」
男は愚痴をこぼしながら、葉巻の火を灰皿に押しつぶして消した。初冬の冷えた風で暖まった身体が冷やされ、上着を羽織る。その上着は所々小さな穴が開いていて、見ているナヒロが身震いした。
レイカに連れられるままに部屋に入ってきたが、この人はいったい誰なのだろう。
酒屋の女将に騙された後だと、人を疑り深く観察してしまう。
酒屋「K」の女将は酒屋をやりながら、裏で情報をやりとりしている風だった。この人は身なりは悪く、仕事をしているようにみえない。
身体を縮こまらせ、空気の入れ替えが終わるのをじっと男は待つ。待っている間に、ナヒロの視線に気がつき、視線が合う。
ナヒロの目尻が細められる。また騙されていたら、人を信用できなくなる。
換気が終わり、窓を閉めカーテンをしたレイカが机から葉巻と灰皿を遠ざけた。
ケヴィンの「あ、俺の!」という嘆きは完全に無視だ。手の届かない棚の上に置いてしまう。
「この人、ホラルダに売られそうになったんだ」
レイカからの情報に目を光らせる。
「あのホラルダにか!」
「ええ。そうですよ。どうやら人身売買にまで手を出し始めたようです」
レイカはナヒロに椅子に座るよう勧めた。
机にあるもう一つの椅子は、彼の荷物が置かれている。荷物を蹴落とされ、ケヴィンの嘆きが部屋に響き渡る。が、レイカは気にしない。荷物の置く場所をあけてまで座ろうと思わず、手を振って断るが座った方がいいといわれた。
腰を下ろすと、ケヴィンは座っていた椅子の場所を動かしナヒロと向かい合う。
「それで? 奴らはいったいどこで?」
「詳しく知りたいなら彼女から聞くといいですよ」
ケヴィンの視線がレイカからナヒロに向き、びくりと身を震わせる。
「あ、紹介しますね。彼はケヴィン・レーセン。本物の情報屋です」
レイカは窓辺から離れて、ナヒロへケヴィンを紹介すると、また窓辺へ戻っていく。
レイカの紹介でも信用できないと、訝しるナヒロにケヴィンは頭をがしがしとかいた。
「嬢ちゃんは信じてないようだが、まぁ身分を証明するものがない。疑われても仕方がないが、本物だ」
ナヒロとて、ヒスメド地方を治めていた元領主の娘です、と言ったところで身分を証明できない。父から預かったものはあるが、その時がくるまで誰にも見せてはいけない。
「分かりました。信用まではしてませんが、貴方は本物の情報屋ということに一様しておきます」
「ち、偽物のせいでやりにくいな。んで、知りたい情報と交換に……ホラルダのこと教えてよ」
愚痴をこぼした。情報屋と名乗る偽物のせいで迷惑しているらしい。
「あの、ヒスメドのこと教えてくれる、と?」
「ヒスメドの事件……? といえば、領主が賊に――されたことか?」
子供に聞かせる単語じゃないと判断してか、濁してくる。ナヒロは濁された言葉が何かを察した。
「そうです」
ナヒロははっきりと頷いた。
「いいのか?」
ケヴィンがレイカに問うと、あっさり「いいよ」と、返される。ヒスメドのことでなぜレイカに許可が必要なのか疑問に思いつつ、首を傾げた。
情報を売るか売らないかは情報屋本人が決めることだ。本業でないレイカに聞く必要性が判らない。
「この人に必要なことなので」
レイカは窓辺に立ち、外を時折気にしている。
「なるほどな。まずひとつ。嬢ちゃんに情報屋を教えたっていうその近所の人。ヤツに騙されてる」
ケヴィンははっきりと、ゆっくりと言った。
「え!?」
ミルリィーネが騙されているとはっきり指摘される。そうだろうと予測していたから、驚くよりも納得してしまう。
ミルリィーネは人がいい。両親が幼い姉妹を置いて出稼ぎへ行くと聞いたその日。姉妹を家に呼び、両親が帰るまで、泊まっていくように、と厳しくも優しい口調で言ってくれた。
とても、裏で情報屋と繋がっていると思えない人柄なのに、どうして。
「お嬢ちゃん、ホラルダはあちこちに一人、疑いもしない馬鹿なカモを掴む為にそうだと知らない一般の人を置いている。厄介なのが、定期的に送られてくる手紙は一見、情報に見えないように仕組まれている。巧妙でややこしい手紙だ。これを受け取った本人はそれが実は罠だと知らず、知りたいという人に教えて回る。案外あっさりと知れた情報を疑わず、店に訪ねてきたヤツをホラルダは捕らえるのさ」
その知らない一般人の一人がミルリィーネ。ミルリィーネから教えられた場所を頼りに行ったナヒロは彼らにとって――。
ナヒロは顔の血の気が一気に引いた。
レイカが止めていなければ、ナヒロはホラルダを捕まえられる情報と状況を作る前に、自分が囚われることになっていた。
「レイカが小屋を見張っていたから助かったんだ。運が良かったな、嬢ちゃん。普通は情報屋がどこにいるか簡単に知れない。俺らは知られないようにしている。そして、情報屋は口が堅い。自分がどこで営業をしているかまず言わない」
ケヴィンは椅子から背を離し、膝の上に肘を乗せ前かがみになる。ケヴィンとの距離がぐっと縮まり、ナヒロは顔をしかめた。葉巻の匂いが息を吐くと同時にナヒロの肺に入ってきて、せき込む。
「それにな、嬢ちゃん」
ケヴィンはそれに気がついたのか、上体を上げた。
「情報屋は危険な情報を持っていることが多い。たとえば、国家機密の情報とか、な。まぁ、国家機密とか大それたものはそう容易く知れれるものじゃない。国家がそんな情報を流すわけもない。それを取る楽しみもあるんだが……っと」
ケヴィンをレイカがじろりと睨んだ。ケヴィンが言葉を詰まらせるような鋭い視線だ。ナヒロには見えない位置からだったが、ケヴィンは顔をひきつらせる。
「あーと、他者に知られたくない重要な情報をもっているとだな、その情報を知られたくない人間に狙われることは多々ある。だからな、そう簡単に他人に今いる場所は教えない。覚えておくといい」
ナヒロはこくりとうなづいた。ふと気が付き、窓辺に立つのレイカを振り返る。
彼女は知らないはずのケヴィンの場所を知っていた。教えていない場所を知っていなければ、ナヒロは今ここには来ていない。
「あー、こいつはだな……」
ナヒロの言いたいことをくみ取ったケヴィンが、言葉を詰まらせる。
「ケヴィンさんの助手です」
「はぁ!?」
ケヴィンは素っ頓狂な声をあげ、がたんと椅子から立ち上がる。
「なにいってんだ!」
「なに驚いてるんですか。動きのとれないあなたの代わりに時間の許す限りで助けているのは誰ですか?」
大人相手にレイカは臆する事なく、平然としている。
「まぁ、それは、そうなんだが……」
ケヴィンはなにか心当たりがあるのか、ばつが悪そうに椅子に腰かけた。
「レイカは、助手ということで。俺の場所を知ってるのはおかしくないってことにしといてくれ」
ケヴィンはナヒロよりも、自分自身に言い聞かせているようだ。
「話を戻すが、そのフェルドナっていう女はホラルダの中でも幹部クラスか、それ相当の地位にいるやつだ」
でなければ、男たちを声一つで動かせない。
「やつら、人から奪うだけじゃなくとうとう人売りまで……。嬢ちゃん。偶然助かったものの、下手したら家にもどれなかったかもしれないぞ」
ケヴィンに指摘されて気づかされる。
誰にも言うんじゃないよと言われ、教えてもらった情報が実は偽りで、そのせいで村に戻れないと知ったら、ミルリィーネは深く悔むだろう。自分のせいだといい、後悔し続ける。
両親がいなくなった今、アカリの唯一の家族となったナヒロ。親ばかりでなく、姉も帰ってこないと知ったら、アカリは泣くのだろうか?
恐怖で体が震えてくる。
もしかしたら、レイカがいなければ、ナヒロは今頃あの盗賊に捕まり身動きの取れない状況に追い込まれていた。
「逃げてきたけど、追われてないんだよね!?」
窓辺から離れないレイカに聞く。逃げきれていなければ、入り口を押さえられているかもしれない。そうすれば、逃げられない。
ナヒロは店の入り口が見えるレイカが陣取る窓へと走った。部屋の窓から入口はよく見えた。入口にはナヒロが警戒すべき人影はない。
安心もできず、じぃと入口を凝視した。この部屋から入口が見えやすくてよかった。出なければ、廊下へでるか、店の階段を下りていかなければならなかった。
「どうなんだ、レイカ」
警戒しながら、ケヴィンがさらに聞く。情報屋として、居場所を知られたくないのが本音だろう。
「追われるような逃げ方してませんから、今のところ怪しい人はいないですね」
よっぽど自信があるのかレイカはきっぱりと言い切った。
「なら大丈夫だろう。嬢ちゃん、戻ってこい。君に聞きたいことがある」
ケヴィンはナヒロに戻るように手招きする。ナヒロは窓から離れるのを迷い、椅子に座りなおす。
「ヒスメドで起きた事件を知ってどうするつもりだ?」
「復讐するためです」
ケヴィンは目を丸くした。
教えると言ったが、その利用目的が復讐だと思いつかなかったらしい。ナヒロが幼いから思いつかないのかもしれない。
「な、な、なにを考えて――」
情報屋の職業柄か、声が小さい。
「正確には復讐というより、悪事を暴いて現領主をヒスメドから追放です」
叔父の野望のために家族を失ったのだから、復讐の一つはしてやりたい。
だが、叔父は独り身だ。結婚する相手もいなければ、子供もいない。叔父がしたことの再現は出来ない。
「嬢ちゃん、三年前のヒスメドの領主一家の事件は大変な騒動を招いた。だが、あれはあの近くにいた賊が金目当てに起こしたものだろう? それに、その賊は現領主の手によってとらえられたって話だが」
「違います!」
机を力一杯叩く。掌がじんと痛んだ。その痛みよりも、情報屋である彼から出た話がショックだった。
それは表向きなものだ。どんな些細なことでも正確な情報を扱う情報屋が、間違った情報を扱っているなんて。
どれだけ探っても足がつかないように、綿密に計画を練っていたというのか。
ナヒロは立ち上がった。椅子が倒れる。
「全然違うっ! ヒーオメがっ……現領主が!」
ケヴィンの胸倉を両手で掴んだ。
情報屋を騙せるように仕組まれていたのだとしたら、ヒーオメ。彼はどれだけ綿密に計画したというのか。
「どうして知らないのよ! 情報屋なんでしょう!?」
悲痛に叫んだ。怒りで目頭が熱くなる。悲しいわけでもないのにぽろりと涙がこぼれおちた。
ナヒロの訴えに、ケヴィンが顔を険しくした。
胸倉を掴まれているにもかかわらず、冷静にナヒロの瞳をじっと見つめてくる。
ナヒロも、相手の瞳をじっと見る。というより、睨んだ。
「嬢ちゃん、あの事件の関係者か?」
確信めいた問い。
ゆっくりとうなずいた。
「名は?」
「――――ナヒロ。ナヒロ・ヒメルカ・ジェバリア」
ケヴィンの目が大きく見開かれていく。窓辺に立っているレイカも同様だ。
「な、なんだって!?」
一時の静寂をケヴィンが破る。椅子を引き倒さんばかりに立ち上ががり、ナヒロの小さな手が胸倉から離れた。
「嬢ちゃん、ジェバリア家のもんだったんか!?」
「え、ええ」
ケヴィンの勢いに気圧され、ナヒロが一歩引いた。
「両親の名は!?」
「父はギオム、母はメリシィル……あの、兄の名前もいりますか?」
ナヒロの問いにケヴィンは必要ないと手を振った。
「君は前領主の娘、ですね?」
レイカの問いにナヒロがはいと答える。
「なんてことだ」
どすりと椅子に座り、頭を抱える。どうやら彼には想定外の名前だったようだ。
「確か、教えられた名前に娘の名前はなかったですね」
レイカが記憶を探りながら情報屋に助言する。
ナヒロとそう歳の変わらないレイカがそのことを知っているのか、ナヒロはこのとき不思議にも思わなかった。
情報がほしい思いのほうが強く思考を占めていたため、普通の子供では知るはずのないことに疑問にすら思わなかった。
「あたしは、叔父を許さない」
なぜかは言わずともわかるだろう。
「嬢ちゃん……まぁ座れ」
すすめられ、しぶしぶ椅子に座る。ケヴィンは椅子の間を詰めると、ナヒロの両肩に手を置いた。
「事情はわかった。だがな、今の君じゃ、現状を変えられない」
「どうしてっ!?」
今すぐにでもヒスメドから追い出してやりたいのに。
両親が殺され、アカリの両親もいなくなり、その原因を作ったのがヒーオメだ。
「現領主が捕まったとしよう。君の功績のおかげでな。これは例えだが、その後ヒスメドを誰が治るんだ?」
「できれば、あたしが……」
考えていなかったわけではない。ヒーオメを犯罪者として突き出した後、誰が領主につくかを。
両親、二人の兄が生きていれば、領主の後は長男のキィラールが継ぐ予定だった。そのため、キィラールは父の後を継ぐための勉強を教えられていた。
その兄を支えるため、次男のギオムにも厳しい教育がされていたのを、ナヒロは知っている。
対して、ナヒロに行われていた教育は淑女となるための作法だった。
兄と同じ、政治的な勉強は何一つなされていない。
ヒスメド地方はジェバリア家が代々領主となり治めていた。
領民が住みやすい領地にすることを第一に領主たちは、手腕をふるってきた。
「いまいくつだ?」
「八歳になります」
「若いな。八歳なんて、幼すぎるんだよ。領主になろうなんて、二十年早い。いや、三十年か」
ケヴィンは現実を突きつけてきた。
わかっていると口でいっても、心の中では八歳でも領主として認められればという考えもないわけではなかった。
「確かに、ここ三年でヒスメド地方が荒れているのは知っている。だが、その後の修復を嬢ちゃんはできるのか?」
現状を見たわけではないナヒロになにができるのかといわれているようだった。
ヒスメドを出てから約三年、一度も足を踏み入れていない。
「領主になりたいっていってもな、国王が認めなければもしくは任命されなければなれない。知ってたか?」
ナヒロは首を振った。知らなかったのだ。
兄であれば、知っているといえたかもしれないことが、何一つナヒロにはわからない。
「それと、領主になるには年齢制限もある。任命を除いて、十七歳以上でなければなれない」
レフィール王国では成人とみなされる年齢まで、まだ九年ある。
ならば、十七を待たずに王から任命されればいいだけのこと。だが、一国を治める国王がはたして十歳にもなっていないナヒロに領地を任せるかと聞かれたら、誰もが口をそろえて任せないというだろう。
誰かの考えに偏ってしまいそうな、世間知らずの子供に領地を治めろ、という馬鹿げた任命をする王はいない。
「けど! ホラルダのことを教えたらあたしの知りたいこと教えてくれるって言った!」
「嬢ちゃん、俺は確かに君に教えると言った。だけどな、今の年齢じゃ教えることは何一つない。確かに、表向きは金目当ての賊の仕業となっているが、情報屋をなめるな」
ケヴィンは椅子を引き、元の位置に戻ると足を組んだ。
「ちゃーんとわかってるんだよ。そこんところは。だが、もう少し大人になれ。その叔父を言い負かせられる力をまずはつけてこい」
なにも言い返せない。ナヒロの教養は五歳で止まっている。明らかに知識不足だ。
知識がないからホラルダに騙された。
「国は動いてくれないんですか?」
ヒーオメが領主として責務を全うしていなければ国王が動く。国王を動かすにはヒスメド地方からの密告が必要だ。
ケヴィンは国王が動くのは難しいと、唸った。
「ヒーオメは領主としての仕事はきちんとわきまえているようだ。視察に来たとしても、何か手を打ってくる。彼の隠し事を見つけにくいようにな」
気がつかれないように厳重に隠されたら、判らなくなる。そうなれば、手が出せないということか。決定的な何かがなければどうにもできないと。
「まぁ、八歳にしてはよく頭の回るやつだよ、嬢ちゃんは。よっぽどいい教育を受けてたんだろうな。あとは時期になったらこっちから連絡してやる」
レイカがナヒロの肩を叩いた。
「ケヴィンさんのいう時期がきたら、その時は手伝うよ」
「ありがとう。レイカ」
「嬢ちゃん、今は一人で暮らしてるのか?」
ケヴィンからの質問に妹がいると答える。
「デニレローエ村で暮らしてます。ローラ・リラって名前で。連絡よこしてくれるなら名前と場所、間違えないで」
「デニレローエか。これまたヒスメドに近い村だな」
「ちっちゃい村なので、隠れられます」
ケヴィンはなるほどと納得した。
「時期が来たらちゃんと知らせてやる。もちろんレイカにもな。それまでは村生活でも楽しんでろ」
ナヒロはわかったと、頷いた。




