嗤う仮面
今回、かなり短いです。
次の投稿は通常通りですので、少々お待ちください。
「フヒッ、フヒヒ……!そうかそうか、何もかも律儀にやってくれているようだね。わたくしはとても嬉しいよ。まぁ、鎌鼬が離脱してしまったのは仕方がないさ。彼は元々計画に対して、積極的ではなかったようだし」
ムンク仮面の人物、ケウク。
計画に綻びが出たとしても気にした様子もなく、ただ現状を楽しむように笑っている。
傍から見れば不気味でしかないが、それを指摘する人物は周りに一人もいない。
孤独感漂う空間で、ケウクは一人携帯電話を耳に当てて、ユラユラと身体を揺らしていた。
「あと一日で準備は完了する。決行は九月の二十二日といったところかな?それが終われば、あとは『ソウスイノゲン』を残すのみ。これ、分かりづらいかい?何を意味しているか分からないだろう?それはそうだろうね、好きで分かりづらくしているのだから。フヒッ、フヒヒ……!」
確信していた。
ケウク自身が排除されない限り、計画決行までは問題が生じることがないことを。
だから、味方が去ろうと、敵が結束力を増そうと、ケウクにとっては大した話ではなかった。計画の為に今や人ならぬ足を、潰れてでも前へと運び続ける。
それは最早、狂喜の領域へと達していた。
「あぁ、君には感謝しているよ。それに、こんな素晴らしい機会を与えてくれた彼にも、ねぇ。では、お仲間にもヨロシク」
そう言うと、携帯の通話を切る。
すると、無造作に携帯を背後に投げ捨て、身体を揺らしながら、再び不気味な笑い声を発し始めた。
「あぁ、楽しみだなぁ。心の底から待ち望んだ終焉は直ぐ傍に来ている。存分に翻弄させて貰うとするかぁ、三谷園理世……いや、今は確か、宮園世理と言ったっけかぁ?フヒッ、フヒヒィッヒヒヒヒ……!」




