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謁見

今更ですが、この作品には残酷な表現が含まれている可能性があります。

閲覧する際は十分お気を付け下さい。

・・・といいつつ年齢指定はつけないんですけどね。

追伸→一部国名が『メギラ』から『ロンガ』に変わっておりました。

大変申し訳ありませんでした。

~in【スラム街C7ーK】~

月歌「これで全部か?」

貧民W「へい、その通りで」

月歌「そうか…意外と少ないな…?」

貧民W「みーんな『買われ』に行っちまいやしたからね」

月歌「そうか…」

貧民W「へい」

月歌「〔馬鹿共が…!〕」

月歌はメギラのスラム街全体から貧民達全員に昼過ぎに集合するように指示を出した。

各地スラム街にはリーダー的な存在がおり、そのリーダー達、また、スラム街の人間のほとんどは月歌と面識があったので、指示は比較的楽であった。スラム街全体の住人達は別に月歌のSというランクについては気にしてない人間ばかりだった。

が、少ない。メギラ全体の貧民にしては数が少な過ぎる。

どうやら金に困った貧民達の約半数が『地下闘技場』へと行ってしまった様だ。

月歌のいたような地下闘技場はこの世界に約10個ほどある。

何処も似たようなもので、暮らしに困った囚人や貧民が挑戦者として日々名前を連ねているが、そのなかで月歌の様に成功するのはたったの一握り。

強運どころか剛運を持たないととても無理な話、ましてやそれに加え根性や残忍性、月歌の言うところの勇気までいる。可能性は1%にも満たない。

更に言うならばそれに追い撃ちをかけるように状況は最悪である。

スラム街の人間は、当然のことだがその日の暮らしにも困るくらいなので、移動手段は徒歩か、せいぜい捨てられて雨風にさらされて錆び付いた自転車を拾って使うぐらいしかない。

このスラム街の近場で、徒歩か自転車という貧弱な移動手段でたどり着くことの出来る地下闘技場といえば月歌のいるところしかない。

だが、これもまた当然なことながらこのスラム街、いや、この国において月歌に勝てるものはいない。つまりは無謀。無意味な死。この世に生を受けておきながら、自ら投げ捨てる行為。神への冒涜である。

だが、スラム街で貧しく地味に一生を過ごすよりもそうしてでも限りない0の可能性にかけてでも月歌の前に立つほうが生命力に溢れている。よほど人間らしい。

愚か。だが愚かだからこそ人間らしさがそこにあった。

残念なことに月歌には到底理解できないことだが…。

月歌「そろそろ頃合いか…」

とある貧民街のボロ家の屋根に乗っている月歌の周りに集まった数百人の人間達。このスラム街のほぼ全員が集まったこととなる。

月歌「お前等!聞こえるか!?」

"ナンダ?""ナニガハジマルンダ?""ナンカコワイナ…"

月歌「今日はお前等に頼みたい事がある!簡単な話だ!!」

"?""カンタン…ネェ?""マァ、ゲッカガイウンナラ…"

月歌が貧民達に語った内容はこうであった。

・今日は出稼ぎやゴミ漁りなどの外に出る用事をしないこと

・今日から明日にかけて、なるべくメギラからはなれた丈夫な建物の中にいること

・風が強くなったと感じたら急いで体を丸く成るように屈め、耳をふさぐこと

・以上のことを実行してくれれば質素ではあるが明日一日分の食料は支給すること

貧民の殆どはこれに賛同した。

残りの一部は少し賛同を渋ったが、月歌がでこぴんで大きめの岩を割るパフォーマンスを見せたところガクガクと首を縦にふってくれた。

月歌「よし、ならば解散!」

ちりぢりに、次第に、さっていく貧民達。恐らく今日もせわしなく働きに行くだろう。生きるために、ただ生きるために。

月歌「(あとはクレア達の腕の見せ所だな…)」

月歌「御手並み拝見と行こうか…」

月歌は乗っていた屋根からおり、もといたアパートへ戻って行った。

~in【『メギラ』王宮一階】~

メギラ国王「そうか…陽国よりの使者か…」

シホ「はっ、突然の謁見という無礼、何とぞお許しください」

メギラ国王「あぁ、よいよい、…して何用か?はよう申せ、ワシは貴様等と違って忙しいんじゃ」

シホ「(このくそジジイ…!)」

クレア「(我慢して、シホ…)」

クレア「はい、実は、この間、我等が陽国に亡命して来た者がいました…。その者の身なりはボロボロで、まるで奴隷のようでした。」

メギラ国王「っ!」

メギラ国王の額にうっすらと汗が浮かぶ。

メギラ国王「…で?」

クレア「我々の予想通りその男は奴隷でした」

メギラ国王「馬鹿な!そんな事が認められるはずがなかろう!!」

シホ「ですが事実です。更に言うのであればその男は自分のことを『メギラ国王の奴隷』だったと申しておりました。」

メギラ国王「何を言うか!人を馬鹿にするのも大概にしろぉ!!」

"ダンッ"

勢いよく立ち上がり、二人の元へ向かうメギラ国王。

メギラ国王「いいか!?我がメギラ国は『奴無消国』である!!

そのような事実がある訳がないのだ!!」

『奴無消国』とは人間がすむ国々のうち、四大国である、

『メギラ』『ボレロ』『シュミール』『ペンゲア』の四つ間で結ばれている、奴隷制度撲滅条約を守る、と宣言した国の総称である。

また、奴隷制度撲滅以外にもいくつかの条例が各国間で定められており、

これらの条約を破った場合軍事制裁が待っている。

それを恐れて、四大国は奴隷制度を禁止するか、奴隷がいることを隠蔽しようとするが、この国は後者であった。

クレア「はい。我々もそんな事実はないと信じていますよ」

メギラ国王「ならば何故ここに来た!!?まさか戦争でもしにきたという訳ではなかろうな」

クレア「事と次第によっては…!」

メギラ国王「…!」

クレア「我等が国王は勿論、貴方様の事を疑ってはいません。

しかし、先程の男の事は他の国々の王様達の耳にも入ったようで、貴方様とこの国を疑っておられるようなんですよ」

メギラ国王「な、な、う、ううむ…」

クレア「…先程も言いました通り、我々の国王は貴方様のことを疑ってはいません。我々が今回来た目的は、貴方様の疑いを晴らすというものです。…少し前にもう報告は終わっています」

メギラ国王「お、おお、ということはもう、観察は終わったのかして、結果はどうじゃった?まさかとは思うが疑いは晴れなかったとか言うんじゃないだろうな?」

メギラ国王「(この国での奴隷制度は地下闘技場でしか適応されない。あそこは会員制だ。絶対ばれるはずが無い…)」

シホ「(…とか思ってんだろうなぁ…)」

メギラ国の地下闘技場は客を危ない目に合わせたりしないように、また、奴隷制度が存在するという事実を隠蔽するために、客を会員制にしている。ところが出場者は、つまり奴隷志願者は不潔などの理由でノーマークなのだ。今回クレア達はその隙を付き、出場者として会場内に潜り込み、見事証拠を掴んだ。

あの場にいたのは、なにも月歌の引き入れだけが目的ではなかったのだ。

クレア「いえ、我らが国王の疑問はなくなりました」

メギラ国王「そうか…。ならよい…まぁワシがそんなことするわけもないがな、がはははははははは!」

しばらく笑った後、メギラ国王はその無機質な金の王座に身を預けると、しばらくの間安心しきったように、呆けていた。が、ふと思い出してように側にいた護衛を手招きで呼び寄せ、耳打ちした。

メギラ国王「(あいつらはああ言ったが、嘘をついておるかもしれん。何しろあの『冗談好き国王』の手下だからな。奴等を宿泊用の客室に泊まらせ、見張りを付けろ。適当な所で誘い出し油断したところで消せ。)」ゴニョゴニョ

護衛「(御意に)」ゴニョ

メギラ国王「お二人とも長旅は疲れたでしょう?」

シホ「(急に丁寧になったな、なにか仕掛けてくる気か?)」

クレア「えぇ、まぁ、一応」

メギラ国王「そうでしょう、そうでしょう。何しろ途中に砂漠や森やらを挟んだ、長い長い道程ですからな。…どうでしょう?どうせ今日はもう夜遅い、元の国に戻るまでの間、この城に泊まっていってはいかがですかな?」

シホ「この城に、ですか?」

メギラ国王「えぇ、是非」

クレア「せっかくのお誘いですが、我々でも泊まるところを用意してあるので…」

メギラ国王「それは『円壁』の内側ですか?」

『円壁』とはメギラ国内にある名前の通り丸い、巨大な壁であり、城、城下街、及び商人街とスラム街とを隔てている。

クレア「いえ、外側ですが…」

メギラ国王「それはいけない、あそこはガラが悪く、同じ人間とは思えないような外道な奴等ばかりですよ、あなた方は女性です。お金意外の大事な物も奪われてしまうかもしれません。

そうきくと益々あなた方を帰す訳には行かなくなりましたな」

シホ「しかし…」

護衛「お部屋の準備が出来ました。」

メギラ国王「ほら、この男もこういっておることです。帰り途中に倒れてしまっては本末転倒、骨折り損のくたびれ儲けというやつです。」

クレア「わかりました。では有り難く、しかし、その前に電話をかけたいのですが」

メギラ国王「はて、電話とは?」

クレア「我々の元々泊まっていた所の利用料金は国からお金が出ています。当然電話もそこにかかってきます。『何回電話しても出ない』という状況になったら困るので」

メギラ国王「成程。…おい!」

護衛「はっ、もうすでに部屋に電話は準備してあります」

メギラ国王「さすが、仕事が速いな。…ということですので安心して泊まって行ってください」

シホ「…ありがとうございます」

クレアとシホは部屋へと向かった。その間も護衛がべったりついて来たが。

シホ「(バッチリ監視するつもりだな)」

クレア「(それだけでなく、不穏な空気を感じたら消すつもりのようだ)」

シホ「(こりゃ監視の目を潜るのは容易じゃなさそうだ)」

護衛「どうかしましたか?」

シホ「!いいえ、何でも!」

護衛「ならいいのですが…」

シホ「(月歌、準備しとけよ…お前にかかっているからな…)」



~in???~

月歌「準備完了♪さて、合図を待つか。」

月歌は月の見える場所で期を待っていた。

今宵の月は満月だった。

〔人物紹介〕

名前:空根紅亜ソラネクレア〔32〕

性別:女

身長:175㎝

体重:"ピーーーー"キログラム

頭髪:濃い黒・長い

趣味:入浴・美容体操

嫌いな物:肌荒れ

使用技能【???】

モード『魔法』

能力の詳細:???

備考:『陰国』出身。『α軍』の一員。陽国の国王に憧れて陽国にきた。

顔は美人の部類。偏食家で、彼女の作る料理は当たり外れの差が激しい。

おっとりした性格。


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