寄生
毎度閲覧ありがとうございます。作者の連夜です。
今回の話を書いてるときに決めたことがひとつあります。
それは更新日を日曜または月曜に変更することです。
私事ではありますが、ここ最近忙しすぎて日曜までにあげることが困難になってきています。
なので日曜までに書き上げるのが困難と判断しました。
よって本当に申し訳ありませんが、今後は月曜に小説をあげることがあると思いますのでそのときはよろしくお願いします。
(無論日曜までに書きあがれば日曜にアップしますが・・・)
チャコ「【『紙細工』『千本触手』】!!」
チャコが左手を上に伸ばすと、地面から無数の触手が伸びてきた。
"スタッ"
シホ「!」
チャコ「はぁっ!!」
チャコが腕を下ろすと同時に触手はシホの方へと一斉に動き出した。
シホ「…」
シホはその場で目を左右に高速で動かした。
シホ「(1、2、3、4…成程ねぇ…上手いこと配置してあるけど、こっちにとんでくる本物はせいぜい20本程…他は、万が一私が回避した時の追撃用だな…乱雑に見えて、案外緻密に計算してるわね…案外努力型なのかな?)」
チャコ「死になさい!」
"ズオオ…"
触手がシホに迫る。
シホ「【20】」
"パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパァンッ…!!"
"ズドガガガドン"
風船が破裂したような音がし、シホに当たるはずだった触手だけが破裂し、残りの触手は地面に刺さる。
"クイッ"
チャコは下におろした指を少し動かした。
テンビ「シホ!後ろだ!」
カゲがシホの後頭部目掛けて刀を振り下ろそうとしていた。
シホ「…気付いてる」
シホ「【静止星】」
"ガッ"
【静止星】がカゲの刀を、両手で挟み込む形で受け止める。
シホ「【1】」
"バキン"
シホは振り返り様、左足でカゲの刀を折った。
シホ「はぁっ!」
そしてそのまま、右足で折った刀の先端をチャコに向かって蹴る。
"ビュ"
チャコ「甘いわよ…!」
"スッ"
チャコ「【編み込み紙】!!」
チャコが両手をあげる。すると地面から紙がはえ、チャコを守る壁になった。
シホ「…」
チャコ「(一見普通の紙に見えるけど、これは型紙を何枚も編み込んで出来た合成紙。ちょっとやそっとじゃ破けないわよ…!)」
チャコは自身満々の表情をした。
しかし
"ずぅぅううう…スパッ"
チャコ「んなっ!?」
刀はあっさりと【編み込み紙】を貫き、チャコを目指して突き進む。
チャコ「くっ」
チャコはこのことを予想だにしておらず、咄嗟に右手でその自分の顔面に飛んできた刀を受けた。
"ザシュ"
刀はチャコの右手の平を貫くと、チャコの鼻の頭ギリギリで止まった。
チャコの右手の平に開いた穴、そしてそこに突き刺さっている刀、この二つの間から一筋血が垂れる。
チャコ「…痛った」
チャコ「(まさか貫通までするとわね…)」
チャコは右手の平を上に向けた。すると、紙でできた何本かの小さな触手が刀に絡み付き、刀の先端を抜くと、地面に投げた。
チャコ「(さっきシホとあのくそがき三人組が戦っていたのを見ていた時は、楽勝で勝てると思ったけど…確実にさっきより速いし、…重い…私の魔法と装飾、『寄生』をもってしても厳しいかもしれないわね…)」
チャコの装飾『寄生』は他の三人の四天王、及びボレロ国王のの装飾とは少し違う、変わった能力を持つ装飾である。
他の四人の持つ装飾は、使用時、まるで鎧のように使用者の体を覆い、『外部から』刺激を与えることで、使用者に身体能力の向上と素材にした物質の特性を使用することを可能にさせる代物である。
ところがチャコの装飾『寄生』は、その名の通り、使用時、その使用者の肉体に『寄生』、『内側から』刺激を与えることで、上記に記した能力に加え、魔法や能力に対して強化、変化を加える一品である。
先程チャコがカゲを操っていたが、これはチャコが紙の触手をカゲに突き刺した際、『寄生』によって変化を加えられた、チャコの魔法によって作られた寄生虫がカゲの体内に侵入。全身の筋肉を支配、操作していたのである。
チャコ「さて…とりあえず」
チャコは右手を【編み込み紙】に向けた。すると途端に【編み込み紙】は解け、中心に丸い穴を開けた。
シホ「!」
チャコ「【紙の一手】!!」
チャコの指が高速で伸び、シホの周りを取り囲む。
"ぐっ"
チャコが左手を握る。途端にチャコの指がシホを縛る。
"バチィッ"
しかし完全にシホを拘束する直前、突然シホがチャコの視界から消える。
チャコ「…!」
チャコ「(速い…さっきよりも…っ!!)」
チャコ「でも、こういうときの移動先って大体…」
チャコ「敵の後ろって決まってんのよ!!」
チャコ「【紙ノ槍】!!」
チャコの振り向き様、鋭く尖った左腕が、チャコの予想通り後ろにいたシホに伸びる。
当たれば鉄をも貫通する一撃。
だが当然。
シホ「【2】」
"パパァン!!"
一撃は【紙ノ槍】を弾き、一撃はチャコの腹部に。
ほぼ同時に拳が入る。
チャコ「……っぁ」
"バチィッ!"
チャコ「うっ…」
チャコは自らが『何か』にぶつかったのを感じた。
ギャグ漫画等の表現で頭を強く打った際、頭の上をひよこが回っていたり、星がとんでいたりする表現を見たことがあると思う。勿論現実においてひよこが飛んだり星が飛んだりすることはないが、人間は強い衝撃を与えられた際、瞬時に混乱し、何が何やら解らなくなることがある。
今、正にチャコがその瞬間を感じていた。
チャコ「何、今、私、何を…」
しかし、混乱はそこまで長く続くことはなかった。
チャコ「…!」
チャコ「(そうだった、今は戦闘中!相手は『留目シホ』!私はさっきよりも一撃を喰らって吹っ飛んだんだった!)」
"カツ…カツ…"
チャコ「!」
シホ「【『制止星・不定倍『10倍』】」
"バキ…ゴキ…"
シホは首を左右に傾け、鳴らした。
チャコ「…フー」
チャコ「不様ね…」
チャコ「(このままではまずい…本気の…一撃を浴びせなければ…!)」
チャコは自らの立ち位置、即ち自らが【迷宮】の端まで追い詰められたことを理解した。
"ズズズズズ…"
チャコは体内で作り上げた寄生虫を自らの筋肉に寄生させた。
チャコ「【『寄生』『紙芝居』】」
チャコの筋肉が膨れ上がった。
チャコ「はぁっ!!」
そしてそのままシホに向かって殴り掛かった。
"ガッ"
しかしその拳はあっさりとシホに捕まえられた。
シホ「さっきの指とか…壁よりはましみたいだけど」
チャコ「このっ!!」
"ガッ"
チャコは捕まれた方とは逆の手で殴り掛かったが再度捕まれ、叶わなかった。
シホ「なぁ…」
チャコ「…?」
シホ「真面目にやってくれないかなぁ?…せっかくそっちが吹っかけてきた喧嘩だってのに、ちょっと本気だしてこれなら興ざめだよ?」
"グググ…"
そう言いながらもシホは、チャコの両腕を少しずつ下の方へとおろしていく。
チャコ「…ぐぎぎぎぎぎ!」
シホ「…ハァ、もういいや」
チャコ「っ!!」
シホ「【1】」
チャコ「」
~in【『ボレロ』『迷宮外』】~
月歌「はぁ…やれやれやっと回復し終わったぜ」
月歌は手に持っていた本を閉じた。
月歌は先程まで自らの体を治療しながら、拍連からもらった本を読んでいた。
ボタンに殴られた傷は案外深く、また、回復魔法をあまり得意としない月歌では完全に復帰するのに時間がかかったのである。
そのため時間を無駄にしないためにも本を読んでいたのだが、
思ったより時間をかけてしまったことに月歌は不満であった。
月歌「さてさっさとクレアのサポートに回んねぇとな…っぁと」
"ベキベキバキ"
月歌が背伸びをすると、背骨が音をたてた。
"ゴキゴキ"
月歌「さて…どこまでいったのかなっと、…流石に死んではねぇよな?」
月歌は走ってクレアを探そうとした。しかしそのときであった。
"どっごぉおおおおおんっ!!"
月歌「はっ!!?」
月歌は驚いた。
何故なら、後ろの真っ白な壁が崩れ、内側からシホがチャコを殴る形で飛び出してきたからである。
月歌「シホ!?」
~in【『ボレロ』『外壁』『西門入口前』】~
サック「さて、侵入者を狩るために入口まで来たわけだが…」
サックは腰に手を当て、国の入口を睨んでいた。
サック「何処から探そうか…」
そのときであった。
"ぞっ"
サック「っ!!!」
サックは強烈な寒気を背後から感じた。
???「もし…」
サック「【『アクシス・オブ・ローテーション』『後ろ廻し蹴り』】!!」
"ギャルルル…ガッ!!"
サックは高速で回転し、背後にたった男の首筋に強烈な廻し蹴りを浴びせた。
???「いきなり何をするんですかねぇ…」
サック「(無傷…だと!?)」
"ギャルルルルルル…"
サックは回転しながら地面に着地した。
サック「何者だ」
???「…普通そういうことは攻撃する前に聞くものだと思うんですけどねぇ…」
サック「質問に答えろ」
???「…人に名前を聞くときはってやつですよ?」
サック「ならば名前はもういい」
???「…名乗りたくはない、と…」
サック「何の目的でここに来た、答えろ」
???「質問が多いですねぇ…まぁでいいでしょう、しかし、その前に一つ聞きたい」
サック「質問に質問でかえすな」
???「…貴方が礼儀を言うんですか?」
サックは男の返答にむっとした顔をしたが、
サック「何だ」
とかえした。
???「ここは『ボレロ』で間違いないですか?」
サック「そうだ、…さぁ質問に答えたぞ、今度はお前の番だ」
サックの返答に男は嬉しそうに微笑んだ。
サック「(気味の悪い笑顔だ。…しかしこの男、でかいな…うちのボタンと同じ…いやもっとあるな…)」
???「そうですか、やはりそうですか、ならば答えは簡単です」
男は息をゆっくりと吸うと、ある程度吐き出し言った。
???「『国潰し』」
サック「!!!」
サックは咄嗟に構えた。
サック「貴様っ…!!」
???「あ、そうそう、大サービスです。私の名前もついでだから教えてあげましょう」
DX「私は『DX』と申します。以後、よろしくお願いしますね」
DX「以後が、『あれば』ですが」
"ぞぞぞっ"
サック「っ!!!」
DXは優雅に一礼した。