ハクレン
毎度ご愛読ありがとうございます。作者の連夜です。
今回コメント欄を除いてみたら新しいコメントが届いていてとてもうれしかったです。
国の名前の由来を尋ねられましたのでお答えしましたが・・・どうですかね?がっかりさせてしまったのなら申し訳ないです。
人物名にはこだわっているし、技名にもこだわっているんですけどねぇ・・・国名はそんなにだったので聞かれて正直内心ドキッとしてしまいました。
・・・ほんとに申し訳ない気持ちです。
それでは気を取り直して本編へどうぞ
~in【『ボレロ』『三・四ツ星地区』『鉄工場』】~
"ギィンギギャギャガギャガャァン…!!"
金属音が響く。
シホ「(一体どうなっていやがるっ!!)」
シホは焦っていた。追い詰めていたはずの、気絶していたはずの、とどめをさすはずだった者が今、まさに今、自分を追い詰めている。
カゲ「…」
本物の日本刀ともなると、さすがのスティール・スターも素手で受け止める訳にもいかず、拾った鉄屑を片っ端から使い、向かってくる刃を弾いていた。
シホが下がる分、カゲが詰める。
逃げ場が段々なくなっていく。
シホは焦り始めていた。
シホ「(今はカゲだけを相手にしているが、これで精一杯。ギリギリだ。だが、今の段階では参戦してきていないが、まだ後二人残っていたはず。…もし何かされたらそこでジ・エンド!!なんてこった。ピンチじゃあねぇか!)」
"ギィンッ!"
シホの持っていた鉄屑が弾かれる。
シホ「しまった!!」
カゲ「…」
"ビュオッ"
刀の振り下ろされる音がする。
シホ「【スティール・スター】!!」
"パァン"
スティール・スターの両手がカゲの振り下ろした日本刀で挟み込み、その動きをぶつかる寸前で止めた。
所謂『真剣白刃取り』である。
"グ…ク…゛ググ"
シホ「(何だ…このパワーは…!?『スティール・スター』は鋼鉄を捩じ曲げるほどの力を持っているんだぞ?…このクソガキ、見るからに6、7歳…とかそこらだ、そんなガキがスティール・スターの攻撃を受け止め切れるもんか…?いや、不可能だ。)」
徐々に近付く刃が、スティール・スターの頭に触れる。
" "
シホ「っつ!」
言葉では表せない音がした。
シホの頭から血が滴った。
シホ「がぁああああっ!くっそ!」
スティール・スターがわずかながら押し返す。
思わずシホは額を押さえた。
カゲ「…」
シホ「(…こいつ、どこにこんな力を隠し持っていたんだ?
そして何故『カウンター』が決まったはずなのにこんなに自由に動けるんだ、いや、それよりもなによりも、こいつ、
…『何故さっきから一言もしゃべらない?』)」
カゲは左足を伸ばすと、足裏で日本刀の絵に触れ、また一本生み出した。
シホ「!」
シホ「(肌が触れればどこでもいいのか!?)」
生み出した日本刀をカゲは、サッカーボールを蹴りあげる要領で柄の部分を蹴りあげ、それを左腕で掴むために刀から手を離した。
しかし、その隙をシホは見逃さなかった。
元々カゲが体重を乗せ、両手で刀を押さえることで、やっとわずかばかりにスティール・スターの腕力に打ち勝っていたのである。片手では対応のしようがない。
当然シホも行動を起こす。
シホ「【スティール・スター】!」
カゲ「…」
シホは左手で日本刀を掴み直すと、右手で拳を固めた。
シホ「【DO】!!」
"ゴッ"
スティール・スターの放った拳は見事目標に当たった。
シホという『目標』に。
シホ「っ!!」
後方に凄まじい勢いでとんでいくシホ。あっという間に距離ができる。
"ブオンッ"
カゲ「…」
シホが急速に離れていくことに対し、カゲは俊敏に反応し刀を振ったが、紙一重に届かず、空を切っただけであった。
カゲ「…」
"ガシャアアアン"
シホは鉄屑の山におもいっきり突っ込んだ。
シホ「【スティール・スター】!」
シホ「【DODODODODODO!】」
自分の上にあった鉄屑を弾き飛ばすと、シホは額を押さえながら立ち上がった。
シホ「いってててててて…」
"チャリンカチャチャラッ"
まだ体にのっていたのか、ネジが数本転がり落ちた。
シホ「あんのやろぉ…『乙女』の顔に傷を付けやがってぇ…!」
"ダンッ"
シホ「もうゆるさねぇ…!」
シホは拳を震わせた。
シホ「!」
カゲ「…」
気付いたらカゲはもうすぐ近くまで追いついていた。
シホ「…もう追って来たか」
シホはニヤリと笑った。
シホ「しかたねぇ、さっさとけりつけて月歌達の元に戻るためにも『スティール・スター』の奥の手、特別に見せてやるよ」
カゲ「…」
"チャキッ"
カゲは、無言のまま刀を構えた。
シホ「【『スティール・スター』『カウンター』】」
シホはスティール・スターを構え、その『タイマー』を
自分に付けた。
~in【『ボレロ』『三・四ツ星地区』『クナ外科』】~
医者「はいはいはい、さささささ、包帯をぉ~~っ♪とって!!」
月歌「普通に言えんのかお前は」
溜め息を吐きながら月歌は頭に巻かれていた包帯を取った。
カゲの投げ付けた金づちで頭を強打した月歌は、偶然通り掛かったボレロ国の住民数人で近くの病院へ運び込まれた。
クレア「治ってる!治ってるよ!月歌!」
月歌「あぁ…!全く痛まねぇ…すげぇなこの『葉っぱ』」
月歌は包帯の裏側に貼ってあった、手の平サイズの大きさの葉を見つめた。
看護師「それはそうですよ。その葉っぱは『ドラドジアの大賢者』こと『グランデ・マギ』様が『込めた』のですからぁ」
月歌「…?」
月歌は困ったような表情を浮かべた。
看護師「あ、『ドラドジアの大賢者』というのは…」
月歌はしゃべりかけた看護師の言葉を手で遮った。
月歌「それは知っている。数十年前に蒸発したすげぇ魔法使いだ。魔法使いなら誰でもしっている超有名人だぜ。…というかそこじゃあねぇよ」
医者「この葉っぱのこぉとでぇすねぇ↑」
月歌「あんた…喋り方は好きじゃあねぇが、案外わかるやつじゃねぇか」
クレア「葉っぱ?葉っぱがどうかしたの?」
医者「そのよぉすをみるかぁぎりぃ↑うたがわしぃですねぇ月歌さん、あなぁたほぉんとうに魔法使いですかぁ?」
月歌「…教える理由がねぇな」
医者「…お~っ!手厳しぃっ!!医者である私、『伯連』38歳(独身)のぉ~~~~~~っ!!カルチャーショォッックッ!!
…まぁ、カルテ見ればわかるんですけどね」
びしぃという音が決まりそうな程のポーズをきめる拍連。
クネクネ動いたり、止まったり、見ているだけで疲れそうな男である。
月歌「 」
クレア「…」
月歌「(たかだか一言二言でここまで人を疲れさせるとは…一種の才能かもしれんな…)」
クレア「(もうやだこの人)」
看護師「先生、お二方からどん引きされてますよ」
伯連「えっマジで!?」
看護師「マジです」
伯連「…じゃあ真面目に行こうかな」
月歌「…出来るのなら始めからそうしてくれ」
クレア「(国に帰ったら、まずは猫様をモフモフ、そのうえで銀杏の木で出来た特製ベッドで睡眠をとろう、うん、そうしよう)」
伯連「実はね…」
伯連は右手の人差し指をぴんとたてて始めた。
伯連「この葉っぱはね…」
息を飲むような間。
緊張が走る。
〔人物紹介〕
名前:伯連〔38〕
性別:男
身長:165㎝
体重:64キログラム
頭髪:薄い黒・短い
趣味:ダンス
嫌いな物:オクラ
使用技能【医術】
モード『弱者』
能力の詳細:得に無し
備考:ボレロ国『クナ外科』の医者。
イメージに反して、腕前は中々のものである。
イメージ通りに独身である。