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『買わる者』

前回の自分の書いた文章の長さにプレッシャーを感じて投稿がすさまじく遅れました。

前回の自分に『こんなのでいいのか!』と怒られているよう、すこしびくついています

男「ウギャッ!」

細身「うごっ!」

巨漢「ぬおごお!」

“バキイッ”

鈍い音をたて最後の男が倒れた。


ナレーター「またまたやったぞ!月歌、〜〜回目のチャンピオン防衛だぁー!強い!強すぎるぞ!月歌ァ!」


確かにそうだ。強い。たかが二十歳未満の少年にしては異常な強さ。

まぁ当たり前といえば当たり前なのだが。

少年は『S』というランクがつけられていた。所謂、『超一級殺人犯』今までの被害者はこの地下での挑戦者を含めると2億人を越える。・・・といわれている。

…その中には彼の母親も含まれる。

刑務所に入ったのは9才の頃。その時までには既に、彼の周りには1億人越えの死体の山が出来上がっていた、と伝えられている。

計算高く、巧妙なその手口は、月歌を捕まえようとする意思から彼を逃し、その当時少年のいた国を悩ませる種であった。

しかし、そんな計算高い少年でも予想し得ない出来事が今日、この場で起こった。

「私達はこいつを買う!」

月歌が『買われた』のだ。

月歌はここにいながら一回も『完全に買われたこと』がない。

その強さ故、主人すらも殺されるのではないか、という不安があり、迂闊に買う訳にはいかなかったのだ。

その不安は絶大なものであり『月歌は囚人生活を好んでおり、釈放されたとしても、ここに戻るため己を買った主人を必ず殺す』という噂が立ったほどだ。

彼自身も「健康的な生活がおくれて、仕事もある。下手に外で暮らすよりよっぽどいい」と述べている。

故に今までは買われることはほぼなかった。しかし月歌は今日、買われた。

しかも驚くべきことに彼を『買った』のは観客席で勝負を見守っている貴族でも、お忍びで来ている王族でも無く、

これから闘うはずの挑戦者のうちの二人だったのだから。

静まり返る会場。

さもおかしいことなどないように振る舞う二人組。

会場が静かに混乱する中、一番混乱していたのは

他でもない月歌本人だった。

月歌「はぁ!?」

ナレーター「な、な、な・・・何という予想外!今までこんなことがあったでしょうか!?」

基本的に、ここでは、誰かが奴隷を買った瞬間、その勝負は『買われなかった者』の『不戦勝』となる。

月歌は買われたことがないが、それは本人の性格や、観客の月歌への恐れにくわえ、ここにくる客が『心躍る戦い』を見たい者達の集まりであるため、というのもある。故に、特に決勝戦では、『買い手』として名乗りでるものは居なかった。

それがでた。しかも月歌の目の前で、ましてや決勝戦で、

月歌「(そう。これは決勝戦だ。・・・なのに)」

『戦いたくはないのだろうか?』

『今まで勝ち抜いてきたのではなかったのか?』

『ただの運が強いだけの『臆病者』なのか?』

『ここで勝負から逃げるのか!?』

『まさか今更怖気づき、とりあえず勝負から逃げよう、だなどと考えているのではないか?』

月歌の頭の中を色々な思いが交錯した。

ナレーター「他に『買い手』は居ませんか?」

静まり返る会場。不満や舌打ちの音が静かに響く。

ナレーター「では、これにて決勝戦を…」


「待った!」


会場が止まる。

『他に買い手がいたのか?』

否、そうではない。

待ったをかけたのは月歌、本人である。

ナレーター「…な、何か問題でも…?」

月歌「ここでのルールは『買い手と『商品』の両者の合意の上で同意が成立したときのみ、競り合いが成立し、売買が受理される』のはずだ!おれは了承していない!取引は成立していない!」

この王国地下闘技場には、たしかに月歌の言うようなルールが存在する。

ただし、今まであまりそのような主張がなされることはなかった。それは何故か。

この地下に出場するか否かは基本的に自己判断である。

娑婆で暮らしている人間もそうだが囚人も出場出来る。

牢獄の中の、代り映えのしない、退屈でただただ辛い日々を送るなら、奴隷になって暮らしたほうがいい、と考えここに来る囚人も少なくはない。

貧民も似たような発想のもとここに来るものが多い。

つまり、みんな『買われたがり屋』なのだ。

そんな人間達が月歌の述べたようなルールを主張するだろうか?

答えは『NO!』である。

しかし、月歌は違う。上に述べたように月歌は『ここ』を気にいっている。

喧騒を。賛美を。環境を。日々を。

この王国地下闘技場で唯一といっても過言ではない『買われたくない者』が楽しみにしていた決勝戦に水を差すような者たちについていこうとするだろうか。

そう考えた時、月歌の言ったことは当たり前の話となる。

ナレーター「な、成程…」

客A「た、確かに…」

客B「一理あるな…」

客G「そ、その通りだ。そんなこと成立していいはずがない」

"ザワザワ…"

会場がどよめきはじめる。

ナレーター「で、ではあなたは何かこの取引にたいして不満があるというのですか!?」

月歌「おおありだ!おれはこんな決勝戦に水を差すような粋がっている野郎どもの下に付く気はねえぞ!」

?A「野郎…?」ピクッ

?B「押さえて押さえて…」

月歌「どうしてもっていうなら…」

"ビシッ"

月歌は二人組を指差し高らかに宣言した。

月歌「このおれを倒せ!そうしたらきさまらを俺の『主人』として認めてやる」

?B「私達がほしいのは『奴隷』ではない。『ここの王者』たるお前を『仲間』、『友人』としてほしい」

月歌「それもまた…俺を倒してからだ」

戦闘用の構えをとる月歌。

?A「…」

?B「分かった。やろう!」

"オオオオオオォォォォォォォォォォ!!"

会場が歓喜する。

ナレーター「えー、それでは、只今より、予定通り『虹城月歌』対『V(バー)S(サス)』の試合を始めます!」

"カァーーーーン!!"

試合開始のゴングがなった。

今更ですがかっこの記号の違いに明確な差はまだもうけきってないです。

ですが一応「」は会話『』は主張したい言葉として見ていただければだいたい会ってます

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