ニートとチートは似ている
軽い気持ちで書いたので、軽い気持ちで読んでください。
暇つぶしにでもなれば。
俺は俗にいうニート。毎日をのんべんだらりと過ごしている。親のすねをかじって生きていくつもりだ。その方が楽だから。
でもたまにふと思う。俺もチート能力があればこの世界でハーレムでも作れるんじゃないか?
ある日、退屈で退屈で仕方なくなり、つい呟いた。「誰かチート能力くれねーかなー。」
その時どこからか声がした。
『いいよ、やるよ。』
「誰だ、お前!」
『神に向かって誰だはないだろ。』
「え、神?」
『そうだ、神だ。私も退屈してたんだ、お前の望みをかなえてやろう。』
「い、いいのか?下手すると俺が神になるかもしれんぞ?」
『やれるもんならやってみるといい。その代わり、力を与えた後(元に戻して!)なんて言うなよ?』
「言うもんか!さあ、早く!」
『分かった分かった。ほれ。』
その瞬間、体に電流が走った。
『望み通り与えたぞ。存分に楽しむがいい。』
「言われなくてもやってやるよ!さて……」俺は何からしようか考えた。
そうだ!まずどれくらい力が出せるか試そう。そう思ってフンっと体を踏ん張った。
半径100kmが吹っ飛んだ。
え?まずい!まずいぞ!どうすんだよ!慌てて左手を横に振った。
富士山が麓から切れて、その反動で日本海を飛び越えていった。
な、何だこれ!おかしい!何とかして富士山を戻さないと!飛んでいく富士山に追いついて押し戻そうとした。
木端微塵に砕け散った。
そうじゃなくて!あぁもう!どうしたら!……そうだ!地球を元に戻せば!そう念じて地面に触れた。
地球が宇宙のちりに戻った。
違うんだよ!何でそうなるんだよ!ええい、こうなったら時間を巻き戻すしかない!
恐竜時代まで巻き戻った。
1日だけでいいんだよ!何で戻り過ぎるんだよ!今度は時間を元に戻さないと!
元の時間より1億年行き過ぎたが、地球は消滅していたので問題なかった。
いや!大問題だよ!どうすんだよ!もう万策尽きたよ!俺は何も出来ないのかよ!
『やっと分かったか。』
「おい神よ、どういうことだ!」
『簡単なことだ。日頃から力加減をわきまえて生活していないから、行き過ぎた力しか出せないのさ。まあそのうち何とかなるだろ。』
「ならねーよ!もう何が何だか分かんねーよ!」
『力をくれ、と願ったのはお前だぞ。』
「いいからさっさと元に……いたた、腹が痛くなってきた。まずい、トイレは……紙は……」
『お前が消したろ。』
「いいから戻してくれ!」
『力を無くすことになるが、それでもいいのか?』
「いいよ、こんなの持ってないのと同じだよ!早く!出るうううぅぅぅ!」
『はいはい分かったよ。言わないって言ってたくせに。ほれ。』
俺はチート能力を無くし、世界は元に戻った。俺は急いでトイレに駆け込んだ。
「こうなることを分かってたな?」俺は神を問い詰めた。
『まあな。お前にチート能力は使いこなせない。でなければ力なんぞ与えるものか。』
「ちくしょう、せっかく力を手に入れたのに……」
『面白い余興だったぞ。満足したので帰るとするか。』
「二度と来んな!この疫病神!」
『ほう、なぜ分かった?』
俺はニート。親のすねをかじって生活している。でももう余計な力はごめんだ。こりごりだ。
『呼んだ?』
「呼んでねーよ!帰ったんじゃねーのかよ!」