召喚編 2
飛んだ。
城の屋上から飛んだ。
落ちたのではなく飛んだ。
城から城下町の向こうの正門まで飛んだ。
高さは50m以上の高さから距離は1km以上はなれた正門をジャンプで飛び越えたのである。
もう人間離れした超人ぷりである。
サークは先程から変わらぬ悪魔のようなのような笑みを浮かべたままだが、普通の人であるリリアは心臓がとまる思いである。
しかも、着地はドゴーンである。サークに抱えられていたとはいえ、よく生きていたな。感心するほどの最悪のお姫様抱っこである。
もちろん、敵兵も着地の爆音で敵兵があつまってきて、俺達を取り囲むでいる。
「こんな、夜分に訪問とは礼儀知らずではありませんか?シンシア国の姫様。」
とりあえず兵の中でも一回り体付きが良く、とても丈夫で高級な鎧を見に纏った男が話かけてくる。恐らくこの男が敵の将軍であり、指揮官だろう。
(回りに何千人いるのよぅ~帰りたい~)
男はお姫様抱っこしているサークを従者か何かと思いリリアに話掛ける。
だっこされたまま不格好なリリアは来たくて来たわけでもなく、周りに囲む多く敵兵の数を前に圧倒され半泣きな上に、腰が抜けてまともに動けない。
今まで温厚な暮らしをしていた姫に心を落ち着かせるので精一杯である。
「ところで姫さん、どんな方法で敵本陣のど真ん中に来た知らないが、手ブラはいけませんね。貴方のお父様の首を持ってくるのをお忘れですよ。」
敵の将軍と思われる人物の言葉に周り兵達も下品な笑い声を上げる。
クククッ、異世界の人というのは面白いな。俺の事を見て恐怖で逃げ出すのではなく、俺の存在を無視して話出すのだから。前の世界では早々経験できるものではない。
サークは前の世界では経験できないことに多少心を踊らせる。
だが、今は契約を達成しリリアを奴隷にすることが優先だな。
「おい、脳筋、誰と話している。」
「なっ!!」
まさか、何千の兵で取り囲むこの状況で侮辱を受けるとは思っていなかったのか。将軍と思われる男は驚き、侮辱に怒りこめかみにに血管が浮かび上がる。
だが、男とは裏腹に飄々とした面持ちのサークは言葉を続ける
「おい、お前みたいな下っぱに用はない。お前の頭を出せ。」
「貴様は勘違いしているようだな。
私がリビングハイド帝国の騎士隊総隊長兼作戦指揮官を務めるガルフィン・バイトだ。」
サークは敵の大将が軽々と目の前に現れたことにクククッと小さく笑う。
「そうか、なら話は早い、お前の兵を撤退させろ!!さもなくは殺す。」
「ガハハハハハハハハハッ、何を言い出すかと思えば、撤退しろ?殺す?バカなこと言うのも大概にしろよ。お前らは今敵陣地のど真ん中にいる。ここには本陣に4000の兵がいる。もし伏兵が隠れていたとしても、数は圧倒的に此方が有利なのだ。なのに殺すなんていい冗談だ。」
将軍の笑いにつられ他のものも笑い、敵軍の笑い声が合唱のように響いた。
だが、リリアは将軍の言う通りだと思う。ここには敵が4000いるのに対し、此方は私とサークの二人だけ。こんな簡単な言葉で説得しようなんて馬鹿げているとしかいえない。
「クククッ、それが答えか。」
サークはゆっくり抱っこしていたリリア体を降ろすと、耳に顔を当て囁く。
(伏せていろ。)
リリアはサークの言葉を聞き頭に手を当て伏せる。
「では、皆さん、私から一言言わせていただきます。
さようなら」
『ザシューーーーーーー!!!!』
大きく風が吹きあれた。大地が震え、音が轟き、空気が震えた。
だが、一瞬だった。
一瞬で場は静寂になり、取り囲む敵兵も先程とはうって変わって静かになる。
そこでやっとリリアは体を起こし棒立ちになってる将軍を見つめる。
ドサリ
「ひっ!!」
将軍の頭が落ち首から鮮血が噴水のように溢れだす。
将軍だけではない。その場にいた。約4000の兵の頭が落ち首から鮮血が溢れだす。
まさに血の雨である。
クククッ、呆気ない。
人とはやはり脆いな。
だが、こんなにも心が踊る。
殺し、斬殺、惨殺、殲滅。
勝者のみ許される快楽である。
クククッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハハハッー!!!!
笑う。
リリアは鮮血の降り注ぐ中で笑い続ける彼の姿を見て思う
まるで、悪魔のようだと。
すみません
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近いうちに再投稿しますのでしばし待ってください