第2話 買い物①
「リリス、今日は街に出かけましょうか。」
今日は珍しく、両親が食卓にそろっていた。
2人とも、仕事がひと段落つき、時間に余裕ができたらしい。
こくりとうなずき、おかあさまを見る。
「じゃあ、あとで部屋に服を届けさせるわ。それに着替えてロビーに降りてきなさい。」
そう言っておかあさまとおとうさまが立ち上がる。
私も扉を出て、自分の部屋へと向かった。
街には人が溢れていた。
たくさんの屋台が並び、大きな声が飛び交っている。
3人共、裕福な商人のような格好をしてその通りに立っていた。
こうして待ちに来るのは初めてじゃない。
両親の息抜きによくついて来ていたから。
いつものように魔導具や魔法植物を見に来たのだと思っていたのだけれど、2人はいつもと違う方向に歩き出した。
2人についていくと、落ちついた雰囲気の建物が見えてきた。
ショーウインドウには色とりどりの服が並んでいる。
「いらっしゃいませ。」
店に入ると、深緑のドレスを着た老女に出迎えられた。
「この子の服をお願いできるかしら?」
「ええ、もちろん。さあさ、お嬢さん。こちらにいらっしゃい。」
おとうさまに背中を押され、店主と思われる老女とおかあさまについていった。
2時間後、ようやく服が決まった。
「ありがとうございました。」
老女は両親に頭を下げ、私に小さく手を振った。
「さて、次は装飾品よ!」
心なしか弾んだ声を出すおかあさまの横では大量の服を抱えたおとうさまが苦笑いしている。
「セレスト・・・せめて服を場所に置きにいかないかい?」
当たり前だ。
今お父様は普段着、ドレスを合わせて10着以上持っている。
これだけでなく、オーダーメイドの服も同じくらい買っていた。
「それもそうね。」
そう言って2人は馬車に向かって歩いて行った。
「いらっしゃいませ。」
私たちは装飾店に来ていた。
こちらでは若い女の人に迎えられた。
有名な店のようで、多くの人が宝石や装飾品を見ている。
「子供向けの装飾品をお願いできるかしら。」
「承りました。」
その店員が店の奥に向かい、他の店員に促され、私たちは近くの椅子に座った。
「こちらはいかがでしょうか。」
しばらくすると、装飾品が入っているであろう箱をいくつか持って帰ってきた。
「リリス、この中から選びなさい。」
おかあさまは、私に何を求めているのだろうか。
「リリス、お前の気に入ったものを選びなさい。」
どうすればいいか迷っていたら、おとうさまが助け船を出してくれた。
私の、気に入ったもの・・・。
私はもう一度、箱の中に目を向ける。
そして、1つの箱を指さした。
その箱に入っていたのは、1つのブローチ。
金色の土台に、ブルートパーズが輝く。
おかあさまと、おとうさまの色。
「「リリス・・・。」」
2人は無言で私を抱きしめ、追加でいくつかの装飾品を買い、店を出た。
「さて、そろそろお昼ね。今日は屋台で食べましょう。」
「私が買ってくるよ。」
そう言っておとうさまが屋台に向かっていった。
私とおかあさまは噴水のそばにあるベンチに座った。
「セレスト様。少々お時間よろしいでしょうか。」
軍服を着た人が話しかけてきた。
「今日は休暇よ?」
おかあさまは眉をひそめ、そう答える。
少し周囲の風が荒れる。
「・・・緊急です。」
「・・・ふぅ。わかったわ。リリス、すぐ戻るから、ここで待って居て頂戴。」
私はこくりとうなずき、2人を見送った。




