第1話 ルーティーン
私がおばさまの屋敷から帰ってきて、1年がたった。
あれから、怒鳴られたり、殴られたりしていない。
「リリス様、今日はどのドレスを着ますか?」
「・・・。」
屋敷のみんなはすごく優しい。
でも、私は、その気持ちに答えられない。
「今日はどちらに行かれますか?」
私は無言で本を指さす。
「図書室ですね!行ってらっしゃいませ。」
私は部屋を出て、いつも通りの道を進む。
4年前、私の世界から色が消えた。
「「リリス!」」
3年ぶりに聞いた、懐かしい声。
誰かが私を抱きしめる。
「ごめん、ごめんね。リリス・・・。」
そこで、私の記憶はおしまい。
気付いたら、この屋敷のベッドに寝かされていた。
図書室に着き、本棚に向かう。
私は本が好き。
行ったことがない場所に行けるし、現実を忘れられる。
おばさまの家でも本を読むことが許されていた。
だから、1日中本を読んでいることもあった。
その時だけは、幸せだった。
おばさまの家も本が多かったけど、この家のほうが多い。
私はこの家「お嬢さま」らしい。
そして、私の両親は有名な人で、「こうしゃくさま」らしい。
本を読んでいると、あっという間に時間がたつ。
侍女が私を呼びに来たから、食堂に向かった。
この1年で、私が両親にあったのは、数回。
片手の指で数えられる程度だ。
食事を終えると勉強だ。
勉強といっても、簡単なものばかり。
今まで、何度も本で読んだものを復習しているようなもの。
先生方は「素晴らしい!」「8歳でここまでとは・・・。」だとかなんだとか・・・。
これぐらい、簡単なことなのに。
褒められたり、驚かれたりするようなことではない。
そして、夕食。
これはマナーの授業も兼ねていて、先生と一緒に食べる。
この時間が少し楽しい。
マナーの先生はころころ変わるのだが、全員、いろんな知識を持っている。
私が図書室に言っているのを知ると、いろんなことを教えてくれるのだ。
私が知らないこともたくさんあるから、気になったら本を借りにいく。
1日の最後は入浴の後、図書室で借りた本を読んで、就寝。
これが、私の1日のルーティーンだった。




