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変な魔法使い、異世界に行く  作者: 八艘宗八
第2章 果汁100%! パン屋と四天王とワイバーン~至高の一品を求めて~編
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10-G 最初の依頼の報酬

 翌日、ウルメラへと向かう帰りの馬車の中。


「結局、アレは妖精でいいの? それとも幽霊? そこのとこどうなんですか? 大事な所でいなかったストーナさん」

「知らねぇよ。リンドーがアタシのとこに来るまでぶっ倒れてたんだからよォ。なんかよ、月が青くなった瞬間眠気が襲ってきやがって、そのまま……逆に何があったんだよ」

「さぁ?」

「オイ、ちゃんと言えやァ」

「そう言われても、あんまし分かってないのよねぇ。でもこれってハッピーエンドってことよね。モーガンもなんか元気になってたし、満足したみたいで、ちゃんと報酬ももらえたし、帰りは馬車賃も奢って貰えた上に、オマケにオレンジも一杯貰ったし」


「これ、ミークの」

「あー、はいはい。ちょっとは分けてね」


 不思議な事が起こり、不思議な事同士で解決して大団円。

 強いて言うなら。


「……何も出来なかった」


 私はストーナが踊っていると思っていたので、嘘を押し通すつもりだったのだが、結局本当に妖精が現れた訳で、嘘を吐く暇もなく、モーガンは勝手に幸せになった。


「はぁ、なんか微妙ね。私達が依頼を受けなくても、きっと妖精は現れたんだろうし……」

「俺はそうは思わない」


 隅で本を読んでいたリンドーが呟いた。


「俺だったら、モーガンが倒れた時、安静にさせる為、寝かしつけることしか出来なかった。そうしていれば、きっとあの妖精……いや、モーガンの大切なヒトと再会することも出来なかっただろう。クラリムが嘘でも、モーガンをその気にさせたから、あの奇跡は起こった」


 本を閉じ、リンドーは私を見つめる。


「だから、よくやった」


 褒め言葉。馴染みのない、その言葉は私のウジウジとした気持ちを吹き飛ばした。


「こわっ、褒めないでよ。柄でもない」


 そう強がるのが精一杯。

 変に反応すると頭がこんがらがる。


「ま、なら、今回のエムブイピーは私ってことよね。肝心な所でストーナは寝てるし、リンドーはいなくなるし、ミークはミークだし。ということで、この報酬は私の物ね」


 モーガンと別れる際、最後にリンドーが受け取っていた箱を抱え込み、そっと蓋を開けた。


「……ナニコレ」


「オレンジの苗だ」

「なんで!」


「モーガンが報酬で提示した金は、モーガンが死ぬ前提で用意されたものだった。モーガンが生き続けることを決めたのなら、受け取ることは出来ない」


「そんなぁぁぁ。私のお金ぇぇぇ〜」


「エムブイピー、帰ったら仕事探せよ」

「オレンジ、一個だけ、あげる」


 新しく作ったギルド、その最初の依頼は頬に押し付けられたオレンジいくつかと、苗という物が報酬となった。


 ストーナに詰められた私は、結局、近くの果物屋でバイトして、家にお金をいれることとなったのだった。

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