4-E 転職結果、その姿はまるで
太陽が昇り、大地を照らす朝。
「ぜぇぜぇぜぇぜぇ」
足元に満遍なく散らばる、色取り取りのスライムの心臓。
村の地面は大量の足跡やスライムの残骸で荒れ果ており、激戦だったことを思わせる。
その村の中、新品の衣服を汗で汚し、土で汚し、スライムの体液で汚しても尚、勇ましく立っている女がいた。
慈悲の女神、その名はクラリム。
彼女は剣が折れれば拳を握り、実力が格上のスライムであろうとも噛み付き、囲まれようとも雄叫びを上げ威圧し、その不死身の肉体を存分に活かし夜間、ぶっ通しで戦い続けたのだった。
その姿はまるで、狂戦士。
クラリムは敵がいなくなったのを感じ取り、刃が欠けた剣を鞘に収める。
戦いという嵐が過ぎ去って、ポツポツと家から出てくる魔族。その中には教会にいた聖職者の老人もおり。
「貴方様こそ、本物の神です。申し訳ありませんでした。魔王様がお亡くなりになることは信じられませんが、村を救って下さった貴方様が神であることは明白……もちろんご依頼通り、大聖堂に連絡を……」
と言われていたが。
「煩い! 眠い! 寝る!」
と、クラリムはその場でぶっ倒れると、民家で茶を飲みながら戦闘を眺めていたリンドーに担がれ、颯爽と去って行った。
◇
そしてクラリムが少しの睡眠を取ったあと何をしているのかというと。
「例のお香がちゃんと効くことが分かったからな、クラリムが寝ている間に大量購入し掻き集めておいた。準備が出来次第始めてくれ」
「なに、これ?」
「スライムだ。ざっと三千はいる」
追加の戦闘訓練であった。
スライム溜まりからスライム無限地獄に変わった、その場所で、クラリムは剣を構える。
「クラリム。がんばって」
十分な睡眠を取ったのか、すごく元気そうなミーク。
「まさか……いやそんなはずないわよね」
突然の襲来の割には、村の被害がゼロだったことや、このスライム寄せのお香。
巷に聞く、マッチポンプなる手法がクラリムの頭によぎったが、そんなクラリムに戦士のやる気を出させる為だけに悪魔じみたことをするはずないと思うのであった。
何にせよ、このリンドーという男は変な魔法使いである。
でもクラリムは、この変な魔法使いと、この世界で過ごしていく。
不老不死という悠久の時の中、クラリムの神生という本の数ページだけ。
第4話で一旦のキリになると思います。
次回、第5話『身分証はお持ちですか? スパイラル』は'2024/07/02'に更新予定です。
第5話自体が長く、A~Hまであるので、分割して更新すると思います。
1日2節。
朝、夕の予定です。
ご覧いただければ幸いです。




