表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変な魔法使い、異世界に行く  作者: 八艘宗八
第3章 最優秀ギルドアワー編
116/116

最終回 神様から見た物語

「ってなワケ。分かった?」


 白色に囲まれた世界。

 天界と呼ばれる場所の一角、擬似的に創られた太陽の光が差し込むカフェテラスで、私は優雅にミルクティーを嗜んでいた。


「分かったって……ここで終わりなんですか?! 長々と話してたのに、こんな中途半端な」

「だって、私不老不死なんだから、アイツらの人生丸々語るのなんて、それこそ何年掛かると思ってんのよ」


 目の前に座って同じ様にティータイムを楽しんでいるのは後輩神様。

 クッキーをハムスターのようにチビチビ食べる彼女は、私の体験を聴きながら首を傾げた。


「結局、最優秀ギルドアワーって、怪血王ってなんだったんですか〜?」

「……さぁ? なんだっけ?」


 やましいことや語るのが辛い訳では無い。

 シンプルに忘れた。少なくともさっき語った話から数年後の出来事だった気がする。

 私が目を天に向けて察したのか、後輩はジト目を向けてくる。


「せんぱい」

「ペルリテちゃん。あのねー、向こうの世界に到着して5分やそこらで魔王倒しちゃって世界救っちゃってるの。魔王倒せって送り込まれて、それが終わってるんだから、全部が全部覚えられないって。クリアしたゲームを無駄に、やり続けてるもんなのよ」

「じゃあ、どうやって帰ってきたんですか〜?」

「ほら、リンドーが魔法の研究をしてたって話したでしょ。それの副産物で世界を移動出来る転送門みたいなのが出来て、それ使ったのよ」

「別れ際とか寂しくなかったんですか?」

「うーん、まぁ。ソレが出来てからも、すぐには帰らなくて、私が知っているヒトは全員看取ってから帰ってきたから、そんなもんよ」


 普通のヒトやモンスターである以上、平等に訪れるもの。

 それが私にはなく、彼らにはあった。

 永遠を生きることが必ずしも幸せな事だとは限らないが、あの時間は何物にも変えられない変わった時間だったとは思う。


「随分のんびりしてましたけど、そんなに楽しかったんですか?」

「そう、ね。どれもこれも、意味不明で無茶苦茶で予想だにしなくて、変で楽しかったのかも」

「変が楽しいって、せんぱいも変になっちゃったんじゃないんですか〜?」

「うるさい。それだけの事があったって事よ」

「それじゃ、その部分を話してくださよ」


「何言ってんのよ。ヒトでも神でも簡単には変わらないの。色んな出来事を積み重ねて、ちょっとずつ変化していくの。今話した内容だってその小さいけど、外せない思い出なの。全部聞きたいってなら、捧げ物を用意したら考えてもいいわよ」

「……それじゃいいです〜、ケチ」


「おい。なんつった……ま、この経験を総括して最後に言ってあげるとしたら。貴方も召喚する時は『変な魔法使い』を連れて行かないことね。ホント、碌でもないから」


 仕事と仕事の間の休憩時間の終了を告げるチャイムが鳴り、最後にアドバイスを言い残し席を立った。


「さーてと、今日もお仕事しますか。結局エリート女神は、あの世界の長期滞在がサボってた判定になってやり直しになっちゃったし、これから頑張らないと」


「転移者はこりごり、やっぱり時代は転生ね。転生! 赤ちゃんから育てないといけなくて時間かかるけど、世界救世確率高いから良いのよね〜」


「完全ヒラ女神だから、転生元がランダムになっちゃうけど、あの変な魔法使いに比べたらマシよね」


 途方もなく続くダラダラとしたお話のほんの一幕。

 壮大な冒険はなく、日常を過ごしている仲で降りかかる火の粉を払う、そんな話。

 これはイレギュラーで普通じゃない。

 これから始まるのは、道中山あり谷ありの世界を救う冒険譚。


「慈悲の女神クラリムの名で呼びかける。世界を救う意思あれば、この声に応え、共に世界を救う勇者として姿を見せよ」


 仕事部屋であるカラオケボックス程度の縦長の小さな場所で、世界救世召喚の本を放り投げる。

 本は煙を吐き、クローゼットのような直方体を生み出す。

 ギギギと音を立てながらその一面が開き、入っている勇者が姿を見せる。


「初めまして。私の名は慈悲の女神、クラリム。この状況に、さぞ、驚いていることでしょう。しかし、貴方は天界規定により選ばれた運ある者なので……」

「前置きは良い。行くぞ。ターゲットの側に飛ばしてくれ」

「……」

「どうした? さっさと片付けて、新しい魔法を調べないといけないだろう?」


 私の勇者候補に、濃紺ローブの魔法使いが名乗りを上げ、『変な』第二ラウンドが幕を上げると同時。

 この男が赤ちゃんになって一緒に過ごす事を想像するだけで、お腹がキリキリと軋んだ。

ご覧いただきましてありがとうございます。

これにて完結となります。


行き当たりばったりで書く事が多かったので、また機会があれば手直しを行ったり、ネタを使い切れていないので追加エピソードも検討しています。

純粋に書いていて楽しかった作品で、ここまで長くかけたのも初めてでした。


すぐにとはいきませんが、今後も別途短編や長編を書いていこうとは思いますので、

その際はご覧いただけると嬉しいです。


評価ご感想等々もお待ちしております。励みになりますので、是非。


では、また、ご縁がありましたら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ