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プロローグ
魔法使い。
それは杖を片手に呪文を唱え、摩訶不思議な現象を引き起こす者のことを言う。
トンガリ帽子に足元まで伸びるローブに身を包み、一言一言冷静に記憶した呪文を呟き、現れた魔法陣から飛び出た火や水や雷を対象へと浴びせる。
多少の差異あれど、大まかなイメージは同じもの。
魔法使いは魔法を使うから魔法使いなのだ。
これが大前提。
なら、この目の前にいる男はどうだろうか。
黒髪橙瞳、日焼けを知らない白い肌。
情の篭っていなさそうな鋭い目はクールさを醸し出し、濃紺のローブで身を包み、肘から手首ほどの長さのボロい杖を握る、その立ち姿は正に、魔法使い。
だが、
その男が、メカメカしい機械仕掛けの大砲を構えた場合は?
少なくとも私は、その機械仕掛けの大砲から放たれた荷電粒子砲が敵を穿ち、雲に大穴を開けた時、こう呟いていた。
「…………ぜったい、魔法じゃない。これは」
今まで様々な勇者を導き世界を救って来た、慈悲の女神である私が、日に日に神らしさを失い、辻斬り同好会ツッコミマシーンと化したのは、この変な魔法使いに出会ったからだろう。
これは神(私)と転移者(彼)の日常の物語。
初めまして、八艘宗八です。
お気軽に、お読み頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。




