隣人は殺人鬼!
俺は怖がりだ。だからこのことを黙っている。
隣人の山田さんは殺人鬼だ!
というのも、昨日、隣人宅に男が入ったかと思えば、銃声が聴こえたからだ。『助けて!』という男の大きな声も聴いている。そのあと、パトカーが近隣を走っていたのも音で確認していた。
次の日。
俺はゴミ出しで隣人と目があった。
「あら。こんにちは」
「こ、こんにちは!」
心臓をバクバクさせて、何も聴いていないような素振りをする。隣人は、華奢な身体をしていた。そりゃ素手は無理だろう。何か男と揉めたのだろうか。それとも、反社会的組織の一員とか……。
考えるほど身震いする。
警戒しながら帰ろうとすると隣人は、
「ごめんなさいねぇ。昨日の……聴こえてたら」
そう言ってきた。
「いいえ、何も! 何も聴こえていません!」
「あら、そうなの? 結構大きな音だったけれど……」
何も聴こえていないフリ。何も聴こえていないフリっと。
すると、これまた隣人の立花さんが会話に交わって来た。噂好きのおばちゃんで有名な彼女。話が長くなりそうだ。
「ねぇ山田さん。昨日のAIスピーカー。音が駄々洩れだったわよ」
「あらやだ! そうなのよー音量調節が出来なくて。ちょうど男が刺殺されてパトカーが来るシーンだったから困ったわー」
ん?
AIスピーカー。そうか! 昨日の男の声とパトカーのサイレンは全部テレビの音だったのか! 紛らわしい隣人だ。ふぅ、安心した。俺は何を勘違いしていたんだ。アホらし。帰って寝るか。
その日の夜は、静かだった。山田さん。AIスピーカー使いこなせるようになったんだな。良かった、良かった。
銃声はどこから……?




