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月の無い世界
月の無い世界‥
夜に煌めく光は星で無く、広く視野をもたらす程に闇を照らしていた。
煌めく光の強烈な違和感
動き、瞬き、そして‥墜ちる。
眼前の光景をボーッ眺めていた。頭が痛い‥、思考が霞む‥。強烈な倦怠感を感じていた。
私は何をする訳でも無く、ただ立ち尽くしていた。自我が働かない、その場に身を置くのがやっとの状態。時間だけが過ぎていく‥
ギュルルルルー‥
空腹を告げる腹の音に、私ははじめて我に帰る。
「だ‥誰⁉」
自分では無い、そう認識した時に一気に周りの情報が頭に入り錯乱する。
何処?誰?何?私は‥
「私は‥?」
自分を認識する事にさえ思考がもっていかれる。
ハッ‥と我に還り、強い警戒心で辺りを見回す。とにかく思考鈍い。
音の根源には人が倒れていた。直感的にその姿にを見るや安堵を抱いた。
敵では無い、知っている、、、と。
見渡す限りの平原。その者と私だけしか居ない。
私はその者の傍らに座り込み、把握する事に専念した。
不思議と、その者の安否を気にしなかったのは『理解していた』からだと思う。




